第329話歎異抄 念仏は行者のために、非行・非善なり。
(原文)
念仏は行者のために、非行・非善なり。
わがはからひにて行 ずるにあらざれば非行といふ。
わがはからひにてつくる善にもあら ざれば非善といふ。
ひとへに他力にして自力をはなれたるゆゑに、 行者のためには非行・非善なりと云々。
(意訳)
阿弥陀仏の名を唱えるという行は、その人にとって、世間一般でいう修行や、道徳のような善ではありません。
自らの力による修行ではなく、自らが努力をしてつくる善でもありません。
本来からして、阿弥陀仏の本願にもとづく行であって、人間の持つ力から来るものでない、その意味から念仏者にとっての念仏は、「非行・非善」と言うことになるのです。
「南無」「阿弥陀仏」
つまり「阿弥陀仏にお願いします」
「それを唱えて欲しい」と阿弥陀仏は苦しむ人々に、要請している。
人間界の修行や道徳は、時代により変遷する。
そういう不定なものに重きをなさず、ただ、南無阿弥陀仏と唱えて欲しい。
そうすれば、その瞬間から阿弥陀仏の救済の世界、浄土の門が開かれる。
さて、筆者のような怠け者には便利な教えと思う。
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