第209話娑婆に生きること
娑婆とは、私たちが生きる世界。
インドのサンスクリット語「サハー」が中国を経た時に、この漢字があてられた。
サハーとはもともと「堪え忍ぶ」という意味。
ということは、この世に生きるということは堪え忍ぶことになる。
この世に生きていれば、生、老、病、死という「四苦」は避けがたい。
愛する人と別れたり、欲しいものが手に入らなかったりする「八苦」は常にある。
人は一人だけで生きていくことは難しく、他者と関係を持てば、人間関係で苦しむ。
その原因は、人の心に渦巻いている「ああしてほしい、こうしてほしい」と思う「煩悩や欲望」にある。
そのことをわきまえて、他者には過分な期待を持たず、「娑婆」を耐えて生きるべきなのだと思う。
それと今日、恵比寿駅で三十代の男性が1メートル30センチのホームドアを乗り越え、線路内に飛び込んでしまい、電車にはねられて足に大けがをしたとか。
JR東日本によると、救出作業のため山手線や埼京線などが最大で約1時間遅れ、約4万3000人に影響したらしい。
この場合、怪我をした男性を責めるのは、酷なのだろか。
すぐに来る次の山手線を待てと言うのは、その男性には酷な話なのだろうか。
ホームドアの高さが、足りないのだろうか。
事故原因は、JRにあるのだろうか。
なかなか、信じられないような事件が起こるのも、娑婆の世界。
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