第162話十牛図(3)見牛
(3)見牛
兆しを辿り歩いていくと、どうやら本来の自分が見えてきたような気がする。
全てとは言えないけれど、兆しよりは、しっかりと形になっている。
それでも、本当にうれしい、触れるもの、味わうもの、全てに仏の功徳を感じる。
やっと、素直な自分自身に逢えた、こんな素晴らしいことはない。
うれしくて、しかたがない。
とにかく、そのことで、周囲が全部輝いて見える。
しかし、どこか、不安もある。
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