フォースやドラゴンブレスより実は発動が早い(ので熟練の戦士が使うとこうなる)
───何だこれは!?
敵手と鍔迫り合いになった女武者の思考。あまりに訳の分からぬ状況に浮かんだのがまず、それである。どうして光の神々の一柱である地母神の神官が幼子に刃を向けている?
そんな困惑とは裏腹に、鍛え上げられた彼女の体は動いた。鍔迫り合っている神官を力任せに押しやり、続いて太刀で周囲を薙払ったのである。十近い敵勢が後退。距離を取り、こちらを半包囲する構えを見せた。
この段階で、女武者はようやく相手を観察する余裕に恵まれる。押しやった敵手。長らしき初老の神官の影に潜む者を見つけ、内心で舌打ち。彼らは、あの魔物に扇動されているに違いない。恐らく取り憑いた神官を操っているのであろう。厄介な。これで彼らを傷つけるわけには行かなくなった。
「
神官たちは次々と神に祈って
敵勢に囲まれつつも、女武者は勝つつもりだった。武人としてそれは当然のことだ。
だが、何より優先すべきなのは兄妹のこと。だから彼女は、敵勢が一斉に切りかかってくるのに併せて叫んだ。
───伏せろ!!
自分の真後ろで伏せる気配を感じたのと同時。裂帛の気合いと共に背後へと放たれた
包囲に生じた隙間へ、女武者は滑り込んだ。
むなしく通り過ぎていく敵勢の刃。
そこへ、女武者は躍り掛かった。
反撃をかわし、受け流し、幾つかは身に受けながらも相手の四肢に一撃を加えていく。峰打ちである。治癒の加護を用いれば死にはすまい。骨は砕けたであろうし、後遺症くらいは残るかも知れないが。この程度はまあ、無傷のうちに入るだろう。たぶん。
無力化した敵勢を乗り越え、神官の長へと迫る。操られているのであれば加護は使えまい。あれはあくまでも神が神官に対して与える助力であるからだ。魔法を帯びぬ武器など恐れるに足りない。
王手。
その、瞬間。女武者の全身を打ち据えたのは、強烈な
───馬鹿な……!?
倒した神官たちが放ったものではない。その、術者は。
───魔物に憑かれた神官の長。
吹き飛ばされ、大地へと転がる女武者の前で長は聖句を唱え、神に祈った。それは地母神へと届き、助力が与えられる。
雨が降り注ぐ中。
神官長は、刃を振り上げた。
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