化け物系女子 が 仲間になった (ふもっふ)
瘴気に冒され、ねじくれ曲がった森に火がかけられた。
それはやがて燃え尽き、陽光がこの場所にも差し込むこととなろう。
燃え盛る木々を背に行進していくのは多数の死者たち。正常なる死を迎えた彼らは額に札を張り付けられ、自らの足で歩いていくのだ。村へと。
女占い師の魔法だった。死者を故郷まで歩かせ、埋葬するための術。
左腕を失い、脇腹を貫かれた彼女はしかし生きていた。狂戦士の手当で息を吹き返したこの魔法使いは、自らの傷をひとまず加護で癒すと起き上がったのである。驚くべき生命力だった。霊の力が肉体を凌駕していてこそだろう。
喪った腕を再生するのも後回しにして、彼女は砕かれた死者たちに術を施した。腕はいつでも治せるが、死者たちを一刻も早く苦しみから解放しなければならなかったから。
とはいえ重傷を負った直後であり、そして何十という死体である。魔力を使い果たした彼女は、今は狂戦士に背負われながら死者の行進を引率していた。
その隣では、ばつの悪そうな女海賊。とはいえ首がないから、魔法の心得のない者が見てもどのような心境なのかはさっぱりであろうが。
行進の後を歩いてくるのは
「大丈夫だから」
と。
日が暮れる前に、一行は村へ戻った。
◇
埋葬にはさらに一日かかった。
連れ帰られた遺体は一晩かけて焼かれ、遺骨は墓地へと埋められた。瘴気に冒された死体は焼くのが一番だったからである。
恐らくまだ森に潜んでいる
戻った女占い師の負傷に交易商人が驚くなどの一幕などはあったが、特にアクシデントもなく、皆が次の朝を迎えた。
そして、旅立ち。
船に荷物を積み戻す作業を
「私を、連れて行って」
「……いいでしょう。ただし。なるべく小さく、邪魔にならない動物に変身していただきたい。人前では絶対に術を解いてはなりませんぞ。よろしいか?」
「うん」
こうして、
安全であると判断されたころ、
帆柱のてっぺんにとまった彼女は、後にしてきた故郷をいつまでも眺めていた。
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