444神猫 ミーちゃん、本店のプレオープンします!

 本店のすべてが完成したと大工さんから連絡がきた。さあ、本店開店の準備を始めよう! 開店は二日後を予定。屋台神猫屋は休みにしてみんなで開店準備だ。



「み~!」



 まずはお掃除。女性陣にお願いしている間に、男性陣で新しく注文していた備品類の搬入。コンロや冷蔵庫、テーブルや椅子。保安要員として泊まってもらうドラゴンさんのための寝具などだ。一番、気を使うのはガラスケースだ。値段も高いし、壊れやすいからね。業者さんと一緒に慎重に運び入れる。


 本店は大通りの角地なので、お店は二面使える。中央広場向きの面はヴィルヘルムと同じで前面だけの神猫屋、もう一面は店の中に入れるようになっていて、味噌、醤油、今後は豆腐やプリン、シュークリームの販売に使う予定。


 そんなんことをしていると、通りを歩いている人たちが店を覗いてきていつ開店するのか聞いてくる。カヤちゃんが対応していたので、おそらく神猫屋の常連さんだろう。


 なので、表の壁に明後日開店、全品半額! と張り紙をして、その前に台を置きミーちゃんを乗せる。


 会頭、対応よろしくお願いします!



「み~!」



 ミーちゃんが台に乗ったとたん、おこちゃまやお姉さんなどが寄ってくる。今回は前脚コイコイはしてないのに大漁だ。


 会頭もなかなかに顔が売れましたなぁ~。



「み~」



 夕方まで頑張り一応の開店の目途がついた。明日は実際にイルゼさんたちに使ってもらって使い心地を確認してもらう。まあ、午前中だけのプレオープンだ。ギルドのお姉さんたちにお客になってもらおう。


 帰りに各ギルドに寄って、明日午前中にプレオープンするのでお客になってくださいとお願いした。



「はぁ……あのネロくんが一国一城の主ねぇ。テラちゃん、びっくりでちゅね~」



 テラはミーちゃんにペロペロされ、目を細めてミーちゃんに身を任せている。



「ヴィルヘルムにも支店があるんですよ?」


「じゃあ、二国二城の主ね。あの頃の初々しいネロくんが懐かしいわ」



 いやいや、パミルさん。一年も経ってませんからね! あの頃っていつのことですか!?



「まあ、いいわ。ミーちゃんたってのお願いだから買いに行ってあげるわよ。安くしてくれるんでしょう?」


「み~」


「本当の開店は明後日ですが、明日はその練習です。明日も全品半額にしますよ」


「そう。みんな喜ぶわ。ギルド長もきっと買いに行くわよ。栗きんとんっていうの気に入ってたようだし」



 ギルド長特製ブレンド茶に栗きんとんはベストマッチ。和菓子にはやっぱりお茶だよねぇ~。



「み~」



 開店当日はまたテラの応援をお願いして家に帰った。


 プレオープン当日。店の戸を全開にし、ララさんとヤナさんが作ってくれた暖簾を店先にかける。イルゼさんたちのユニホームであるエプロンも新調した。気分を一新しての本店開店だ! 今日はプレオープンだけどね。


 のぼりも立てて準備万端。お客さんを待つだけだ……と思っていたが、既に人が溢れている。あれ? 今日はプレオープンだよね?


 ハンターの常連さんたちが噂を聞きつけて、やって来たそうだ。しかたがない、楽しみに来てくれたお客さんを手ぶらで帰すわけにはいかない。


 今日は午前中のみの営業ですと断りをいれて営業開始。ヴィルヘルムの支店より大きい本店。わかりきっていたことだが、大きい分対応窓口が増える。俺も手伝うが如何せん人が足りない。イルゼさんは団子焼き専属。カヤちゃんが包みかた。俺とクリスさんで飲み物と会計を担当。


 もちろんミーちゃんは表の台で握手会!



「み~」



 これはヤバい、明日はこれが一日続くのだ。ちょっと早いがヴィルヘルムから応援を呼ぼう。


 ギルドのお姉さま方も来てくれて大賑わい。それに比例して俺たちはてんてこまい。ギルドのお姉さんたちでの練習がてらプレオープンのはずが、人が人を呼び大予定外の盛況。つ、疲れた……。


 店を閉める間際にゼストギルド長がやって来た。栗きんとんを買いに来ただけでなく、俺に話があるそうだ。


 栗きんとんとくるみ団子を持参してギルド長室に移動。後片付けはイルゼさんたちに任せた。明日の仕込みもある。


 さて、ギルド長特製ブレンド茶で栗きんとんと団子を頂きましょうか。



「これはいいものだ」



 ゼストギルド長、栗きんとんを食べながらお茶を飲む。



「正直、栗と聞いたときは期待しておらんかった。食べてみたら驚きじゃったのう」


「み~」



 そうでしょう、そうでしょう。こんなに美味しいのに偏見だけで食べないってもったいないよね。屋台で売ってる焼き栗だって美味しいのに。



「神猫商会は安泰だのう。さて、話は変わるがロタリンギアに忍ばせておる者たちから情報が入った」



 ゼストギルド長の働きかけで本部も重い腰を上げて、ロタリンギアにハンターを送り込んでいるそうだ。しかし、それは命懸けの任務。ロタリンギアのハンターギルドと連携して情報を集めているそうだけど、国境が封鎖されているので情報を持ち出すのが困難になっている。


 そんな中に届いた情報。なんだろうね?



「勇者が一人行方不明になっておるそうだ」


「みっ!?」





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