340神猫 ミーちゃん、起こされる!?
「身体強化五割増しだと……」
いつも感情を表に出さないセリオンギルド長顔を引きつらせ驚いた表情を見せている。
説明しようかと思った時に、そういう話は周りの目もあるので場所を移しましょうと、エバさんに会議室に移動させられた。
「ネロくん。わかっていて? 身体強化五割増しなんてAFは未だかつて、発見されてないAFなのよ。国宝級と言っても過言じゃないわ」
そうなの? 以前、力の指輪で腕力五割増しっていうの見たことあるのですが?
「身体強化は身体全ての強化だ。頑丈さ、腕力、脚力、持久力、素早さすべて五割増しになるのだよ」
それは、知っていますがそこまで凄い物なの?
「強ければ強い程その真価を示す、最強のAFだ。迷宮で見つけたのか?」
「はい」
最下層で迷宮の管理者にあった事はみんなに口止めをしている。まあ、言ったところで誰も信じないと思うけど、面倒事に巻き込まれるリスクを軽減する為でもある。
「それと、そっちに居る彼は何者だ? 迷宮に入る時居なかった気がするが」
「えっ? 居ましたよ。王都から連れてきた神猫商会の特務部の者です」
「ネ、ネロくん。特務部って……神猫商会はそんなに敵が多いのかしら?」
エバさん、そうなんです。敵は多いのです。なんと言っても闇ギルドに喧嘩売ってますからね。闇ギルドと繋がりのある商会や貴族も少なからずいるでしょうし、新参者者が最近目立っている事を良く思わない
今はレティさんだけだけど、その手の人材も増やさないと駄目だろうね。特に貴族連中の動向や情報は集めないと足元をすくわれる恐れがある。
正直、面倒だけど貴族になってしまったのだから仕方がない。守りたい人達、守らなければならない人達が居る以上、後手に回りたくないからね。
「まあ、その話は置いといて。他にもいくつかのAFや、スキルオーブなんてのも見つけてますよ。その中でこの身体強化五割増しの指輪を、ジンさんに今回の迷宮探索の報酬として渡そうと思っていたんです」
「一つ聞いていいかね? ネロくん」
「なんでしょう? ギルド長」
「スキルオーブとはなんだね?」
そっちかい! てっきりAFについて言及されるかと思ったよ。みんなも興味津々のようで俺の説明を待っている。
ミーちゃんとパルちゃんは俺の腕の中でお寝んね中。パルちゃんとても良い笑顔での寝顔です。それに比べ、ミーちゃんはエアハムハム。お腹が空いているの?
それはさておき、スキルオーブについて説明する。初級スキルに限り好きなスキルを覚える事ができる。終了。
「「……」」
セリオンギルド長とエバさんは目が点。レティさん、ジンさん、ルーさんも目が点。他のメンバーは我関せずとばかり、エバさんが淹れてくれたお茶とお菓子の品評会。あーでもない、こーでもないと煩い。エバさんに失礼だからやめなさい。
しかし、グラムさんもペロやセラ、宗方姉弟に混じっていて違和感ゼロ。本当にドラゴンなのだろうか? 腹ペコ魔人スキル恐るべし。
「ネロくん。本当にわかっていて……? どう見てもこれも国宝級よ」
そうなんですか? たかだか初級スキルですよ。これが上級スキルとかならわかりますがね。
エバさんの話を聞くと、このスキルオーブも未だかつて発見された事がない代物のようです。単に身体強化五割増しもスキルオーブも公表されなかっただけじゃないの? 特にスキルオーブは使うと壊れるそうだから。
「スキルオーブはそうかもしれん。だが、身体強化五割増しに限ってはそれはない。必ず噂になる。それだけの代物だからな」
取り敢えず、ジンさんに渡そうと思っていた物だから問題無い。
「ジン。下手に使うと狙われるぞ」
「ああ、わかってるぜ。普段は使うつもりはねぇよ。自分を鍛える為に行くのに、これを使ったら本末転倒だぜ」
「ある意味、ジン殿が所有者で良かったのかもしれませんね。他の者では守り切れないでしょう。ネロ君が持つと言ったら是が非でも手放させるところですわ」
「まあ、ネロ君は男爵なので表だって奪いに来る奴は居ないだろうがな」
「尚、悪いですわ!」
「その為の特務部なんだろう?」
その通りです。レティさんも凄腕だけど、ドラゴン相手にする奴らが可哀そうに思えてくる。思うだけでまったく気にはしてないけどね。
「他のAFはどうなんだ?」
残りのAFについても説明する。
「「……」」
セリオンギルド長とエバさん、開いた口が塞がらない状態です。レティさん、ジンさん、ルーさんもポカーンと口が開いてます。ペロ達はドライフルーツの食べ比べを始めたようです。
「見せてもらっても良いかな?」
見せるだけなら問題無いので見せてあげましょう。ミーちゃん、起きて。
「み、みっ!?」
ミーちゃん、寝てるとこ悪いけど、管理者に貰ったAF出してくれる?
「み~」
「みゅう……」
パルちゃんも起こしてしまったようだ。ごめんね。
「みゅ~」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます