336神猫 ミーちゃん、帰り道は厳しい道のりです。
そうか、この流れ迷宮って船なんだ。
「星の外に出た神人が居るって事は、この船も宇宙に出られるのですか?」
「み~!」
ミーちゃん、そういえばお船スキーだったね。だいぶ興味があるご様子。
「残念ながらこの船は地中専用船だ」
「みぃ……」
あらら、ミーちゃんしょんぼり顔になっちゃいました。地中専用船だって凄いと思うんだけどね。
「みぃ……」
ミーちゃん、お空の上に行ってみたかったの……って、とても残念顔。でも、可愛い。
「探せばまだ残っているかもしれないぞ」
「本当ですか?」
「み~!」
「ヴァルハラ・システムがまだ稼働しているのであれば、その後に造られた船なら可能性は高いだろう。まあ、残っていればだが」
「み~」
ミーちゃん、眼をキラキラさせて俺を見てます。俺は黙って目を逸らす……そんなの見つけてどうするのよ。
「み~!」
乗って飛びたいの~! って、誰が操縦するんですか? 車とバイクの免許は持ってるけど、宇宙船の運転免許は持ってないよ。
「みぃ……」
「飛ぶだけであればAIが自動操縦できる」
「み~!?」
あぁー、余計な事言ってくれちゃったよ。この神人。ミーちゃんの可愛いお目々がギラギラに変わってますよ。
「残っている可能性はあるのでしょうか?」
「み~?」
「さあな。衛星からでは中までは見えない」
「じゃあ、活動しているこの大陸のヴァルハラ・システムの場所にある可能性は?」
「知らん。自分で行って確かめれば良い」
ローザリンデさんがハイエルフだから、エルフのユーリさんに聞けばなにかわかるかもしれない。でも、その場所に行けたとしてどうにかなるのだろうか?
そう思っていると、管理者がどこからともなく腕輪を出してテーブルの上に置いた。
「その子猫には我々の遺産を自由にする権利がある。なんといっても我々より上位者だからな。自由に使い給え。動けばの話だが」
「み~!」
どうやら、腕輪は最上位権限の鍵であり、神人の遺産全てに対応したマスターキーらしい。ミーちゃんがニコニコ顔でミーちゃんバッグにしまいこむ。
あれ? これって衛星も使って良いってこと? これは神人の残した遺産を見つけねばならぬ。
「さて、他に聞きたい事はあるかね?」
「迷宮の中にいる獣人達を地上に出そうと思いますが問題あります?」
「み~?」
「好きにしたまえ。前の管理者がしたことだ。出たければ出れば良いし、残りたくば残れば良い」
うん。これで気兼ねなく
他に聞きたい事っていうといろいろあるけど、あれから聞いてみよう。
「あなた達の事はわかりましたが、ではドラゴンとは何者です?」
「み~?」
「ドラゴンは無から生まれた生物。次元竜……彼はその中でも超越者。神により守護者の任を与えられし者」
ドラゴンは多くの異世界に居るそうだ。強大ゆえ神より自由を与えられた存在。善も悪もない中立の存在。故に存在事態が全てにおいて特異点たる存在。
特に次元竜である烈王さんは神に匹敵する力を持ち、この世界に繋がる不文律的特異点を、己がその強大な特異点故その存在で抑え込んでいる。
「彼らは我々の後にこの世界に現れた。そう、邪神がこの世界に干渉し始めた頃だ」
「烈王さんは何かを知っている?」
「み~?」
「だろうな。まあ、聞いたところで教えてはくれまい」
神人はドラゴンの強さも研究していたそうで、亡くなったドラゴンを密かに回収して調査し竜人という獣人の一種を造り出している。蒼竜の咆哮のリーダーのミュラーさんがそうだね。
とても強い種族だけど同種族同士じゃないと子を成せないうえ、繁殖力も低いという欠点もある。見たことないけどね、竜人の女性は男性のようなトカゲ顔ではなく美人揃いらしい。まさに美女と野獣って感じなのかな。
ドラゴンは中立の存在って言ってたけど、それは絶対強者だからだね。相手を全く気にしてないというか、相手にしてないだけだろう。烈王さんが良い例だと思う。
そんなドラゴンに神人は喧嘩を売ったことがあるらしい。痛み分けで引き分けたと管理者は言ってるけど、怪しい限りだ。ドラゴンからすれば面倒くさかったから、引き分けってことにしたような感じじゃないかな? 魔王ですら眼中に無いからね。
そんなドラゴンの力を借りれることは、幸運スキルだけでなくミーちゃんの猫徳のお陰でもあると思う。ありがとね。ミーちゃん。
「み~?」
さて、そろそろ本題と行きましょうか。
「先ほど、俺達が異世界から来たことを話しましたよね。実はミーちゃんがこの世界に来たのは良いのですが、元の世界の神界に帰れなくなりました。この世界の神界とミーちゃんの居た神界は現状、道を閉ざしているそうです。ですが、帰る方法が無い訳ではないそうですが、どうしても一度この世界の神界に行かなければなりません。神様に神界に行くことができる場所があることは聞いたのですが、場所までは教えてもらってません。場所を知りませんか?」
「み~?」
「ふむ。もちろん知っている」
「本当ですか!」
「み~!」
「神人がこの星に降りた道だから知っていて当然だ」
なるほど、当たり前といえば当たり前。それってどこ?
「北の大陸に氷河と万年雪の山脈に囲まれし聖域がある。そこは、モンスターなどは近づくことさえできず、ドラゴンであっても近づくことを許されていない聖域。そこに行くことができるのは、資格を持つ者のみ」
「その場所にたどり着ければ、すぐに神界へと行けるのでしょうか?」
「その場所に辿り着ければな……」
大海原を越えて北の大陸に行き、氷河と万年雪に覆われた山脈を踏破してたどり着ける場所。無理ゲーです。よくそんな場所から神人は他の大陸に行ったものだよ。神人が神人たる所以だね。
ミーちゃん、どうしよう?
「みぃ……」
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