262神猫 ミーちゃん、レーネ様の誕生会に出席する事を約束する。
出発だーなんて言ったけど、実際に迷宮探索に行くのは三日後から。レティさんを迎えに行かないと駄目だし、迷宮に入れば何日かは出てこないはず。みんなに説明しておかないと。
一旦、みんなと別れてうちに戻る。もちろん、ミーちゃんも一緒。お姉さん達がなかなかミーちゃんを離してくれず難儀したよ。
翌日にスミレに乗ってブロッケン山で妖精族さん達の作業状況を確認して、切り倒した木をミーちゃんバッグに収納してもらう。作業現場の責任者さんは狐の姿の妖精族さんでした。あのふさふさの尻尾、モフりたい……。フォルテ側から丁度全体の半分位の場所まで街道の拡張が終わっていた。
今はブロッケン山の街道の折り返し地点に休憩所を造っているところのようだ。馬車が二十台は停めれる位の広さの場所の木を切り開き整地して、土スキルで二メル程の壁を造って囲っている。入り口は木材で門を作るそうだ。これなら安心して休めるだろう。
妖精族さんにエールの樽を十樽慰労の為に置いていくと、妖精族さんから歓喜の声が上がった。ついでに干し肉と干し魚も置いていこうか?
「み~」
スミレを走らせフォルテに着くと、孤児院に既に何人かスラムの子を収容したそうだ。レティさんは病気の子と小さい子達を最優先に連れて来ている。孤児院で働いてくれる人達ももう働いてくれてるようで安心。スラムのお子ちゃま達にミーちゃんのミネラルウォーターを飲ませて回る。
小さい子達はみんな栄養失調気味、病気の子の中には結構重病の子も居るけど、ミーちゃんのミネラルウォーターがあれば大丈夫。お世話してくれてる人に良くなるまで毎日飲ませるように、ミネラルウォーターを多めに置いていく。
まだまだ収容できるので、孤児の子やスラムの子達を連れて来るようにレティさんから義賊ギルドに依頼してあるそうだ。
グレンハルトさんにも少しの間来れなくなる事を伝え、もしかしたらゼストギルド長とセリオンギルド長の紹介で私兵団に入ってくれる人がくるかもしれないのでとも伝えておいた。
ベルーナに戻ってからはベルーナの孤児院の事はルーカスさんとベン爺さんにお願いしておく。近々、うちの牧場側に孤児院用の屋敷が建つ事になる。その際の監督役だね。内装も改装されるのでその事もお願いしておいた。
さてと、みんなには少しの間迷宮に挑戦する事は伝えた。後は行くだけだなって思ったらルーカスさんに王妃様に迷宮に行く事を伝えた方が良いのでは? と言われ、その通りなので明日王宮に出掛ける事にした。
「迷宮って白亜の迷宮? 今、入れないんじゃなかった?」
「エレナさん、俺が行くのは流れ迷宮の方です」
「み~」
久しぶりにエレナさんに会った気がする。魔王やヒルデンブルグの魔物達のせいで忙しいんだろうね。
「迷宮かぁ。バロンが入れないからなぁ。残念だけど私はパスかなぁ」
誰も連れて行くなんて一言も言ってないんですけど?
「ご予定はどの位なのでございますか?」
珍しくニーアさんが聞いてきたね。
「ひと月ぐらいでしょうか? 迷宮の最下層まで行ってみたいので」
「何も無いと聞いてるけど、ネロ君は何か目的でもあるのかしら?」
なんですとー。王妃様、俺のやる気を削ぐような事言わないで下さい。
「最下層って何も無いんですか?」
「み~?」
「白亜の迷宮などはまだ最下層まで行った者はおりませんが、流れ迷宮に関しては過去にいくつかの流れ迷宮で最下層に到達した者が居ると記録にあります。ですが、何も無かったと証言されてるそうです」
「じゃあ、それを確かめてきましょう」
「レーネの誕生日が近いので、余り長居は駄目よ。ミーちゃんは必ず出席ですからね」
「み~」
ミーちゃんかい! 俺は出なくて良いのか? レーネ様が潤んだ目で見つめてくる。うっ、こう言う目に弱いんだよね。まあ、レーネ様が待ってるのはペロ達モフモフ隊なんだろうけど。
要件も済んだので帰ろうとすると、ニーアさんが一本の剣を渡してきた。この前、献上した護国の剣だね。
「ユリウス様がね。一旦、ネロ君に返せって仰られたの」
ん? 一旦ってどう言う事?
どうやら、俺の貴族抜擢が波紋を広げているよです。北、西辺境伯派の貴族に限らず、国王、宰相派の貴族まで俺が貴族になった事を問題視しているそうだ。そこで、レーネ様の誕生会の時に改めて護国の剣を王様に献上する場を作るらしい。
伝説にまでなってる護国の剣を献上すれば誰も文句が言えなくなり、ある程度はこの騒ぎが収まると見ているようだ。本当にそんな事で収まるのだろうか?
「国王、宰相派に限れば収まるわ。他は微妙ね」
「ですが、表立って批判はできなくなるでしょう」
「まあ、そう言う事ならお任せします」
後日、式典の際の打ち合わせとフォルテで手に入れた美術品の鑑定と買い取りしてもらう事を約束してうちに帰る。
これで、本当にやる事は済ませた。明日は朝一クイントに出発。そして迷宮探索だよ!
「み~!」
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