185神猫 ミーちゃん、久しぶりの野営です。

 早朝、カティアさんが用意してくれたサンドイッチを食べ馬の用意をする。


 スミレの鞍もそろそろ新調した方が良いかな、だいぶ体つきが良くなって来ている。ジンさん達は各自用意した馬に鞍を載せて、レティさんはうちの馬の中でも一番状態の良い馬に鞍を載せている。


 準備は良いか!



「み~」



 荷物はミーちゃんバッグにすべて入っている。なので、いつもの軽装です。レティさんはローブで身を包みフードまでかぶっているけど、逆に暑くない?


 ジンさん達の準備も済んだので出発する事にしましょう。


 家の人達はみんな玄関で見送りしてくれてます。ルーカスさんに自分が居ない間の事をお願いして、カヤちゃんに抱っこされてるカイとテラの頭を一撫でしてスミレに乗る。


 ミーちゃんは俺の肩の上に乗り、ラルくんは俺の前にお座り、ルーくんは俺の後ろで俺の肩に前足を乗せてミーちゃんと反対の肩に顔を乗せてハフハフいってる。ちょっとくすぐったい。



「行って来ます」


「み~」


「無事のお帰りをお待ちしております」


「姫、気を付けてにゃ!」


「にゃ!」



 うちからは西門が近いけど、東に向かうので東門に向かいスミレを歩かせる。途中、ハンターギルドの前を通った時、ゼストギルド長が居て手をあげて見送ってくれた。どうしてこの時間に通る事がわかったんだろう? 流石、ギルド長と言うところか。


 東門を出て街道を東に進むけど流石に街道には人の姿が全くない。これだと物凄く目立つんじゃないの? 反乱軍の斥候に見つかると不味くない?



「敵の斥候はすべて排除、処分している。安心しろ、少年」



 成程、そうですか……処分してるんですか。王様側の間者と義賊ギルドで反乱軍に情報を与えないように敵の間者を処分してるそうです。それも王都を出て二日の所までと言ってる。


 王国軍は王都から一日の場所を決戦の地とすると王妃様から聞いている。その場所は街道から少し離れた古戦場のようで広大な平原。正面から反乱軍とやり合うには丁度良い場所らしい。


 森や林などがあると騎竜隊と第一騎士団の攻撃を活かせなくなるので、相手には小細工無しの戦いを挑むと見せかける作戦だね。


 国王軍も今日先発隊が出て明日には本隊が出陣すると聞いているので、俺が召喚された者達の説得に使える時間は三、四日しかないと思う。移動と潜入を考えると実質一日位の時間しかないのかな。


 昼食も取らず、馬を走らせるけど限界はある。無理をしなくても明日には反乱軍の傍まで行けるだろう。陽が暮れ始めたので野営場所を探す事にした。商隊が使う街道沿いの野営場所を見つけたのでそこで野営する事になった。


 久しぶりの野営。テントの組み立てに四苦八苦。見かねたグレンハルトさんが手伝ってくれたよ。レティさんは案内役と繋ぎを取るため出かけている。ジンさんは薪を集めに行って、とローザリンデさんは馬の世話をしている。


 なんとかテントを張り、ミーちゃんとルーくん、ラルくんをテントに入れて休ませる。なかなかの強行軍だったからね。スミレ以外は……。


 そんなスミレを宥めながら体を洗ってやる。ぶるるって不満そうだね。しょうがないでしょう、スミレが普通に走っても他の馬が追いつけないんだから。


 陽が落ちたのでジンさんが集めた薪に火をつける。夕食はミーちゃんバッグから出すので、作る必要はない。レティさんどのくらいで戻って来るんだろうか?


 なんて、思ってるとジンさん達がワインを飲み始めたよ。野営中に大丈夫なの? 一応、ミーちゃんの猫砂セットはテントの裏に設置はしておいたので弱いモンスターは近寄ってこないと思うけど、夜の見張りは必要だよね?



「ネロ、これは酒じゃねぇ。俺達にとって水みたいなもんだ」


「安心したまえ、この程度で遅れをとるような軟ではない」


「なんなら、蒸留酒を出してもらっても構わないわよ~」



 いえいえ、こっちが構いますからね……。


 ミーちゃんとルーくん、ラルくんには先にご飯を食べててもらう。俺はレティさんが戻ってからにする。この酒豪達もそのくらいになると思うから……。


 食事の終わったルーくんとラルくんをローザリンデさんさんがモフモフしながら、話掛けてきた。ミーちゃんは俺の膝の上で丸くなってますよ。



「ねぇ、ネロ君。なんでこの子達を連れてきたの~。戦力的なら、ペロちゃんやセラちゃんの方が良かったんじゃないのかしら?」


「戦力はお三方で十分でしょう……。ルーくんとラルくんは別の目的の為に連れて来ました」


「別の目的?」



 ローザリンデさんがルーくんとラルくんの顔を覗き込む。ルーくんとラルくんはな~に? って顔で首をコテンと傾げてる。そのあまりに可愛い仕草に、ローザリンデさんは質問した事も忘れてチュッチュしまくっていますね。



「で、別の目的ってなんだ? 少年」


「おわっ!」



 ビ、ビックリしたよ。急に現れないでください、レティさん。


 レティさんの後ろに目付きの鋭い男が居る。この人が案内役の人なんだろう。



「それは、後のお楽しみって事で……それより夕食にしましょう」



 ウトウトしていた、ミーちゃんにお願いして夕食を出してもらう。ミーちゃんとルーくん、ラルくんはデザートタイムに突入です。



「うんめぇー! 野営でこんな旨いもん食えるなんてよう!」


「正直、あり得んな……」


「ネロ君、野営でも手を抜かないのね~」



 レティさんと案内役の人は黙々と食べてます。いや、案内役の人は鬼気迫る勢いで食べている。そんなにお腹空いてたのでしょうか?


 ミーちゃんは専用アズキアイスを食べれてご満足の様子。食べ終わると可愛いあくびをしてる。見張りの順番があるから、ルーくん達と寝てて良いからね。明日から大変だと思うから。



「み~」




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