181神猫 ミーちゃん、反乱軍を見下ろす。
お風呂は以前の王室専用の大浴場を使わせて頂きました。
ペロ、ルーくん、ラルくんも一緒です。ミーちゃんはルカ達と一緒にレーネ様と入るようです。
侍女さん達と一緒にペロ達を洗い終わると、侍女さん達が急にお辞儀をして退出して行った……嫌な予感しかしない。
案の定、後ろを振り向くとイケメン王様がお風呂に入っていて、コイコイしてますよ。ミーちゃん招き猫くらい強烈な釣り効果です。
「久しいな。ネロ。取り敢えず、あれを頼む。」
執事さんがエールの入ったジョッキを渡してきた。風呂場の中でその服暑くないのかな? なんて思いながらエールを過冷却状態にして王様に渡す。
王様は少年の様な笑顔を見せてジョッキを指で弾く。更に良い笑顔になったね。
ペロとルーくん、ラルくんは遠くで暢気に泳いでいる。
「旨い! やはりこれだ! これに限る!」
相当、気に入って頂いたようです。
「ネロ様。是非、この作り方の秘伝をお教え願えないでしょうか? 王宮中の水スキル、氷スキル持ちを集め作らせましたが、一人として作れたものがおりません」
「私からも頼む。褒美は思いのままだぞ」
王宮中って……そこまでして飲みたかったのだろうか?
「別に構いませんよ、少しの間秘密にして頂ければ。街の中央広場でこれで商売してるので、当面は製造方法は秘密にしたいので」
どうせ、何時かはマネされる。水スキル持ちは大気スキル持ちより多いらしいから。
「なんと、街の者はこれをいつでも楽しめるのか……」
お酒はやってませんけどね。でも、これは売れるか? 夕方一時間の限定にすればいける様な気がする。ふむ。
「レーネちゃんのパパにゃんにゃ」
「がう」
「きゅ~」
執事さんがコップに果汁水をくれたので、フローズンにしてペロに渡す。ルーくんとラルくんにはお皿に出した。
「冷や冷やにゃ! また競争するにゃよ!」
「がう」
「きゅ~」
「ネロの仲間は元気だな」
「ははは……」
「ルカが来て、レアとノアも来てからレーネがだいぶ明るくなった。感謝している。私もノアには癒されてるがな」
「みんな良い子です。レーネ様もお優しい方ですから、ルカ達もレーネ様が大好きです」
「うむ、そうであろう。話は変わるが明日の事は聞いているな」
「はい」
「ネロのこれまでの尽力に報いる為、あ奴らを必ず討ち取る。ロタリンギアにも目に物見せてやろう。その暁には、ネロに爵位を与える故、謹んで受けるが良い」
「えっ!? いや、あのう……」
「安心しろ。形だけの爵位だ。今までと何も変える必要はない。肩書が増えるだけだ」
それが、面倒なんですけどね……。
その後は雑談程度の話をして風呂を出たよ。風呂に入ったのに異常に疲れた。早く寝よ。と思ったら、ニーアさんが来てフローズン作りをさせられた……。明日、誰かに教え込もうと心に誓ったね。
翌朝、朝食後王様付きの侍従さんと王妃様付き侍女さんに、水スキルの訓練をおこなっている。なかなか苦戦している。カヤちゃんのように年齢的に考え方が柔軟性に富んでいるか、クラウディアさんのように氷スキルである程度感覚を掴んでいる人は比較的理解しやすいのかもしれない。
ある程度人生経験を積み固定概念に縛られると、絵で描いて教えても自分の常識が邪魔して上手くいかないようです。大気スキルのようにわかりやすく実験でもできれば良いのですが、目に見えない水分子を説明するだけで一苦労ですよ。
そんな所に、兵士さんがやって来てニーアさんと何やら話してます。
「アンネリーゼ様。始まったようでございます」
「そう、それで被害状況は?」
「街に被害は出ていない模様。城門前に兵が集結しているそうでございます」
「それでは行きましょうか。ニーア、レーネを部屋に」
「承知しました」
うーん、俺はどっちに行ったら良いのかな?
「ネロ君、行きますわよ」
そっちなんですね……。ミーちゃん行こうか、みんなレーネ様をよろしくね。
「み~」
「わかったにゃ」
「がう」
「きゅ~」
王妃様に連れて来られた場所は、王宮からベルーナの街が見下ろせ城門の前も見下ろせる場所。騎士団が出撃する際に、王様が騎士団に手を振ったりする場所だね。
城門から二百メルくらい離れた場所に完全武装した兵が盾を並べ、その後ろに様々な格好をした兵達が居る。そして所々に貴族を示す旗が掲げれ己を誇示してるかのようだ
流石に、二千もの兵士が集まると敵ながら壮観だね。
「み~」
こちらの城壁の上には弓兵がズラッと並んでいる。城門の手前には近衛兵が毅然と整列して上官の指示を待っている。
「私も恨まれたものだな。これほど多くの貴族が集まるとはな」
「陛下に恨みを持つのは筋違いでございます。己の無能さを恥じるべきかと」
王様と宰相様が先にいらして、眼下を見下ろしている。
「ですがこれで大掃除ができますわ。無能で役立たずの害虫駆除ができ、国庫も潤う事でしょう」
「御意にございますな、馬鹿者どもに払う金を国政に使えば多くの問題が片付きましょう」
反乱軍の集結が終わったようで、五十名ほどの盾を持った兵と御輿が城門前に進んで来る。城門から百二十メルほど手前で止まり、五十名の盾持ちが円陣を組み盾を構える。弓の攻撃に備えての事だろうね。
百二十メルなら長弓なら余裕で届く距離だけど、狙撃となると難しい。弓の名人なら可能かもしれないけど、矢が放たれてからでも盾を構える時間がある。そこら辺を考えた距離なのかも。
御輿から老人らしき男が出てくる。
「ヴィッテルスバッハ候ですな」
「老害の筆頭ですわ」
「うむ」
ヴィッテルスバッハ候の横にもう一人貴族の身なりをした男がいる。
「リッテンシュタイン候もおいでのようです。ヴィッテルスバッハ候が匿っていたようですな」
「ヴィッテルスバッハ候が黒幕と言う事でしょう。丁度良いではないですか、これで先王様の仇を打てますわ。ユリウス様」
「嗚呼、わざわざ向こうから来てくれたのだ。まとめて奴らの息の根を止めてやろうではないか」
後で聞いた話だけど、リッテンシュタイン候と言うのは元は先王様の側近でその先王様を毒殺した首謀者らしいです。今まで行方不明になっていたらしく、まさしく仇敵登場と言うところだね。
リッテンシュタインと言う男が一歩前に出て、拡声器の様な物を取り出した。ゼルガドさん以外の人で作った人が居たみたいだ。
どうやら、口上を述べるようです。なんとも余裕のある戦いだよ。
こんな事になんの意味があるんだろうね。
「み~」
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