79神猫 ミーちゃん、飛竜に興味津々です。

 なんて言おうか? お金くださいとは流石に言えない。


 そう言えば、この国は武を重んじる国、買い集めた武器防具を買ってくれないかなぁ。



「多少手持ちが少なくなってきてます。できれば、私の趣味で集めた武器防具を買い取って頂けませんか」


「工面せよでは無く、買い取りとな?」



 くれるなら喜んでもらいますよ? ですが、武器防具を売ってお金に変えれれば問題ないです。



「わかった、手配しよう」



 と言う事で、大きな部屋に来ました。大公様も来られています。他には王宮お抱えの鍛冶職人さんにカールさんなどの兵士さんも数人いますね。


 ミーちゃんにミーちゃんバッグから武器防具を出してもらう。王都で一度売ったにも関わらず、大量にある。いつこんなに買ったんだっけ?


 みなさんが剣などを真剣な眼差しで見ている。



「修繕は必要ですが、良い品が多いですな」


「名品と呼べる物もいくつもあります」


「どうやってこれだけの品を……」



 良い感じです、高値が期待できそうだ。元金がどれだけだったかはっきりしませんが、王都を出る時は八百万レトはあったはず。それがスカスカですから、五百万レトくらいは投資してると思う。コボルト族のみなさんに少しあげたけどね。



「これ全てを買い取って良いと?」



 流石の大公様も困惑している。大公様は鍛冶職人さんに尋ねてる。



「概算でどのくらいになりそうじゃ?」


「ざっと見積もっても二千万レトはくだらないかと」


「陛下が買わぬのであれば、騎竜隊で買い取りましょう」


「あいや、待たれよ。近衛隊でも買い取りたい」



 オホホホ……四倍ですか、安い物なら土地付き一戸建てが買えるんじゃないですか? まだアクセサリーや骨董品も残ってる。ウハウハです。


 早急に精査して明日までにお金を用意してくれるそうです。


 明日の朝、王宮に来る約束をして侍女さん達に惜しまれながら王宮を後にした。誰がとは言わない、悔しいから。


 宿に帰る前にテントを買いに行こう。今度は三人用かな。帰り道の道具屋に寄り頑丈な物を選ぶ、ミーちゃんがスンスン匂いを嗅いで



「み~」



 OKが出たので買う。前のテントは下取りしてもらったけど、たいした額にはならなかった。


 宿に戻りメイドさんに明日公都を発つと言うと残念がられた。何度も言うけど、誰がとは言わないからね。


 そこで昨日以上に夕食を作ってもらうようにお願いする。一流の料理人の作る料理はやはり美味しい。ミーちゃんバッグに収納していこうと思う。


 そして、今日の夕食も大変だった。運ばれて来ても運ばれて来ても、消えていく。主にペロとセラのお腹に……腹ペコ魔人が二人に増えた!?



「ウマウマにゃ」


「にゃ」



 結局、余った料理をお皿に取り分けてミーちゃんバッグに収納してもらった。もっと収納するはずだったのに……。


 お風呂に入った後は、メイドさん二人が別れを惜しんでみんなをモフりまくっている。ミーちゃんはアズキアイスに夢中。ペロペロ、美味しそだね。


 その後は、こんな良いベッドで寝る事なんてもう無いかもしれないと思いながら就寝。


 翌朝、ペロの捜索の後早めに朝食をとりメイドさん二人に支配人さん、厩務員さんに惜しまれつつ見送られて宿を出た。最高の宿だったけど、自腹じゃ無理だね。


 ほのかに潮の香りを含んだ朝靄のかかる街並みを抜け、王宮に向かう。


 王宮に着くと赤と黒の飛龍が二頭居てこちらをギロリと見てくる。怖ぇーよ。その飛龍の横を悠然と歩くスミレって男前過ぎるんですけど……女の子だけどね。俺以外は飛龍に興味津々のようで、ミーちゃんなんかキャリーバッグから飛び出さんばかりに体を出して飛龍をガン見している。



「み~」


「飛龍だにゃ!」


「にゃ」


「がう」



 王宮の正面の入り口に大公様が居らっしゃった。スミレから降りて挨拶をする。



「おはようございます」


「うむ、おはよう。この子がネロ君のバトルホースじゃな。良い面構えをしとる。飛龍を前にして物怖じせんとは、我が騎士団のバトルホースに見習わせたいものじゃな」



 執事さんが大きな袋を渡してきた。確認すると金貨です。凄いです。お金持ちです。確認してくださいと言われたけど、すぐにミーちゃんバッグに収納してもらった。



「確認せんで良いのか?」


「信用しています」


「そうか! ワッハッハッハッ!」



 通用口の方から軽装備の男女二人がやって来て、大公様の前でひざまついた。



「準備は良いか?」


「「ハッ! いつでも」」


「こちらが護衛対象のネロ君だ。アンネリーゼの友ゆえ失礼の無きようにな」


「「ハッ!」」


「この仏頂面の男が騎竜隊の副隊長のマーティンだ。ブロッケン山までついて行く、白狼族の長殿との仲介を頼む」


「マーティンだ。よろしく頼む」


「そしてこのじゃじゃ馬娘が儂の姪のエレナじゃ」


「じゃじゃ馬ではありません。エレナです。よろしくね」



 マーティンさんは仏頂面と言うより無表情な人だ。エレナさんは赤髪の美人さん。王妃様の従姉妹になるのかな。美人で当然だね。エレナさんはミーちゃんの顎の下をむにゅむにゅしている。



「み~」


「気に入ったらくれてやるぞ。どうだネロ君」


「陛下!」


「ワッハッハッハッ! ネロ君にはちと早かったかのう!」


「これでも十八ですけど……」


「「……」」



 この場が凍りついた……俺の水スキルより瞬間冷凍だった。無表情のマーティンさんや執事さんまで、目を大きく開けて驚いてる。そ、そこまでなのか!


 ミーちゃん、帰ろうか……。



「みぃ……」





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