56神猫 ミーちゃん、王都に着く。

 ここのバザーでも骨董品や価値の高い装飾品を買い漁る。ペロが不思議そうに見てる。



「そんなに買ってどうするにゃ?」


「別の場所で高く売るんだよ。名付けて、わらしべ長者作戦」


「ネロの考えてる事よくわからないにゃ……」



 そんなに難しい事は言ってないような気がするんだけど……。


 さて、恒例となりました。武器防具を売っているエリアで物色開始です。



「み~」



 おや? ミーちゃんどうしました? ミーちゃんがある店の前で俺の肩をテシテシ叩いている。ま、まさか、あれですか!


 そのお店の品を注意深く見ていく……ありました。AFです。短めの曲刀です。やはり汚れていて見た目は酷くAFになんて絶対に見えない。



「おっちゃん。これいくら?」


「んー、一万レト」


「じゃあ、これも一緒に買うからまけてよ」


「なら、合わせて二万でどうだ」


「買った」



 ウッシッシ。AFゲットだぜ。



「ミーちゃん、ありがとね」


「み~」


「そんにゃ、ばっちい剣どうするにゃ? あっちの剣の方が良さそうにゃよ」



 フッフッフ。ペロくん、君は甘いのだよ。蜂蜜の如くとても甘いのだよ。後で教えてあげよう。


 その後も物色を続けたけどAFはなかった。そろそろ集めた物を売りたい。買ってばかりなので、元手が少なくなってきた。王都で良い店見つけて売りましょう。


 スミレの所に戻り、準備をして街の門を出る。


 ミーちゃんはキャリーバッグの中、ペロは俺の前に座らせた。スミレには急がないのでゆっくりで良いよと言ったけど、無視された……。スミレさんや、そんなに急いでどこに行くのかね? ぶるるっと王都に決まってるでしょうって目で見られてしまいました。ごもっともでございます。はい。


 見晴らしの良い草原でお昼にする。ついでに、AFをちゃんと鑑定してみる。AF 見えざる爪と出ているね。説明が無いのは鑑定の熟練度不足なのかな?



 近くに落ちていた木の枝を切ってみる。木の枝が四っつになった。五セン間隔くらいかな。剣の本体の両脇に見えない刃があるようだ。違う枝を拾って刺してみる、一ヵ所にしか傷が付かない。切る時だけ発動するようだね。安心した、鞘に戻す時手を切らずに済む。



「それなんにゃ?」


「AFだよ」


「AFにゃ?」



 ペロは知らないようなので教えてあげた。



「そ、それ欲しいにゃ! ネロ、お願いにゃペロにおくれにゃ! 一生のお願いにゃ!」



 まあ、最初からペロに丁度良いかなって思っていたんだよね。



「言っとくけど、もの凄く貴重な物なんだからね。ミーちゃんに感謝するんだよ」


「姫~! 絶対、姫にしっぽを向けて寝ないにゃ~」


「み~」



 いやいや、ペロ君。君寝相悪いからね。絶対にミーちゃんに尻尾向けるよ。確実に。


 取り敢えず、王都の武器屋で綺麗に修繕してもらってからだ。


 昼食を食べ、ほんの少し昼寝を楽しんでから出発する。


 王都ベルーナにはそれから一時間くらいで着いてしまった。スミレ速い。


 王都ベルーナは、デカいの一言。遠くにお城が見える。クアルトの何倍くらいあるんだろう?


 門に着くとそれ程混んでおらず、緊急用の手形を使うまでもなかった。衛兵さんにハンターギルドの場所を聞き行ってみると、クアルトやクイントの倍以上の大きさの建物だった。


 夕方にはまだ早いけど、結構な数のハンターさん達がギルド内に居る。


 ずっらと並んだ受付の一つに行って、緊急用の手形と職員証明書を見せてギルド長との面会をお願いする。


 受付のお姉さんが慌てて奥に走って行き、男性職員を連れてきた。



「統括主任のセルティオです。ご要件はなんでしょうか」


「クイントから来ました。ネロと言います。こっちはミーちゃんとペロです。ゴブリンの襲撃からの援軍要請、及び国への領主からの騎士団の出撃要請の手紙を預かって来ました」


「私がお預かりして、ギルド長にお渡ししましょう」


「申し訳ありませんが、直接お渡しするように言われています」


「そうですか。ギルド長は只今留守でして、夕方には戻ると思います」


「わかりました。では、また来ます。受付を通らずお会いできるようにして頂けませんか?」


「それでは、裏口から入れるように手配しておきましょう」



 セルティオさんに礼を言った後、お勧めの宿を聞いておいた。


 陽はまだ高いけど、一応、宿は取っておこう。お勧めの宿に行き、取り敢えず一泊お願いする。裏の馬舎にスミレを連れて行き洗ってあげる。今日はゆっくり休んでね。スミレはぶるるっと頷いた。明日はどうなるかわからないからね。


 夕方まで時間はまだまだあるので近くを歩いてみる。大きくて広いとし言いようがない。メイン通りの道幅もクアルトの倍近くある。立ち並ぶ建物も殆どが、石やレンガ造りになっている。歩いてる人も多く、着ている服も垢抜けた感じがするね。


 どう贔屓目に見ても、俺とミーちゃん、ペロはおのぼりさんにしか見えないね。



「凄いにゃ……」


「そうだね……」


「み~」



 ミーちゃんは物怖じしない性格だから、気にしてないみたい。小心者の俺としては見習いたいところだよ。


 宿の周りを見てまわり共同浴場を見つけた。中に入って話を聞くと、ミーちゃんもネロも入って良いそうだ。お金は取られるけどね。王都には四つの共同浴場があり、日中も入れ日中は空いてるそうなので、日中にくる事を勧められた。


 せっかくなので入って行きますかね。ミーちゃんとペロがいるので、マッサージは無しで頼んだ。ペロと並んで三助さんに洗ってもらうと、ペロはあわあわになっていた。洗い終わった後、泡だけもらってミーちゃんを洗ってあげると、ミーちゃんもあわあわになってわんこのようになっていた。ミーちゃんは楽しそうだったよ。



「み~」





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