小林泰三|失われた過去と未来の犯罪 第1回

作者 文芸カドカワ

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★★★ Excellent!!!

この作品の作者である小林泰三氏の著書『天体の回転について』に収録されているとある短編に、この作品と同じ設定のものがあります。そちらの物語の冒頭では世界が混乱するに至った経緯が簡潔に述べられており(その設定がまたなんとも知的に面白い)、本編はその現象が起こって長い年月が経過した後の世界を描いたものです。人類はその現象に対するとある対処法を獲得しましたが、それには幾ばくかの短所があり、そのシステムの間隙を巡って事件が起こる……というものです。
一方、こちらの作品では世界を揺るがす現象が起こった直後の人類についてを掘り下げていくようです。作品の性質から鑑みるに「何が起こっているか」も含めて小説の楽しみどころになっているようですので先述の短編を先に読むことはあまりお勧めしませんが、こちらの作品を全て読んだ暁には是非『天体の回転について』をお手に取ることを推奨します。