第四十一話 兄の尻尾は2本ある?

 金を焼き払うべく、続々と玄関の中に入るクローバーのメンバー達。

 一方、東京銀行の周りでは、ディフェンサーズを警戒し、監視しているメンバーが10人ほどいる。

 

 「ウィリアム、なんでお前も来たんだ?」


 鎌を持った女幹部、、イザベルはもう一人の筋肉質の幹部、ウィリアムに問いかけた。


 「エルドンがやつらに殺られたんだ。もしやつらが来たら、エルドンの分まで皆殺しにしてやる」


 ウィリアムは険しい顔を浮かべている。

 彼の弟、エルドンはアマツ達によて命を落とした。

 ウィリアムは、弟を殺したディフェンサーズに復讐するべく、この東京銀行に自主的に参戦した。

 弟よりもがっしりとした体格を持つ男は、腕組みをしながら警備をしていた。

 すると、二人の通信機に通信が来た。


 「......大金庫室に金が全く無い!?」


 二人は驚いた。

 その後に入ってくる情報も、無い、無い、無い......


 「一体どうなっているんだ......まさか!?」


 と、イザベルが嫌な予感を察知したような発言をした直後、


 「ぎゃあああああああ!!!」


 と、断末魔が聞こえる。

 二人が辺りを見ると、他のメンバーが全て倒されている。

 そして、そこに一人立っている人物は、クローバーメンバーと同じ黒いパーカーを着て、血が垂れている二つの日本刀を持っている。

 そして、その人はパーカーを取ると、金髪のロングヘアーとミニスカートが風に煽られ揺れているのが確認できた。

 

 「こんばんわ」


 ムートンブーツを履いた彼女、ララは静かに笑いながら挨拶をする。


 「く、ディフェンサーズ!!」


 それと同時に、玄関から他のディフェンサーズが入ってくるのが分かった。


 「ディフェンサーズか......弟の仇、取らせて貰うぞ!」

 

 と、ウィリアムが言った途端、彼の目の前にララが飛んできた。


 「もう始まってるよ?」


 彼女はそう言いながら、二つの日本刀をウィリアム目掛けて振る。

 しかし、それは2つの真っ赤な物体によって止められた。


 「お」

 「なにオモチャで遊んでるような笑顔してんだ」


 ウィリアムは敵討ちと言わんばかりに、ララを睨み付ける。


 「はは、そんなに怖い顔しないでよ!」

 

 と、ララはせせら笑いをする。


 「ウィリアム、私は他のディフェンサーズ戦士を倒しにいく。そいつは任せた!」


 と、イザベルがディフェンサーズが入った東京銀行の中に入るため、この場を去ろうとする。


 「逃がさない」


 と、今度はイザベルの方に刃を向ける。

 そして、彼女を斬ろうとしたとき、待たしてもウィリアムの尻尾によって阻まれる。


 「お前の相手は俺だ」

 「ふふ、まあいいわ」


 と、ララはイザベルへの攻撃を諦めて、再びウィリアムに攻撃を始めた。


 「覚悟っ!!」


 ララは空中に飛んだかと思えば、体を回転させながらウィリアムに襲いかかってきた。

 ウィリアムは一本の尾でガードし、もう一本の尾でララの体を貫こうとする。

 しかし、それは間一髪で避けられると、裏に回り込まれる。

 そしてその攻撃を、を彼はなんとか防ぎきる。


 「く......こいつ、動きが読めねぇ......」



 彼女の出鱈目な動きに、ウィリアムは翻弄されていく。

 すると、またしても背後を取られる。


 「くそっ!!」


 と、日本の尾を彼女に向かって突き刺していくが、それを避けられると、今度は正面に回られた。


 「隙、みっけ!」


 と、彼女は一回しゃがみこみ、刀を二つ同時に振り上げた。


 「っ!!」


 ウィリアムは身体を反らすが、よけきることはできず、胸の辺りに切り傷が二つできた。


 「ああ、避けられた!」


 と、ララは道路のそばに植えられている木の幹に足をつける。


 「......だけど次は!」


 と、ララは木の幹を蹴ると、また出鱈目な動きでウィリアムを翻弄しようとする。

 

 「ふんっ!!」


 ウィリアムは二つの尻尾をララに向けて飛ばすが、いずれもララの刀で弾かれ、地面に突き刺さってしまう。

 そして、ララはウィリアムの真正面に回り、飛び上がると、刀を同時に振りかぶる。


 「ばいばい」


 と、ウィリアムを見下すかのような笑みを浮かべ、刀を振り下ろした。


 これでウィリアムの体は三等分に切り分けられた......かと思いきや、剣は赤い尻尾に止められる。


 「え!?」


 確かに二本とも地面に刺さっている。

 なのになぜ、もう一本......。

 

 「......あまり俺を怒らすんじゃねェ」


 と、ウィリアムはララの方にゆっくりと顔を上げ、睨みつけた。

 そして、さらにもう一本の尾が、ララを横に薙ぎ払う。


「――俺のそれは、4本ある」


 ララはそのままビルの一階に突っ込み、窓を割って中に滑り込んだ。


 「ぐ......」


 ララは二つの刀を握ったまま口から血を垂らし、倒れているままである。

 ウィリアムはゆっくりとビルの中に入っていく。

 

 「あばよ」


 と、さっきのララの「ばいばい」という言葉を返すかのように言うと、四本の尾を一斉にララに突き付けた。

 勝敗は決したはずだった。


 ......その時、ララの目が真っ赤に光出した。


「......調子に乗るんじゃねぇよ、クズが」




 

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