第二十三話 No.3はお嬢様

 廊下から現れた、ドレス姿の女性。

 彼女はゆっくりと王室の中に入ってきた。


 「貴方が、大魔王ペソね」

 「誰だ......?」


 ペソは彼女に問いかける。


 「私は、ミカ・レヴェリッジよ」


 彼女は澄んだ声を出して、自らの名前を言う。


 No.3 ミカ・レヴェリッジ......今は亡き両親が資産家だった彼女は、L市に構えている豪邸に住んでいる。

 そこで、一人の執事と義妹と共に暮らしている。


 「ミカだ......」

 「ついにNo.3がきたか」


 アシュリーと黒幕さんは彼女の登場に安堵したかのように言った。


 「ミ、ミカ......やっと来てくれたの......」


 エドナは声をだすのも一苦労なくらいに疲れきっていた。

 ミカは一通り王室を見ると、エドナに問いかけた。


 「エドナ、デリックはどこにいるのかしら?」

 「デリックは、あそこ......」


 エドナは、鉄の塊を指で指した。


 「......なるほどね」


 彼女はあれがデリックのロボットだと言うことを察した。


 「貴様も俺に肉塊にされたいのか......」


 ペソは大きさのわりには小さい目でミカを睨み付けた。


 「肉塊? なるのは......」


 すると彼女は、ペソの正面に輪を出現させた。


 「......貴方じゃないの?」


 彼女が言い終えた途端、その輪は大きな発射音を出してビームを撃ち出した。

 ビームは、ペソの顔面を直撃した。


 「ぐ......!?」


 ペソは後退りをした。

 ミカの攻撃は効いているようだ。


 「あ、後ずさりした!」


 エドナはその光線の威力に改めて驚いた。

 そのビームの威力は、輪の大きさによって決まる。

 輪が大きいほど威力は高くなり、場合によっては120mm戦車砲よりも威力が高くなる。


 「ふん!!」


 ペソはミカに向かってパンチを一発浴びせようとした。

 だが、ミカは光の壁を作り、それを防いだ。

 壁の周りの床は衝撃波でへこんだ。


 「ん!?」


 ペソは首を傾げた。


 「そんな力じゃ私のバリアは壊せないわ」

 「なんだと!?」


 挑発に乗ったペソはもう一回バリアを殴ろうとする。

 すると後ろから輪が出てきて、ペソの背中を攻撃した。


 「ぐおお......」


 ペソは倒れかけるが、足で踏ん張った。


 「ぐ、小賢しい!」


 背中から煙を上げているペソはミカを掌でかざしてビームを打ちまくる。

 ミカは所々に壁を作り、それを足場にしてうまくかわしている。


 「ほら、当たるのよ!」


 ミカは空中に飛ぶと、自分の前に複数個の輪を作りだし、そこからビームを出した。

 ペソも体格に似合わないスピードの速さでビームをかわしていく。


 「うわあ、なんて高レベルな戦いなんだ......」

 「ミカと比べたら僕たちはどれだけ非力か、泣きたくなるくらいに思い知らされるな」


 彼らはミカの実力に脱帽した。


 「はぁ......」


 ペソは疲労したのか、一旦ミカへの攻撃をやめた。

 ペソは彼女に対して苦戦を強いられている状況だ。


 が、ミカもそれほど余裕ではなかった。

 ミカは、エネルギーの使い過ぎで、少し息を切らしていた。


 「あんなにビームを浴びせたはずなのに、ダメージが無いように見えるわ......」


 と、ミカは言う。


 確かに、あれだけビームを浴びせたら、ほとんどのエネミーは跡形もなくなるはずなのだが、

 ペソの場合、固すぎて攻撃が通ってはいるが、その傷が見当たらない。


 「ミ、ミカ......」


 エドナが話しかけた。


 「なに、エドナ?」

 「あいつ、回復してるわ」

 「回復!?」


 ミカは驚いた。


 「そんな風には見えなかったわ......」

 「そもそも傷があまりついていないから分かりにくいのよ! 私、ペソの右足の傷が治っていくのが見えたの!」


 彼女は少し考え込んだ。


 「......確かに、思い返してみれば、あれだけ傷つけたはずなのに、今は無傷だ......」


 と、ペソのビームが飛んできた。


 「うわ!?」


 二人はそれを避けると、再びミカは彼に向かっていった。


 「まあいいわ、いまから弱点を見つければいいのよ!」


 と、ミカは意気込んでいった。


 が、その直後、ペソのビームがミカの右腕をかすった。

 彼女はバリアを張るのが遅れたのだ。


 「きゃあっ!!」


 ミカは悲鳴をあげなから地面に膝をつき、その右腕を押さえた。

 彼女の体は一般女性人並に脆いのだ。


 その時、その右腕を押さえる彼女の前に、掌から炎を出しているペソが。


 「これでとどめだ!!」


 ペソはそういうと、その炎をミカに放射した。

 その炎はかなりの高威力で、アマツのファースト・ファイアよりも高い。


 エドナ達はその光景をただ見つめている。

 あの威力なら一般の人はもちろん、エドナ達もあっという間に骨だけになっている。


 ......だが、彼女は違う。

 彼女はある能力を持っていた。


 『超適応スーパーアダプト








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