3日目 放課後 梔子賭針
『殺される』
この言葉を聞いて俺の体に一気に緊張が走った。
「それは……どういう事だ」
こいつの口から『殺される』という言葉が出てくるという事は、湊都が殺された事にはあの男が絡んでいるという事だ。いや、むしろ。
湊都を殺害した犯人は梔子賭針かもしれない。
「……ここじゃマズいから場所を変えさせて」
湊都に言われて俺達は玄関を出て庭へ入った。
庭には誰もいない。ここなら大丈夫だろう。
湊都は辺りを見渡してから話し始めた。
「昔、湊賭家と梔子家は私が生まれる前から交流があって賭針とは小学生の頃から一緒に遊んでいたの。いつも変わった趣味を持っていたんだけど小学校5年生の夏休みの自由研究をし始めた頃から恐ろしい趣味を持ち始めたの」
恐ろしい趣味? 小学生で?
「一体どんな趣味なんだ?」
俺が聞くと湊都は一拍置いて答えた。
「解剖。動物や生き物を解剖する事が趣味になったの」
「んなっ!」
解剖!? 怖っ!
「何で解剖なんか!」
「さっき言った5年生の自由研究で『犬の体内』っていうテーマで飼っていた犬の死体を解剖したの」
「嘘だろ……」
小学生時代はもちろん、今の俺でもやりたくない。
「それから賭針は自由研究以外でも虫や魚、爬虫類とかを捕まえては解剖しているの。解剖したものはホルマリン漬けにして部屋に飾っているみたい」
「魚はいいが、それ以外の生き物を解剖するのを趣味にするのはなぁ……」
「怖いでしょ。でも家族は『将来の為になるなら』って事で黙認しているの」
「まぁ、将来の為にはなるな」
理系分野に進むきっかけになるし。
「でも私、最近アイツの家に行った時、あるノートを発見したの」
「ノート?」
「……そのノートを見た時、賭針に初めて恐怖心が沸いた。兄弟みたいに仲良くしていたけどその時からあの男を見るだけで恐怖心が沸くようになったの」
初めて見た。湊都がこんなに怯えている姿を見せるなんて一体……。
「何が書いてあったんだ?」
「……人間の解剖の仕方。しかも自分流に考えた方法がびっしり詰まっていたの」
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