眉目秀麗、頭脳明晰、才色兼備、それでいて大きな病院の跡継ぎの少女。しかし少女の日常は色を欠いていた。学校では男子たちに気味悪がられ、家では成績のことばかりで、まるで檻の中にいるようだった。
そんな少女の目を引いたのは、明るく元気で運動神経抜群の少女だった。「檻」の中にいる少女は、太陽のような笑顔の少女に憧れ、自分を月の様だと感じる。
やがて少女は「檻」の中にいることに、限界を感じ始め、家を飛び出す。公園で出会ったのは、太陽のような少女。太陽の少女は言う。
「あんた、私のこと、見てたでしょ?」
「どうして、わかったの?」
「私もあんたのこと、見てたから」
ここにきて月の少女は、互いに意識していたことを知るのだった。
そして、ついに月の少女は、自ら檻を脱する。
その日は、雨が降っていた。
そして二人の少女は……。
切なくも美しい物語。
是非、ご一読ください。