安心価格のプラネット寿司

笹垣牛蒡

安心価格のプラネット寿司

 寿司のネタと言うものは、日々進化している。

 もちろん変わらない伝統的な食材もあるが、実はこっそりとすり替わっている物も沢山有る。

 例えばイクラはもはや魚の卵ですらなく、人口の加工品がイクラと称されている事もある。

 またエンガワ、と言えばヒラメと思いがちだが、実は3mにも及ぶ別な魚であったりもする。

 そんな寿司ネタは、将来どうなってしまうのだろうか・・・


「いらっしゃい!」


 寿司屋の暖簾をくぐった男は、板前の正面のカウンターに座った。

 オシボリで手を拭き、お品書きに目を通す。


「大将、おまかせコース頼むわ」


「へい」


 大将はテキパキと手際よく寿司を握っていく。

 それを眺めながらお茶をすすり、男は思う。

 仕事のためとは言え地球を遠く離れ、栄養のバランスや保存から三食毎日シリアルを食い続けた。

 脳は血の滴るステーキや新鮮な刺し身、油の浮いた豚汁と白米を求め続けていた。

 だがまずは好物の寿司だろう。

 一食で多彩な味を楽しめ、新鮮な魚と白米が食べられる。

 今を置いてイツ寿司に行くと言うのだ!と。


「おまたせしました!」


 下駄の上には8貫の握り。


「おっ、いいねぇ」


 男はまずは白身の握りに手を付ける。

 グッと歯ごたえがあり、淡白ながらも噛めばしっかりと魚の味が口の中に広がる。

 次はウニ。

 そしてマグロ。

 男は一つ一つ噛みしめるように味わい、全て平らげて大将に感謝をしたくなった。


「いや大将、うまかったよ。俺っちは久しぶりに地球に帰ってきたんだけど、やっぱ地球の飯は格別だね。それを抜きにしても、ここの寿司はうまかった。特にウニは味が濃くてうまかった。最後に食った赤身なんて脂が乗ってて表面が虹色にみえたってもんだ。

どこ産だい?」


「へぇ。

マグロは22光年離れたケンタウから取り寄せ、ウニは68光年離れたマーナ星のメガトンウニ、最後に召し上がったのは186光年離れたモーグドー星人のエンガワで御座いますよ」


「あ、あぁ俺そこから帰ってきたんだわ…」

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安心価格のプラネット寿司 笹垣牛蒡 @sasagaki_gobou

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