【第七章】全てを赦して・・・
第70話 一輪の花 -Kazu side-
20●●年12月22日。02時31分。
屋上への出口を見つけた二人は、1,2,3のタイミングでドアを蹴破った。
その刹那。
バンッ!!
キーンと響く耳鳴り。
銃声!?
「ナオキっ!!」
「カズさんっ!!」
俺たちが名を呼び合う声は同時だった。
「大丈夫っすか!!」
幸いにも弾丸はどこにも当たっていないようだ・・・。
すぐ近くでは、一人の少年が煙の立ち昇るピストルを手に腰を抜かしている。
「シャレになんないっすよ。マジでゲームオーバーかと思いました」
「刑事ドラマの真似事なんてするんじゃなかったか・・・。このガキは建物の外に狙いをつけてたみいだね。突然開いたドアにビビって、つい引き金を引いちゃったってパターンか・・・」
即座に考えたシナリオは、あながち外れてもいないようだ。俺たちは、へたり込む少年の前で緊張を解いた。
だが、その平穏は一時の幻だったのである。
「カズさん!大変っす!誰かが流れ弾にやられたみたいっす!」
(まさかっ!!)
吐き気を催すほど最悪なイメージが頭をよぎる。
そして、ベランダの手すりから身を乗り出すように目やった先には・・・。
(嘘だろ・・・・)
あまりにも無慈悲すぎる。
暗がりに横たわる一輪の花。
白いコンクリートがドス黒い血で染まっている。
俺は、ピタリと貼り付く喉を強引にこじ開けた。
「アヤカーーーー!!」
叫びに気付いてこちらに顔を向けるのは紛れもなくベンさんだ。
悲しい瞳・・・。
応急処置にあたる男たち。
毛布やタオルを手に駆け回るドラゴンフラッグの下っ端メンバー。
彼女を襲った銃撃が想定外のアクシデントであったことだけは間違い無さそうだ。
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