第13話「清錠連続少女失踪事件『天使狩り』」


   2

 

 清錠都市連続少女失踪事件。通称『天使狩り』

 天使と呼ばれる美少女が、神隠しにあう都市伝説。

 それはこの学園都市の暗部であり、同時に、煌びやかな部分でもある。

 

 清錠都市。

 

 前方を海に閉ざされ、後方を山に閉ざされていて、左右を川と谷に閉ざされた指定都市。

 名前の由来は諸説あるが、清浄な錠前、清く美しい集落を起源とするという説が有力だ。

 だが、ともすれば、青少年の純潔すら連想させる語感とは裏腹に、この街には、正反対の文化がある。

 それは僕らのあいだでも、大人たちのあいだでも、なかば禁句のようなものになっており、決して表沙汰にはならないが、それでも確実に存在する。

 

 少女売春の温床となっているのだ。

 

 十代の思春期の少女が、ただ単に綺麗で儚く、手の届かないものだという男子高校生の理想は、間違っている。

 別の意味で、金銭的に、手の届かない遠い存在――それこそが、一方で、現実にある。

 無論、当然のことながら、援助系の「異性交遊」をしている少女の数が、多いわけではない。

 むしろ、実数としては、圧倒的少数にあたる。

 おそらく統計をとれば、他の郊外の都市と、それほどかわらない数値になるだろう。

 にもかかわらず、それがこの街で『天使ウリ』などとよばれ、やたらと周囲の耳目をひくのは、やはり少女たちが自身を彩る、その装飾のせいだろう。

 天使の羽根。

 そんな一見チープで、古くさい装身具アクセサリーを身に纏うという流行が、この街には数年前から存在し――石畳の洋風建築の街並みに、ほどよい調和を与えていた。

 

 使

 

 犯罪件数は数件。未だ二桁に満たない数だが、それでも現場に残された特異な「謎」が――ただの誘拐事件とも異なる、不気味さを与えている。

 

 天使狩りの犯人は現場に血痕と羽根を残す。

 同時に、犯人は、容姿の綺麗な少女ばかりを狙う。

 

 では、なぜそこまで奇妙な出来事が、事件として扱われず、単なる都市伝説として放置されているのか。

 理由は、いろいろある。

 素行不良の、家出少女ばかりが、失踪すること――それは単なる家出ではないのか?

 天使狩りが、少女売春をおこなっていた少女ばかりを、狙っていること――それは表向き学校も家族も話題にしにくい、といったことなどが、あげられる。

 

 加えて、さらに問題を難しくしているのは――姿。それはある種、集団幻想のようなものだとさえ、僕は思う。

 少女売春。

 その思春期の心の闇は――普段、日の当たる場所からは隠されている。

 だからそれは、幸福な男子たちの目にはみえないのだ 。

 

 僕らの黒シリーズが、少女たちには決してみえないように。

 

 僕らにだけみえる現実が、彼女たちにはわからないように――いや、わかりたくないのだ。

 僕らは女子の汚れた部分を、みたくない。知りたくもない。信じようとしない。

 だから、そんな、残酷な少女たちの世界を――僕らは《禁猟区》と呼んでいた。

 異性になれていない少年が、花のように夢見た少女の楽園と、

 その楽園を破壊する少女たちの醜さを、禁猟区域になぞらえて。

 

 カグヤ・ノゾミ。

 

 彼女は、その禁じられた世界ロリポップを、曝け出そうとしているのだ。

 でも、何のために?

「知るってことは変わるってことだよ」

 強い意志を感じさせる口調だった。

「そんな……そんなことを言われても、動けるわけない」

「きみは何を恐れているの?」

「何って……」

「『信じること』――それがきみに一番必要なことなんだ。きみは信じて、行動しなければならない。?」

 僕は黙った。そのままノゾミさんと向かい合った。白銀の髪が白い純白のセーラー服に溶けて、眩しく見えた。だがそれは、単に視覚的なものだけが原因、というわけでは――なかった。

 例えば沙羅。

 沙羅は、中学生らしく、学生鞄に天使の羽根をとりつけて、背中に背負うようにして、少しだけ子どもっぽくも可憐に、それを着こなしている。

 その姿は、十四歳の特権的な愛らしさで――ネット上には、ファンクラブもあるほどだ。

 だから、心配で、仕方が無いのも事実である。匿ってやりたいのは事実である。

 連続失踪事件の犯人を、相手にするのであれば、尚更だ。

 だがノゾミさんは、一歩も退かなかった。

 その瞳は、真剣そのものだった。

 そのまま見つめ合っていると、

 

「ちょっと待つのじゃ!」

 

 案の定、エレナが反対の意を表した。

「そんなキケンなことを肉に巻きこむなんてどうかしているぞ。のぞみんはこいつの甲斐性のなさを理解してないのじゃ」そういって僕を指差す。「肉は誰にでもできるような仕事が壊滅的にできない。誰でもできるバイトをクビになる。レジうちで万単位のミスをだす。キャベツのせんぎりで指を切る。麦茶をこぼす。教えても教えても右から左にぬけていくのじゃ」バカにされているかのようだが事実だから僕は何もいえない。

「そんな肉に任せたら――翌日にはドラム缶で孤独にキャンプファイヤーを楽しむ豚の丸焼きができてもおかしくはないぞ。肉だけに」それがいいたかっただけか。心配してくれているのかと思って損した。

「霜降りにしてぇ」

『お前は黙ってろ』

「だから潜入のために天使バッグをもっているのね、と阿修羅乃ミコトは指摘します」

「ご明察」ノゾミさんが答える。

「ご名答」ミココが付け足す。

「ご名刀」誰かが合いの手を入れる。

「妖刀正宗、二の太刀三の太刀」そういってノブナガがズボンを脱ぎ出す。

「出さんでいい、両刀使い」バイブを口に突っこんでスイッチをいれる。「ふぉ……」

「この両性具有」

「いや両性器具有じゃ」

「それをいうなら多重性器具有では?」男がダブルだ。「ふぉー!」

「性器の多重債務者」借金に追い立てられる、ネガティブなイメージを出したかったのかミココ。わからんでもないが。

 廊下に駆け出したノブナガを遠目に呟いてみる。

 

「ま。性器に駆り立てられるのが人間の宿命だよ」

「お。意味深な台詞じゃな」

「まだ使ったことがない奴がよくいう。と阿修羅乃ミコトが揶揄します」

「まだ使われたことがない奴にいわれたくない」痛い痛い。ペンで刺さないでください。

「阿修羅乃ミコトは拗ねました」体育座りをして拗ねる。

「ついでにミココも拗ねました」隣に並ぶ。

「そしてエレナは被ります」コスプレに着替え始める。

「ふぉー!」なぜかノブナガが戻ってくる。よっぽどバニーガールが見たかったのだろう。「ついでにノブナガも被ります」そしてエレナの下着を被り始める。

「お兄ちゃん大変!」お前それが言いたいだけだろ沙羅。まあ、確かに、スクールボードのついたての陰で着替える同級生の下着を高速で盗み取りしかも頭に被るという行為は常軌を逸していて、ついたての向こうで着替えるエレナが気づいたときの後処理が大変ではある。

「パンティくわえたノブ猫……」

「なかなかやるな……」ここまでくるともはや相手を褒め称えるしかない。

「お兄ちゃん大変!」沙羅がツインテールをふりふりさせる。しつこいな、え、本当に大変? などというやりとりを繰り返していると、バタバタと廊下を駆けてくる音がした。バーンと扉をあけて、お嬢様学校の制服を着たそいつはいった。

 

「ここに、闇がある……!」

 

 しごくごもっともだとは思うが、僕が下着を被ったノブナガを指差すと、ユリアはぶんぶんと首を振って違う違うとアピールした。

「性犯罪者の心の闇、ではない」

「お前のことだ」

「黒シリーズ」

 そう矢継ぎ早にいって机の上に飛び乗り、条件反射的に窓の外へ逃げようとしている僕の肩を掴んだ。ユリアは神出鬼没で運動神経抜群。お嬢様学校の黒セーラー×赤ストッキングで、今日は白いカチューシャをしている。

 だがそんな彼女の姿を認識するが早いか、

 

「まあ待て。話をしようじゃないか」

 

 そういって逃げようとする僕の額にスタンガンをつきつけてくる。

「話をする態度じゃないぞ、それ」

 思わず批難を口にすると、ユリアはなぜか自信たっぷりに頷いて、スタンガンでこちらを指差した。


「ご名答」

 

 ぐつぐつ。

 奇妙な沈黙の後、

「ご名答?」ミココが振り返る。

「ご名答」エレナが僕をみる。

「ご名刀」ぐあ。ついのってしまった。

「妖刀正宗、二の太刀三の太刀」そういってノブナガがズボンを脱ぎ出す。

「出さんでいい」バイブを口に突っこんで制止する。くだらんコントをやっている場合じゃない。「ふぉ……」

 ユリアは服を脱いで廊下へ駆け出していくノブナガには一切目を向けずに、机の上で足を交差して、僕を見下ろした。

「オレは断罪の巫女ユリア。崩壊の危機が訪れた時にこの世界に転生してくる実体をもたな……うるさい!」「ふぉー!」「……もたないコア人格。この少女、白百合ユリアのからだに乗り移ったオレの役目は世界を混沌の危機に陥れている闇の破壊、具体的には黒シリーズの殲滅」

 そこまで一息に言い切って、コップに置かれた水を飲んだ。

 なめらかなのどをつたって、液体がうちがわを通っていく。授業終了後にかなり急いできたのか、肌にはうっすらと汗が滲んでいる。飲み終わると、くちびるからこぼれた水を舌で舐めて、


「また、やったな」


 じろり。と僕を睨んだ。

「な、なにをヤったの……?」メイド服のフリルを弄びながら、いじいじとノゾミさんが上目遣いに脅える。あんた、ワザとやってるだろ。

窃盗チャリ窃チャ

「食い逃げ」

「深夜の花火」

 次々に予想を列挙していくメンバーたち。

 悪事のレベルがとことん小者だが、郊外の優等生にできる悪事なんてこんなもの。まあ、たかがしれている。

「き。きみたちは黙っていてくれ」

 片手で顔をおさえて制止する。

 ユリアは僕に人差し指をつきつけて、演説した。

「また失踪者が出た。黒シリーズの存在を知覚すると必ず事件は起こる。暴力が渦巻く」

そういって、タンガンをくるくると回した。手のなかで転がすような軽やかな動作だ。そして喋りながらいたずらに電源のスイッチをオン・オフする。

 

 ばちん!

 

 あたりに一瞬だけ青白い火花が散り、電子の爆発する重苦しい音が、空気をズタズタに切り裂いて消えていく。僕は唾液を飲みこんだ。胸のうちにいいしれぬ動揺が沸き立つのを、抑えることができない。

 ユリアのとめどない言葉は悪夢のように続く。


「お前の不安が人を食う。人を殺す。悪意を街にもたらす。黒シリーズはその象徴だ。ぐるぐるぐるぐる心と頭上を旋回するそれは病みの実体化で、欲望の可視化で、勝手に他人の心のドアをあけてバタバタと異界に少女を神隠しのごとく送り込む。そうやって一人ぼっちの自分の道連れにする。なあきさまは寂しい奴なのか?」

 

 何をいっているんだか相変わらずさっぱりだが【14】、

 古典は外国語のようなものだと予備校講師はいう。

 だから古典より遥かに理解不能なこの人外の言葉も、

 外国語だと思うことにする。南無あみだぶつ。


「すみません、何をおっしゃっているのか私にはさっぱり……」合掌する。

「まだシラを切るのか?」「それとも本当にしらないのか?」「お前は違うのか?」「おかしいな、計器の故障か……」

 ひとり言をぶつぶついいながら、彼女はストッキングのうしろからガイガーカ○ンターを取り出した。

「な、なぜそんなものが……」思わずよろめく。ドラえもんのポケットのなかは何が入っているかわからないというのがフィクションの鉄則だが、少女のスカートの中身も神のみぞ知る。

 ユリアがガ○ガーカウンターにしかみえないそれを僕に向けると、とたんに針が振り切れた。ようにみえた。が、おそらくそれは最初から針が振り切れているのではないだろうか、というよりキミの頭が振り切れている、とはさすがにいえない。

 彼女は僕の懐疑的な視線を敏感に察知したのか、はっ、と顔を上げてこちらを上目見て、機械を高々と持ち上げた。

 

「ガ、ガイガーカウンター式『病み』測定器~」ドラえもんみたいに遅れて紹介されても。ちょっと照れてるし。心なしか頬が赤いし。

「それはなんなの~ユリえも~ん」あんまりなので、彼女に合わせてやる。

「誰がユリえもんだ」パンチが飛んできた。親の心子知らず、とはまさにこのことだ。何か間違ってる気もするが。

「これは……なんだ。アレだ」

 いや、アレと申されましても。

「ダウジングってあるだろう。アレだ。人の第六感を増幅させる究極の精神&機械連結装置マン-マシン・インターフェイス、存在の定義としてはアレに近い。オレにとってこのガイガーカウンターは、お守りのようなもの。これをかざすと、貧血になる」

 だいじょぶかこの人。

「要は重たい質量のものを持ち上げると血の巡りが悪くなり、気絶できる【30】――つまりこのからだから離脱できるんだ【15】。

 我が召喚人格の乖離的な性質とこの代理母体の低血圧&高身長ゆえの貧血体質が功を奏した格好だ。だからオレは絶体絶命のピンチに陥ったときにはこれを掲げる。精神から離脱して、存在の強制終了、すなわち死を免れるためにね。

 同時にこの機械はオレの断罪者としての第六感を拡張させる機能があるんだ。信じるものは救われる。これを振り翳せば病みのありかを突き止められるって寸法さ。あいにくだがこのコア人格は転生と離脱を繰り返して機能がエラーを起こしやすくなっていてね。病みの判定にバグが生じているんだ」

 

 南無。

 

 手を合わせながら右から左に聞き流していると、

 彼女が僕の学ランの襟を掴み、顔を近づけた。

 首すじがくすぐったくて、彼女の長い髪の先が触れているのだとわかった。

 

「でもそれでも。オレの第六感が告げる――十中八九お前が病みだ」

 

 とても綺麗な、大きな瞳だった。皮脂のうすい切れ長のまぶた。ガラスの水晶みたいな琥珀色の瞳。それがまっすぐに僕を見つめてくる。まばたきをすれば睫毛の先が触れてしまいそうだ、僕はユリアの手を振りほどいて、顔を背けた。自分の耳の端が熱くなっているのを自覚する。

「要は女の勘っていうやつだろ」

 ずいぶんといい加減な論理で人を犯人にするんだな【16】。

 適当に投げたら当たった、みたいな。

 そう付け足して、もうここではっきりとこの残念な少女に宣言しておいてやることにする。それは濡れ衣だ、間違いだ、

「誤解だ」

「誤解も六回もない!」

「また痴話げんかか肉……」痴話げんかの匂いを嗅ぎつけることにかけては天才的だなエレナ。

 ひょこっ、と好機とばかりにバニーガール姿で耳を出す。

「どんな被害がでたんですか?」阿修羅乃ミコトは質問します。

「食いだおれ」それはオマエだけだミココ。それからガシガシと人のケータイのコードを齧らないでください、充電してるんだから。


「少女の失踪事件だ、なぜか美少女ばかりが狙われてる一連の事件。お前たちは――それを天使狩りと呼んでいるな。その噂にまつわる事件で、ここの学校の生徒が行方不明になった。おまえたちのクラス、進学校特進科という優等生の集まりの中で、一人だけ無断で学校を休んだ奴がいる」ひょこっ。

 それならしっている。僕の席のナナメ後ろ、米澤ほむらだ。きつい目つきの、でもとても綺麗な女の子で、いつも廊下に備えられたロッカーの上に座ってパンツをみせながら足をぶらぶらさせている。

 だがちょっぴり不良属性のある彼女は慢性的な不登校児で、そもそも学校を休みがちなはずだ。

 

「勘違いじゃないですか?」案の定ミコトが確認した。ひょこっ。

「それはない」無表情に答える。それ以外の選択肢など、存在しないというかのように。

「なんでわかるんでーすか?」ツインテールをふりふりしながら沙羅が訊く。その口元にはうっすらと笑みが形作られている。ひょこっ。

 

 うさみみが構ってほしそうにあまりにちらつくので視線を向けると、バニーガール姿のエレナがこっちを見ていた。目が合うと、思いっきりうさみみを口元でバッテンさせた。

 そして、フイ、とそっぽを向く。なんだ、拗ねてるのか。似合ってるって、いってやれなかったから、か?

「もうエレナは着替えます」そういって、ついたての向こうに隠れてしまった。

 ひょっこりはみでている耳以外。

 

 僕は気を取り直してユリアに向き直り、

「被害届でも出てるのか?」

「被害届はオレの魂が受理した。カウンターが独自のアトミック電波をキャッチしたともいう」

 南無。

 再び手を合わせていると、とうとつに視界がブレた。なぜか枕が飛んできて、あたまに後ろからあたっている不思議。

「きゃー!」案の定パリンパリンパリン、とガラスが割れる音。

「私の下着どこやったのよ!」ものを投げないでください。僕のせいじゃないので。どうやら制服に着替えようとしたエレナがノブナガの所業に気づいたようだ。と、そこで後ろの窓ががらりと開き、

 

「ここだよ~」

 かがみさんが現れた。手に下着を持っている。この男……なかなかやるな。じゃなくて。

「アンタ何やってんすか」二度ならず三度までも。そういって枕を投げると、ひょい、と身軽にかわして、

「出前だよ~」

あらよっと。そういって、ベランダからノブ猫を投げてきた。

「お縄になったのか……」犯人は見事に網で捕らえられている、というか縄で縛られている、というか亀甲縛りされている。この男……できる。じゃなくて。

 

「ありがとう、かがみさん」満面の笑みで手を振る。

「ありがとう」阿修羅乃ミコトも感謝です。

「ありがとう」もうくえない。

「……!」(下着を身に着けている)

「……!」(ツインテールを左右に振っている)

「まいど~」

 そういってかがみさんは夕日の向こうに帰っていった。ベランダ脇の階段から降りるのだろう、しかしクマがさらに酷くなっていたが大丈夫だろうか?

 ラブラドールの件でかなり心労が溜まっているみたいだが、下着を掲げた瞬間など性犯罪者にしかみえない。

 

 などと心底どうでもいい心配をしながら、僕は戸口に立つ黒い影に、ぎょっとした。ぎしぎし【17】。

 

 夕暮れの日射しのこぼれる窓辺に、『その男』が立っていた。

 

「何をやっているんだい?……

 

 





 

 

 

―――――――――――――――

【注釈】

14.「黒シリーズはお前の不安の実体化」→「それが人を食う&街に暴力をもたらす」→「つまり悪意を増殖させる感染源であると同時に人々を食らう実行者」→「暴力の感染源と実行。その二つの役割を司るのが召喚獣みたいに空をぐるぐる旋回する黒シリーズ」→「黒シリーズの出現は宿主の精神状態に左右される」まったく物理法則を超越した論理だ。が、ノートに纏めるとこんな感じになるだろうか。

15. 前川さんもびっくりだ(『電波女と青春男』)

16. しかし結果的に彼女の奇怪な発言はことごとく正解だった。

17.「吊るそう」恩人の姿がみえなくなってからエレナはそう冷たく微笑み、亀甲縛りされたノブナガを天井から吊るした。これはそんな残酷な刑で短い生涯を閉じた彼の、魂の軋む音である。


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