第80話 後始末する俺
逃げていった奴らを追いかけて追い打ちをかけた方が良いのか?
兵隊達は十代後半から二十代と思われるので恐らく徴兵された奴らなのだろう。
お話し合いをして上層部の司祭なり司教なりを黙らせれば平穏になるかもしれない。
ただ、彼らの視点にたてば俺が教会に徴用されないことには示しがつかないだろうから許してくれそうにないな。
置いて行かれた兵隊達を見る。
吹き矢で仮死状態になった兵と鉄人にぶっ叩かれて気を失っている者、そして落とし穴に落ちて足を負傷している人がいる。
夢見が悪そうなのでブービートラップに引っ掛かった兵の破傷風菌だけは殺菌してやる。そのままで毒素を出し始めるとすぐに死んじゃうからね。
兵隊達を武装解除し、後ろ手に縄で連結し蹴飛ばして全員目覚めたところで逃す。
ただこのまま逃すのも納得がいかない。お腹ピーピーの刑に処することにした。前回はノロウイルスで失敗したので、反省をした俺はO-157菌にしてみた。俺は腹を下す菌などあまり知らないので問題ないだろう。時の厚生大臣がカイワレ大根を食ってた記憶しか無い。恐らく正露丸的なものを飲めばスッキリと治るはずだ。
元気に逃げていったから前回のような都市部まで感染することはないだろう。
後は死んでしまった兵だ。3人死んでしまった。
打ちどころが悪かったのだろう。外傷は見られない。
――肥溜めにでも放り込むか。
しかし死体は重い。ぐったりしていて思うように持てない。
ロープで括り、鉄人とドナドナに引っ張らせるが上手くいかない。ロープの掛けどころが悪いのかスルッと抜けてしまう。首に引っ掛けるのも忍びないので上手い括りどころが見当たらない。
火葬にするか?
昔、火葬場の人に聞いてみたことがあったが、中々燃えないので、じっくり焼かないと燃え残っちゃうみたいで、重油の消費量が半端ないって言ってたな。3体も焼くほどの燃料は無いし、人肉の燃える匂いは嗅ぎたくない。
このまま埋めるか。
丁度いい肥料になるかもしれない。
俺が分解促進させてしまえばすぐに無くなるかも。
――分解しろ!
分解する酵素のイメージを浮かべ真言を唱える。
頭が痛くなってきた。これだけの量を触媒が殆ど無い状態だとしんどい。
はぁ。俺は疲れているんだ。これ以上の迷惑をかけないで欲しいね。
勝手に肥溜めに行ってくれないかね。
俺がそう思うと真言が降りてきた。
死体がガクガク動き出し、肥溜めに向かい沈んでいった。
――なにこれこわい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます