第73話 街に行く俺

 街に行こう。

 

 なかなか爺の格好は堂に行っていると思うぞ。水面に映してみただけだけど。

 鉈とナイフを腰に差す。前回捕らえられた反省として暗器を持った。暗器は靴の中とズボン、懐に隠してある。

 暗器を一から作ろうと思ったのだが、鋼が作れないので刃の切れ味がイマイチなので、拾ったナイフを途中で折って作っているのもある。


 エバとドナドナは今回は連れて行かない。人形を連れて行くと悪目立ちしそうだ。


 そのため新たな人形を導入することにした。ゲリラ人形がかなりの性能を見せているのでこれを改良することにした。ゲリラ人形は基本的に待伏せなので移動は得意ではない。多少目立ってもいいので移動性を向上させることにした。

 猿人形【猿飛】と忍者人形【サスケ】だ。二体合わせて猿飛佐助って安易だろうけど……

 猿飛は木の上を飛んで行動する。手足に鉤爪がついている。

 サスケは物陰を歩く。人間の目は動くものやシルエットで判断をする。なので頭や肩に草を植えて体を迷彩色に塗っている。塗料は泥や木汁や花なんかでつけてある。

 二体ともほぼ武器しか持っていない。隠密性と移動性に特化しているために荷物を持つには適していない。武器は吹き矢とナイフと道具を少し。


 必要な物を持ち街道を目指し歩いて行く。周囲を注意して歩くが、誰かが侵入している形跡はない。


 昼前には街道に出て、東に歩いて行く。


 幸いにも誰にも合わない。たまに森の中をガサガサ行っているが人形が出している音のようだ。もうすぐ雨季になるだからだろうか。蒸し暑い。街道は緩やかなカーブになっていて見通しが効かない。


 そして坂を登って行くと、目の前が拓けた。遠くに陽炎に揺らめいて連なっている壁が見えた。

 壁に囲まれた向こうに塔が何本か立っている。城ってことか?

 城壁の外側にはスラムっぽい住居が立ち並び、その周りを広大な畑があった。


 城に近づくにつれ、森が畑になり、民家がポツポツと見えてくる。


 果たして俺は城壁の中に入れるのであろうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る