第48話 買い物とボンデージと再び悪い人

「おーい、お代官さまー」


ん? んん?


「若い内から、あんまり乱れてるのは感心しませんよ?」


リーナが昨日の名残で後ろから抱きついている。クロは俺の頭の上で大の字だ。


「なにやってんですか、ハロルドさん」

「あー、代官の部下的ポジション? で、ノエリア嬢ちゃんが朝食だから起こしてこいってさ」

「了解です。すぐ行きまーす」


  ◇ ---------------- ◇


朝食にはみんながそろっていて、今日の予定を話ながら銘々にご飯を食べている。

スコヴィルだけは、片腕しかないダイバの介助を楽しそうにしている。

あれ、この二人、そういう関係なのかな? なんて下世話なことを考えていると、ダルハーンが、


「こういう予定の確認が出来る食事も良いものですな」


なんて言い出してる。よしよし、洗脳はうまくいってるな。


「それで、本日は街の方に?」

「ああ、お忍びで視察と、あと買い物にね」

「買い物ですか?」

「武器や魔法書で購入したいものがあるんだ」

「それでしたら、店主を呼びつけてはいかがですか?」

「いや、まずはお店に確認に行くよ。政務はダイバが引き受けてくれたし、今のところは少し暇もあるんだ」


ダイバがなんとも言えない顔をしてこちらを見ていたが、スルーした。コートロゼのために働いてくれたまえ。はっはっは。


「お昼は視察がてら外で食べてみるよ。ノエリアは連れて行くから、ダイバとダルハーンの分だけ、スコヴィル、お願いね」

「かしこまりました」


こうなってくると、あれだね。料理人も雇いたいね。


  ◇ ---------------- ◇


「それで、まずは何処に行きたいんだ?」


ハロルドさんは人がいないと今までっぽい口をきく。やっぱりこっちの方がしっくりくるな。


「そうですね。まずはクロの服からかな」


今日のクロはおっきい方だ。

ノエリアの服を借りてるが、サイズがちょっと合ってないから、美貌と、スタイルと、サイズが小さな服で、なんとも目立ちまくってて、一人で歩いたら3秒で絡まれるレベルだ。


ファッションのことなんか知らんがなとハロルドさんに言われたので、見た目大店おおだなそうな店に入って、後はリーナとノエリアにふたりの服も欲しいのがあったら買っていいよと伝えて任せておいた。

俺とハロルドさんは、店の入り口の角で、俺が出した飲み物を飲みながら、買い物が終わるのを待っていた。


「しかし、女の子の買い物は身分がどうあれ同じなんだな。お前の所は奴隷とは思えんしな」

「そうですねぇ、身分の保障に奴隷にしてるだけですから、いつでも解放して良いんですが……でも、リーナあたりが、ちょっとずつ奴隷っぽくない行動を取り始めたのは好きですよ」

「ふーん。お前ウルグ様あたりと趣味が合うかもな」

「件の王太子様ですか?」

「そうそう」


そうだな、機会があったら会ってみたい気もするな。王都は遠いし、フラグが立ちそうだし、そんな機会はないと信じているが。


「こちら、ご主人様で?」


いきなり声をかけられて振り向くと、黒に近い濃い色の髪をした壮年のイケメンが立っていた。


「あなたは?」

「これは申し遅れました。わたくしこの店を預からせていただいている、エールメースと申します」

「こんにちは。カールです。確かに私が主人ですが」


「あの背の高いダークエルフのような方の服をお求めですよね」

「ええ、まあ」

「では、では、是非! これなどはいかがでしょうか!」


なんだ、営業かよっと思っていた時期が私にもありました。


エールメースと名乗った男は、奧からトルソのようなものに着せられた一着の服を取り出してきた。

こ、これはー!


「実はわたくし、皮職人でして」


それでエ○メスって……いやそれは今はどうでもいい。そこに飾られていたのは、ファンタジーもののダークエルフの定番、革のボディスーツですよ! この世界にもあるんだ、こんなの。


「なんだこりゃ。防具か?」


と、ハロルドさんが言う


「いえいえ、これはあくまでもファッションでございます。むろん皮ではなく革、しかも黒と赤しか許されないのでございます」


そこ? こだわるところ、そこ?!


「ご覧下さい、このタイトなベルトを利用したスリーインワンのシルエット。もちろんアンダーは足を長く見せるために、切れ上がり角の深い股ぐりを使った、革のガードルでございます」

「うお、立体裁断されてるぞ、この革」

「なんと、お目が高い! いかがです、あのお嬢様にぴったりだと思うのですが」


「あんた、マニアだね」

「くっくっく、お若いはずのお客様から、私と同じ匂いがするのでございます。類は友をなんとやらなのでございます」


「しかしな、これは防具としては脆すぎる」

「いえ、しかしそれは……」

「ちっちっち、やはりダークエルフはそのまま戦わなければならん」

「くっ……た、確かに」


「それでだ、これを使って彼女のシルエットを活かす革の防具を、キミのセンスで作り出せないか?」


とさりげなく、リンドブルムの皮を取り出してみた。


「うぉ、こ、これは! ……竜種でございますか?」

「まあね」


しかし、これでは柔らかさが必要な部分が……などとぶつぶつ言っている。


「もしや、のどの部分や、鱗などもお持ちですか?」

「もちろんだ。必要なら提供しよう」


「あ、ありがとうございます。やらせていただきましょう! 3日ほどお待ちいただけますか」

「いいだろう。で価格は……」

「これほどの素材で、あれほどの素材に着せるボンデージ。ただでも作りたいところですが」

「タダはいかんな。技術料込みで、金貨、このくらいで?」

「大変結構でございます。では採寸を」


「ああそうだ。彼女は弓使いなので、それも考慮してくれ。あまり触るなよ」

「も、もちろんでございますとも」


そそくさとクロの方に向かう店主を見ながら、


「なあ、お前等、何の話をしてたんだ? 全然意味が分からなかったぞ?」


と、ハロルドさんが引いていた。


「クロの魅力を、最高に引き出す服の話ですよ、はっはっは」

「やっぱどう考えてもお前、おっさんだわ」

「失礼な」


支払時に、3日後どこにお届けに上がりますかと聞かれたので、領主の館と言うとエールメースは目を丸くして驚いていた。


荷物がないと思ったら、全員、購入した服だの下着だのは、各々のアイテムボックスの中に入れているらしい。なんか稀少らしいので、あんまり目立つ使い方をするなよ、今更だけどさ。


「で、次は武器屋か?」

「そうですね。防具はさっきの店でメドがっ立ったので、弓を買いに行きましょう」


クロは買ったばかりの装飾の少ないすらっとしたタイトな服に着替えている。体のラインが強調されるデザインなのは、あの店主の趣味かと思ったが、普段(馬の時のことだ)ぴったりしたものばかりだからこのほうが落ち着くのだそうだ。そういうものなのか。


  ◇ ---------------- ◇


「ここが、一押しの武器屋だな。ダグの武器も取り扱ってるはずだぜ」


と案内されてきた店は、なんとも奥まった場所にある、間口の狭い店だった。入り口のところに、ぞんざいな文字で『ゾンガルの武器屋』と書かれていた。店主の名前かな。


「おーい、ゾンガルー?」

「開いてるぞ! あ、ハルか?」

「今日は、弓を買いに来たんだが、いい弓は置いてあるか? こっちの嬢ちゃんが使う」


ゾンガルさんは、クロをためつすがめつ眺めたあと、ぶっきらぼうに、


「短弓と長弓、どっちにする?」


と聞いてきた。

もし構造を覚えていたら、コンパウンドボウを作らせるんだけど、全然分からないからこれに関してはお手上げだ。


「一番強い短弓を」


ほう、と言った感じで眉を上げたゾンガルさんは、奧からM字型をした、いわゆるコンポジットボウを持ってきた。


「外側の素材はワイバーンの翼の腱だ、内側は海馬の肋骨が使われている」

「海馬?」

「シーサーペントの一種だな」


それを受け取って、ぐっと引いたクロが、もっと硬いものはないのかと聞くと、


「うちではそれが精一杯だな。レビヤタンの骨とかがあればまた別だろうが、そんな素材は見たことがないしな」

「リンドブルムの角では?」

「そりゃあ凄いだろうが、そんなものがどこに――」

「ここに」

「な、これは……確かに本物のようだが」

「キバもありますけど、どっちがいいんですかね?」

「そりゃ、弓にするなら角だろうな。問題は外側の伸びる素材だが、これに釣り合うようなものと言えば……」

「オルトロスの腱がありますが「よこせ、今すぐよこせ!」」


結局、リンドブルムの角を1本とオルトロスの足2本を渡すと、これで練習してろとさっきの弓と矢を渡されて、3日待てと言って追い出された。


「え、いきなり closed になってますけど」

「あー、ゾンガルの悪い癖でな、何かに熱中し始めると店どころじゃなくなっちゃうんだよな。腕は良いんだが……」

「販売員でも雇えばいいんじゃないですかね?」

「そうなんだが、あれで偏屈でなぁ……」


まあ、わかるよ。ちょっと考えておこう。


「そんで、最後は魔法屋か?」

「まあ、買い物はそうです」


  ◇ ---------------- ◇


「じゃあここだな。聞いた話だが、コートロゼで一番品揃えがいいって話だ」

「へー、また路地裏でうさんくさい店かと思ってましたよ」


腕のいい人ってみんな偏屈で商売下手ってイメージがあったけど、ここは大通りに面して、明るい入り口の大きなお店だ。


「いや、お前それは偏見持ちすぎ……でもないな。確かにそんなやつばっかだわ」


「こんにちはー」


と扉を開けて入店すると、中から、一見人当たりの良さそうな、だが目は油断ならない感じの老婆が出てきた。


「おや、これは」

「?」

「お初にお目にかかります、お代官様。コートロゼで魔法屋を営んでおります、サルシューンと申します。本日はどういったご用件で?」


うぉ。もう俺のことを知っているとは、なかなか侮れない情報収集能力だな。


「ああ、風魔法と土魔法の初級の魔法書が欲しいんですが」

「もちろんございますとも」

「後は、聖や闇、それから土の中級以上の魔法書は取り扱っていますか?」


「風魔法と土の中級は在庫がございます。聖属性や闇属性は、教会の管轄ですので問い合わせてみないと分かりませんが、ご注文されますか?」

「お値段は?」

「初級が金貨2枚。中級は20枚。上級は200枚となります」

「聖と闇と土は可能な限り上級まで欲しいな」

「聖や闇の上級となりますと、利用者の報告義務が生じますが」

「コートロゼの代官で報告して結構ですよ」

「かしこまりました。では現在うちにある在庫ですと――」


風魔法初級x1

聖魔法初級x1

土魔法初級x1

土魔法中級x2


と呈示されたので、金貨46枚を支払って購入した。


「ありがとうございます」

「あ。あと、空間魔法はありますか?」

「空間でございますか?」


一瞬老婆の目が光ったような気がしたが、気のせいだろう。


「あるにはありますが、一体どういったご利用で?」

「……興味本位、ですかね」

「初級が金貨10枚、中級が100枚。上級に1000枚頂きましょう」


うぉ、高?! 中級が1000万円で、上級はいちおくえん?


「おいおい、上級だ? そいつはおかしくねーか?」


ハロルドさんが割り込んでくる。


「空間魔法のレベル8以降は失われているって聞いたけどな」

「空間魔法は、初級が3つ、中級が3つ、そして上級が3つと、更にその上に禁忌級が1つございますゆえ」

「え、それじゃ、レベル7の呪文1つで金貨1000枚ってこと?」

「一応8と9の呪文も載っていますが誰にも解読できず、使えもしていないそうですよ」


ほっほっほと笑いながら老婆が言った。


「……いいでしょう。中級を頂きましょう」


そう言って、俺は金貨100枚を彼女に渡した。


「誰も使えぬはずの空間魔法。それも中級を、金貨100枚も出して手に入れられる価値がおありか?」

「コレクターなものですから」

「それでは上級以上も必要ですかな?」


俺は少し考えてから答えた。


「いずれは」

「かしこまりました。見つかりましたらご連絡いたしましょう」

「あ、それと」

「お客様が何をどのようにご注文されたなどと、どこにも漏らしたりはしませぬよ。特に大金を払っていただけるならなおさらです。本日は有り難うございました」


と先手を取られた。


「……なかなかやり手の婆さんだな」

「ホントに」


狸に化かされた気分で、俺たちは店を後にした。

魔法書は、ノエリアに土の初級と中級、それに空間の中級を渡して、残りはリーナに渡しておいた。


「これで買い物はおわったのか?」

「あと市場とかも見てみたいですね。食料の流通具合を確かめたいので。それと南側の被害状況を見て回りたいです」

「ほう、施政者っぽいな」


と、ハロルドさんがニヤっとしたところで、ぐぅうううとお腹が鳴った。


「と、その前にご飯を食べに行きましょう」


  ◇ ---------------- ◇


表通りの食堂っぽいお店にはいると、給仕のお姉さんが、申し訳なさそうに、


「すみません、うちは亜人の方は」


と言った。


「え、コートロゼって、そういうの気にしないって聞いてたけど?」


と聞くと、奧から主人が出てきて説明してくれた。


「いえ、私らにそういうのはないんですが、今は食料を教会から融通していただいている関係上……つまりその条件でして」


主人が言いにくそうにそういって、少しガラは悪いけれども、その奧に食堂兼飲み屋がありますからと教えてくれた。


「ありがとう。邪魔して悪かったね」

「いえ、こちらこそ。こんな状況がいつまでも続くのはいやですし、早く元に戻って欲しいですね。そのときはまた是非いらして下さい」


そういって店主はリーナやクロに向かって頭を下げた。


そうまでするのか、教会。でもなんで、教会には食料があるんだろう? こうなることを予測してたってことかな……いかんいかん、サンサ以来どうも「教会=悪」みたいな意識で物事を捉えてしまう。

俺は受け入れられないが、教義からして当然の条件かも知れないし、そもそも一連の問題に組織として関わっているかどうかもわからないんだ。無駄に敵対するのはよろしくない。


しかし、確かにこういう状況が続けば、亜人の人たちは困るだろう……さて、どうするかなぁ。


  ◇ ---------------- ◇


「おお? こりゃまた、落ち着きそうな店だな」


その店をくぐると、開口一番ハロルドさんが笑いながらそういった。一言で言えば、怪しい雰囲気の酒場だ。


「いらっしゃい。なんだい、なにか悪口でも言いにきたのかい?」


給仕のお姉さんまであだっぽいよ。


「いやいや、ほめてんだぜ。いかにも冒険者がとぐろを巻きそうな店だってな」

「そりゃどうも、おこちゃまやきれいで清純そうな女を連れてくる店じゃないけどね。絡まれないように気をつけな。それでなんにする? と言っても、ほとんど何も無いんだけどね」


と言って、メニューを説明してくれたが、結局食事は1種類の定食だけしかないありさまだったので、それを人数分注文した。


「5人分で、銀貨10枚だね」

「たっけーな、おい」

「悪いね。食材がとんでもない値段になっててね。これでも利益は前の半分なんだよ」


それじゃ仕方ねぇ、とハロルドさんがお金を払った。

まあ、ここじゃ彼が保護者みたいに見えるだろうし、ここは彼の顔を立てておきましょうかね。と静かにしておいた。



「おいおい、あんた、上玉を連れてんじゃん。俺にもちょっとご相伴にあずからせてくれるよな?」


と、赤い服を着て右手を吊った、やせたちんぴら風の男が席越しに声をかけてきた。おお?テンプレ?テンプレ?

俺が妙に嬉しそうな顔をしていることに気がついたハロルドさんは、緊張することをやめ、あきらめたように笑ってどっかりと腰を落とした。


「やめなよパミーノ」

「うるせえ、お前はさっさと注文を届けてこい」


と凄みながらそういうと、給仕のお姉さんは肩をすくめて厨房へと引っ込んでいった。


「それで、パミーノさんとやら。何か用か?」

「おうおう、流石冒険者の旦那はどっしりとしてらあ。仮にもザルバルさんの右腕と呼ばれる男に向かって、良い度胸だぜ」


「ザルバル?」


と俺は思わずつぶやいていた。


「おう。そっちの坊ちゃんは知ってるのかい?」

「いや、まったく。誰です、それ?」

「こ、この野郎。コートロゼを裏で牛耳るザルバルの旦那をしらねぇのか」

「へー、そんなに偉い人なのに、右腕がこんなので大丈夫なの?」


一瞬何を言われたのかわからず、きょとんとしていたパミーノが、我に返ると同時に、服と同じくらい顔を赤くして左手でつかみかかってきた。


「なんだと、このクソガキが!」


その大声に店の喧噪は一瞬で消え、喧嘩イベントの予感と期待にうちふるえていた。どんだけ娯楽が少ないんだ、あんたら。


しかしその腕は、横から伸びてきた華奢で小さな腕につかまれ、俺に届くことはなかった。


「なにしやが……」


パミーノの言葉が何かに気がついたようにとぎれ、ギギギギギと音を立てるような仕草で、伸びてきた手の方を振り向いた。


「お、おま、お前は」


パミーノの目が大きく見開かれる。


「ご主人様に手を出そうとするとは、どうやらこちらの手もいらないようなの、です」


リーナがそういいながら、華奢に見える手に少し力を込めると、パミーノの左手首が悲鳴を上げはじめた。


「ま、まて。まってくれ、頼む、俺が悪かった! た、助けてくれ!!」


パミーノが情けない悲鳴を上げると、連れの男が割り込んできた。


「申し訳ありませんが、その辺でお許し頂けますか」


見た目は中肉中背で余り目立たないが、正確でなめらかな動きが、その服の下には、ものすごく鍛えられた筋肉があることを証明していた。


「あなたが、ザルバル?」

「いえ、私はベルランドです。ザルバル様にお仕えしております。こちらの太った男がカンプで、そこで悲鳴を上げている馬鹿がパミーノと申します」


どうやらこいつが本物の右腕っぽいな。現代のヤクザでいうなら若頭ってところか。どこの世界でもあるんだねー、そういう組織っぽいの。ふーむ、ヤクザか。


「じゃあ、ザルバルに会わせてくれるかな」

「は?」


突然の俺の提案に、ベルランドは一瞬何を言われているのか、わからない顔をした。

ハロルドさんはこめかみに右手をあてて、またかよって感じで首を振っている。


「別にこいつの尻ぬぐいをさせようってわけじゃないさ。あんたを見てちょっと会ってみたくなっただけだよ」


ベルランドは、俺たちを確かめるように見ていたが、はっと何かに気がついたような顔をすると、いいでしょうとそういった。


「ではすぐに?」

「いや、もう注文しちゃったし、昼食のあとでいいかな?」

「結構です。では先触れを出しておきましょう」

「頼むよ」


リーナの手から逃れて、左手首を吊った右腕でさすっていたパミーノが、ベルランドの視線をうけて駆けだした。

食事は、肉はそれなりに入っているが、薄味で野菜の足らないスープと硬いパンで、まるでほめられたものではなかった。うーん、これが銀貨2枚なのがいまの状況なんだな、と実感した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る