第19話 おにくの歌と第2回どうする会議と空間魔法?

「おにく、おにく、おっに~く♪」

「なんだそれ。リーナが作ったのか?」

「はい、です! おにくの歌なのです」


無事冒険者登録も終わったことだし、後は買い物なわけだが、まずは装備だろ。どんだけお肉に突撃したいんだ。


そうだ、お肉と言えば、解体ってどうなったんだ? と、腕輪を確認したら、リンドブルムフォルダの下に綺麗にまとまっていた。へー、便利だな。


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 リンドブルムの皮

 リンドブルムの牙(大)x4

 リンドブルムの牙x8

 リンドブルムの爪x8

 リンドブルムの角x2

 リンドブルムの肉x2480Kg

 リンドブルムの鱗(大)x1136

 リンドブルムの鱗x1852

 リンドブルムの血x14820ml

 リンドブルムのゴミ

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説明によると、内部解体による肉はKg単位のようだ。

もっともこちらの重さの単位は、デグでほとんどグラムと同じらしい。補助単位のx1000はカーなので、1Kg=1カーデグで大体あっている。

体積も1ブルが大体1mlで、x100がベ、x1000がカーなので、1dlが1ベブル、1リットルが1カーブルとなっている。


解体だが、特別に価値のある部位が存在する場合、その部位が独立して記載されるようだ。

例えば、鱗(大)などは鱗の中でも価値の高いサイズが分類されている。

血などの液体は、所持の腕輪内に器を格納すれば、解体で小分けできるが、普通に取り出すと液体が実体化するので注意が必要だ。


「ご主人様、どうされましたか?」

「いや、リンドブルムの解体で、なんというか、大量のお肉が出来ているみたいだ」

「お肉?」


リーナの耳がぴくんと跳ねる。


「後で食べてみような」

「美味しい、です?」

「ドラゴンは凄く旨いっていうから、リンドブルムも旨いんじゃないかな」

「楽しみ、ですっ!」


「さて、後は、武器屋と道具屋と、食べ物か?」

「どちらから参りますか?」

「武器屋と道具屋は、ハロルドさんから聞いておいた。近いのは道具屋かな。とりあえずふたりの鞄を買いに行こう」


  ◇ ---------------- ◇


そして現在、絶賛買い物中。


二人分のデイパックとポーチベルトとポーチ、それにユーティリティナイフx3。


リーナがこれが良いですと選んだ剣は、いわゆるKATANAですよ。あるんだ、ここにも。

これをスラーっと抜いて、ズバーっと斬りつければ、なんでも真っ二つです! なんて言ってたけど、一体どんな必殺技ですか、それは。

刃の長さが80cmくらいだから、いわゆる太刀だ。リーナが佩くにはちょっと長いんじゃ……まあ気に入ってるんならいいか。

いわゆる短刀も一振り買っておいた。


防具はみんなおそろいで、初心者向けの革の鎧。セットで安かったんですよ。子供用サイズだから売れないそうな。


ノエリアが選んだのは、クファンジャルとスティレット。

これでメイド服を着れば完璧ですっ、て、どこに向かってるんだキミは。


ここまでで、金貨6枚とちょっと。杖以外の魔法の発動具は、ちょっとハンパない金額で買えなかったので、少し余裕がある感じ。


中級までの魔法書は金貨2枚くらいだったから、2系統くらい買えるんじゃないかな。


とりあえず神殿と魔法屋で、聖魔法(~lv.5)および闇魔法(~lv.4)を金貨4枚で買ってみましたよ。中級の入り口までの魔法書は結構出回っていて、あちこちで簡単に手に入る。

その先は大変らしいんだけどさ。


ノエリアとリーナで回し読みさせれば1冊でお得! と思っていたら、学習した魔法は、魔法書から消えて無くなるんですと。流石にそう甘くはなかったか。


これで、野菜と果物を大量に購入して宿代を払ったら、スッカラカンですよ。

リンドブルムの素材売りたいねー。なんとかなりませんかね。


はっ、しまった!? ドルムまでの移動ってどうするんだよ! 俺ってバカ?


これはちょいと、依頼をこなしてお金を稼ぐ必要がありますな……


  ◇ ---------------- ◇


「第2回、みんなでどうするか考えよう会議~」


わー、パチパチパチ。リーナとノエリアが拍手する。


「実は、お金がありません」


しーん。


「ご、ご主人様、ノエリアをお売りになりますか? ノエリアは、ご主人様のためでしたら……」


いきなり泣きそうな顔で、悲壮な決意を固めてますけど。


リーナは真っ青な顔で、尻尾を又の間に入れて、ふるふるしてます。最初に奴隷商に捕まったときのことを思い出してるのかな。


「そんなことしないよ。大丈夫、ずっと一緒だよ」

「ご主人様……」


「それで、ドルムに向かう前にお金を稼ごうと思います」

「はい、です」

しゅたっと、リーナが手を挙げる。


「はい、リーナ君」

「冒険者する、です」

「ですよねー。じゃ、早速明日、ギルドで依頼を探してみましょう」

「「はいっ(です)」」


「次に、パーティ名を決めなければなりません」

「はい」

しゅたっと、ノエリアが手を挙げる。


「はい、ノエリア君」

「『ご主人様と僕たち』ではどうでしょう」

「却下です」

「ええー?」


「はい、です」

「リーナ君」

「もふもふ隊、です」

「なかなかそそられますが、もふもふなのはあなた一人ですからね」

「ご主人様は、もふもふし隊、ですっ!」

「……なかなか言うようになりましたね」

「男子三日あわざれば、なのです」

「キミは女の子でしょ」


ダメだ、二人と話していても、全然前に向かわない。


「それじゃあ、パーティ名については、適当に決めておいてもいいですか?」

「「はいっ(です)」」


「そうときまれば、今晩の使命を与えます。ノエリア君」

「はい」

「ノエリア君は、買ってきた魔法書で、新しい呪文をマスターしてください」

「はい」

「その前に、闇魔法を覚えておきましょう」


スキルリストを開いて闇魔法を選択しようとした指が、ある項目のところでぴたりと動きを止めた。


「空間魔法?」


「ご主人様?」

「あ、いや、なんでも」


ちょうどその上にある、闇魔法を選択する。

ノエリアのパネルを開いて、闇魔法を追加、ついでにレベルも最大にしておこう。


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 ノエリア (17) lv.20 (人族)

 HP:2,904/2,904

 MP:4,977/4,977

 

 所有者:カール=リフトハウス

 

 SP:27+53(used)

 料理   ■□□□□ □□□□□ New

 生活魔法 ■■■■■ ■■■■■

 重力魔法 ■■■■■ ■■■■■

 聖魔法  ■■■■■ ■■■■■

 闇魔法  ■■■■■ ■■■■■ New -> max

 

 カール=リフトハウスの加護

 ノエリア=シエラ=ラップランド

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あれ? 料理なんて生えてるぞ。ずっとご飯を作らせてたからかな。

それを聞いたノエリアが、


「私、料理が上手になりたいです」


と言い出した。

まあ、本人の希望だし、美味しいご飯が食べられるのは嬉しいし、いいか。


 --------

 SP:18 + 62(used)

 料理   ■■■■■ ■■■■■ lv.1 -> max

 --------


ノエリアは、心なしか、ムフーとドヤ顔をしている。


「リーナ君」

「はいっ、です」

「リーナ君もなにか希望がありますか?」

「カタナをうまく使いたいです」


カタナ、カタナね。剣術? いや刀剣術かな。あるのか、そんなの。

……あったよ。


 --------

 ヴォルリーナ (13) lv.20 (銀狼族)

 HP:10,597

 MP:1,829

 

 所有者:カール=リフトハウス

 

 SP:12 + 68(used)

 体術   ■■■■■ ■■■■■

 短剣術  ■■■■■ ■■■■■

 刀剣術  ■■■■■ ■■■■■ New -> max

 魔力検知 ■■■■■ ■■■■■

 気配検知 ■■■■■ ■■■■■

 聖魔法  ■■■■■ □□□□□

 

 カール=リフトハウスの加護

 --------


「では、リーナ君は、買ってきた武器の調子を見ておいてください」

「りょーかい、です」


「それでは、ご飯まで、頑張りましょう」

「「はいっ(です)!」」



ふたりがそれぞれの作業に向かった後、リーナの未取得スキルリストを調べてみたが……


「空間魔法なんて、ないな」


これはもしや、最初から適性のあるスキルしかリストアップされていないのでは……? しかも並び順が、ノエリアとリーナで違う。

確か、ノエリアの一番上にあった魔法系スキルは、聖魔法と闇魔法と空間魔法だった。

ってことは……


「獲得可能なスキルが適性順に並んでるのか!」


くわー、なんだよそれ。適性確認、余計だったじゃないか。

あれで、ナルドールに目をつけられたってのに……


それより空間魔法だ。ノエリアの未取得リストの上から4番目にある。魔法の中では魔法付与に続いて、ほぼ最上位だ。

これって、鑑定されたら、また大騒ぎになるやつなんじゃ……


興味深いけど、鑑定持ちがいる限り、なんらかの手当をしてからじゃないとやばそうだ。


俺はそっとリストを閉じた。

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