第108話 腰痛症 その2 経絡治療

 大木鍼灸院で遭遇したドッキリカメラもどきの出来事を、もう少し詳しく書いてみます。前話と重複するところもありますが、素人の見聞録だと思って気楽に読んでくださいね。


 鍼灸院に出かける時は、女房は私の後ろから私を抱きしめ(←(^ω^)足を地面につけたまま、おんぶされている格好)、声をかけ合いながら歩調を合わせて、やっとのことで歩きました。


 私の運転する車が揺れるたびに、腰にひびいて「うーうー」と痛みを訴えていました。


 鍼灸院に着くと、先生はびっくりです。


 いつもは女房が一人で玄関を入って来るのに、初対面の私がまず顔を出し、それに折り重なるように女房が入って来たものだから、何事かと驚いたのです。


 私も訪れるのは初めてで、古い建物を見て驚きました。


「ここで大丈夫?」


 正直、そう思ってしまいました。


 今どきの鍼灸院は、どこも現代風の小奇麗な施療室です。ところが大木鍼灸院は、まさしく昭和の木造一軒家で、8畳間ほどの一室を施療室として使っているのです。


 置かれた腰の高さほどのベッドにやっとのこと横になると、経絡治療が始まりました。


 1回目は半信半疑なので、カーテンで仕切られた隣室のソファに座って、私は書き物をしていました。


 女房の回復ぶりに驚いた私は、2度目の受診時に、その施療の様子を見学させてもらいました。


 その時の施療光景を、箇条書きに書いてみます。


①経絡治療は、私がへたの横好きでやっているようには、やたらとツボは探さないのです。


 私がやっている鍼(皮内針)は、ツボと思われるところを指圧で探し、そこに皮内針を打つという、いとも簡単なものです。


 それでも、「ホント!?」と、やった張本人(私)が驚くほどの効果があったのです。


②鍼灸師は、ベッドに横になった患者の右手に立って、自分の片手で患者の肘あたりのツボを触れ、もう一方の手で反対の腕や足の皮膚をつまんだり、こすったりしています。


 皮膚の張りなどの感触の違いで、その日の患者の陰経、陽経を診断しているのです。経絡は日毎に変化しているのです。


 女房によると、全身の色々な部位で触診を行ないます。15分ほどかけて、「ここは違う。ああ、ここだな」などと一人つぶやきながら、診断しています。


③診断した結果を、かたわらに立つ助手の奥さんにメモるように言います。先生は幼児期に視力を失ったそうで、奥さんは高度の弱視なのです。その記述が診療録になります。


④陰経、陽経が決まれば、後は割合型通りに進みます。その陰陽の乱れを調整する経絡治療が始まるのです。


 治療するツボは、基本的には2カ所だけだそうです。


⑤治療に使用する器具は、針や温灸などです。


 その針は、よく一般の鍼灸院で見かける5~6㎝ほどの長い針ではなく、ほんの少し皮膚を刺激するていどの毛のように細い針で、女房にいわせると痛みは全く無いそうです。


⑥全過程で40分くらいでした。もちろん日によって、病気の内容によって、施療時間は違うそうです。


 治療を終えると、奇跡にも似た驚くことが起きたのです。


 鍼灸院に来る時は、私に背後から抱きついてやっとのこと歩いていたのが、帰りはベッドから立ち上がる時に少し困難さを感じたくらいで、女房は一人で立って歩けたのです。私は手をそえたくらいです。


「うそでしょ!」


西洋医としてはそう叫びたくなるほどに、動けるようになったのです。


 西洋医学つまり整形外科の治療では、腰部を安静にするためのコルセットを装着し、湿布や鎮痛剤を投与しますが、これほどまで良くなるには1週間はかかるのが常識なのです。


 ところがここでは、ものの40分でした。(←(^ω^)こんなに早く治ったら赤字だよね)


 そしてそのまま車で家に帰り、立ったままなら色々なことができるようになりました。重いものは腰に負担がかかりますから持たないようにして、料理などの家事が全て出来たのです。


 経絡治療のポイントは、経絡の乱れを読む診断にあります。大木鍼灸師は、経絡治療でも独自の流儀を持っているそうです。


 それは、経絡の乱れを診断する時の触診のし方に、独自の方法を取り入れているのです。


 普通の経絡治療では、手首の脈の変化で診断するのですが、脈での診断は微妙で難しいため、先に書いたように皮膚の張り具合でそれを診断しているのです。


 大木先生によると、こんなこともあったそうです。


 大木鍼灸師に日頃治療してもらっていた男性が、ある時、脳梗塞に倒れて病院に入院となりました。


 彼が病院の担当医に、大木鍼灸師にリハビリ治療をしてもらいたいと願い出たところ、断られてしまいました。


 これは普通のことで、西洋医が鍼灸師に治療を依頼することは、急性期にはあり得ないことなのです。


 1カ月ほどして病状が安定したので退院し、大木鍼灸師にリハビリ治療してもらいました。すると麻痺した手がぐんぐん回復して動き出し、担当医もその急速な回復ぶりにはおどろいていたとのことです。


 大木鍼灸院の情報を書いておきます。(⇒豆知識)


 慢性的な持病、特に整形外科的なものが、1番のおすすめかと思います。


 近所にある経絡治療の鍼灸院に行かれて、効きめがかんばしくない時は、一度相談されてはどうでしょうか。


追記)前話で、経絡治療で女房の頭痛が治ったと書きましたが、それだけではなく、不整脈も出なくなったのです。私が色々な薬を処方してもいまいちだったのに、経絡治療ですぐ良くなってしまうとは、西洋医の私の立つ瀬がないよね。(←(^ω^)これ、ボヤキ)


* 豆知識


大木鍼灸院 大木隆夫 鍼灸師

〒344-0032 春日部市備後東2丁目3番38号

TEL 048-734-1420


診療時間 AM 9:00~PM 7:00

定休日 毎週日曜日


〈つづく〉



----------

宣伝⇒姉妹作品「なんちゃって神父さんー(^ω^)そうだったのか『神との対話』」連載中 《 あなたの人生を振り返る、自分の真実を取り戻す 》

----------


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る