第100話 五十肩 (1) 両肩がいっぺんにやられた
私には病気がたくさんあります。ところが幸いなことに、命にかかわるような重病はありません。すごく痛かったのが尿管結石、狂うほどに悩んだのは不眠症でした。
五十肩も命にかかわらないにしても、とにかく痛い。手を使う仕事には多大な支障をきたします。(⇒豆知識)
日頃、外来の患者さんが、五十肩でつらいと訴えているのを診て、
「60歳なのに、五十肩ですかねぇ」
冗談めかしていっていたことが、今さらながら思い出されます。
本人は相当つらかったのでしょうにね。五十肩は、なってみないと分からない病気の典型でしょう。(←(^ω^)外見からは、全く分からないからね)
いざ、自分がなってみると、なるほどつらいものです。それも、両肩がいっぺんにやられると、腕を奪われたに等しいほどのハンディーが生じます。なので身体的のみならず精神的にも大きなダメージを受けるのです。
その体験談を書いてみます。
2007年の11月ごろ右肩が痛みだしました。徐々に増強して、衣服の着脱時や入浴中の洗髪時に、右腕が上がらなくなってきて、これはおかしいと初めて気付いたのです。
数年前にも、右肩が少し痛くなったことはありますが、その時は知らぬ間に治っていたのです。
右肩に2カ月ほど遅れて、左肩も痛むようになりました。
両肩がいっペんにやられると、生活上にいろんな支障が出ます。
その時困ったことを列記してみますよ。
①自分の頭より高いところには、手が届きません。窓のシャッターを上げることはできても、下ろすことができないのです。車の後ろのハッチを上まで開けたら最後、情けないことに閉められないのです。ハッチに手が届きません。
1度全開してしまってどうにもならず、バンパーに乗っかり四苦八苦してドアを引き下ろしました。五十肩だとは知らない人が見れば、「あの人何やってんの」となりますよね。以後はハッチを開けるのはやめました。
両肩がやられたら、仕事にも支障が出ました。
②入院カルテを2冊以上かかえると、肩が抜けるように痛むのです。(←(^ω^)入院カルテって案外重いのですよ)
患者さんを診察するのに、聴診器を当てようと腕を伸ばすと、「いたたた!」となるのです。
患者さんが急変でもして、心臓マッサージが必要になったら大変です。カルテ2冊くらいで肩に響いていたのですから、心臓マッサージなど到底できません。そうなったらどうしようかと、真剣に心配しました。幸いにもこの1年間に、そういう事態は起こらずにすみました。
③病棟には、鉄製の重いドアがあります。それを開け閉めするのも、難しくなりました。それまでは運動のために階段を使っていましたが、自動ドアのエレベーターに乗らざるを得なくなったのです。どうしてもの時には、お尻か足でドアを開けました。
④2008年3月に痛みが1番強くなりました。単身赴任でしたので、1人で服を着なければなりません。両肩がやられると、これまた大仕事なのですよ。
そこで考えました。針金のハンガーにシャツをセットしてドアノブにつるし、まず両腕を袖に通して、後でハンガーを抜き取るという方法です。このアイデアで、やっと1人でワイシャツや上着を着ることができました。
ハンガーを抜き取るといえば聞こえはいいですが、自分が床にへたり込むのです。針金のハンガーなので、曲がって自然にはずれてくれます。(←(^ω^)これまた他人が見れば、「あの人何やってんの」ですよね)
⑤ベッドに寝ると肩の痛みで、何度も夜に、目が覚めます。湿布だけでは治まらず、鎮痛剤(ロキソニン)を服用せざるを得ませんでした。2錠では效かず、1度に3錠服用しました。
それでも薬が切れると痛みで目が覚め、一晩に3回服用したこともあります。ロキソニンは胃にあまりこない薬で、私は愛用していますが、さすがに一晩にロキソニン9錠ともなると、胃がおかしくなります。胃薬を併用しました。
そのうちに、両肩のうしろに座布団をあてがい、上向きになって寝ると、痛みがやわらぐことに気づきました。ただ横向きには、うづいてなれません。
となると、上向きだけの姿勢で一晩中じーっとしていなければならず、今度は背中や腰が痛くなり、熟睡はできませんでした。
⑥困ったのは、通勤に使っている車の運転で、ハンドルを回すのがつらかったことです。単身赴任のため、横浜-春日部の間を週に1往復していました。
その時はハンドル下方の内側に両手をのっけて(←(^ω^)のっけてという表現がぴったり)、ハンドルを回しました。
ETCが付いていないので、高速の乗り降りが大変です。
高速を出るときは、料金所に係員がいますから、窓から少し手を出せば係員が手を伸ばしてくれます。ところが入るときには、自動券売機から通行券を取るのに右腕が上がりません。
わざわざ迂回して、入口に係員がいるところ(←(^ω^)浦和です)を探して、高速にのったのです。
〈つづく〉
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