カティの見た景色
こいつ――!
カティはひらひらと逃げ回る敵機、
『メラルティン、そいつは特殊だ。セオリー通りじゃどうにもならない』
二番機についてくれたベテランが教えてくれる。
『そいつは直感で動く。だからお前も直感で対抗しろ』
「直感……!?」
なんだそれ。どういうことだ!?
冷や汗か、脂汗か。
出会ったことのないタイプの敵。そして、明らかに強い。二手も三手も先を読まれている。
その時、シベリウスが機体を捨てた。システムを破壊されての止むを得ない選択。だが、それはカティにとっては衝撃だった。圧倒的で絶対的な庇護者が、突然いなくなってしまったのだから。
どうすればいい!? どうすれば……!
『メラルティン、他の事を考えるな! 目の前のそいつに集中しろ! 集中が切れたら殺されるぞ!』
「うわぁっ!?」
その忠告の矢先、
カティはそれでも冷静にミサイルの機動を読み切り、機関砲で叩き落とした。爆散の破片は機体の前面のショックアブソーバを展開してやり過ごす。機体に傷はついただろうが、このくらいは大目に見てもらおう。
「どこだ……!?」
爆発に突っ込んだ際に、
『メラルティン、上!』
「!?」
背面飛行のまま突っ込んでくる
ダメージは……軽微! まだまだいける。
カティはそのまま機体を上昇させ、
「くっ……そっ!」
カティは機体制動モジュールを書き換えて、バランスの再調整を瞬時に完了させる。そこに対空ミサイルアラートが鳴り響く。コックピット内がけたたましい音に支配される。
『メラルティン、敵の新型二機が合流した。逃げろ!』
『ここは俺たちが時間を稼ぐ。距離を取れ!』
二番機と三番機を務めてくれていたローズマリー隊の隊員たちが、口々にそう言った。だがその直後、三番機が爆発四散した。
「くっ!」
カティは後ろを振り返り、そして絶望する。
一対三! よりによって……こんな……!
カティは弱気になる心を叱咤する。
「アタシはこんなところでは死なない。死ねない」
祈るように呟いたカティは高度を上げ、雲の中に突っ込んだ。
その時、見た。
雲を貫いた時。晴れ渡る空の彼方に。
巨大な航空機――ISMTの姿を。
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