世界の終わり
世界の丸天井で跳ね返る怒号と悲鳴は居住区の外れのおじさんの元にも届いていた。
この前まで一緒に暮らしていた小さな少年は仲間を求め離れてしまっていた。
おじさんはひとりだった。
窓から身を乗り出すようにして宮殿を見る。
居住区のあちこちから見たこともないどす黒い煙が立ち上っている。
黒い煙が意味するもの、火の手、酸素の消費、それはこの世界の終わり。
何が起こっているのか、予想はしていたつもりだった。けれど、黒い煙を見てしまうと、まったく平静ではいられなかった。
世界が終わる。
手が痺れるほど窓枠を握り締めた。
居住区だけではなく、この地下世界すべてが終わろうとしている。
何を守らねばいけないか、はっきりと分かっていた。
カバンやマントを急いで用意した。
迷いは無い。
守るべきは世界。
世界は、宮殿にある。
おじさんは、ひとり、部屋を出た。
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