after第22話 目覚めるゴンザレス太郎

ニーガタの町のとある民家、住人が居なくなったその家のベットでゴンザレス太郎は目を覚ました。


「ん…こ、ここは?」


知らない天井に気付き回りを見ようと体を起こそうとして全身に激痛が走り再び仰向けに倒れる。


「なんだ…何があった…」


記憶を辿ろうとするが激しい頭痛に思考が停止する。


「あっ?起きた?」


何処かで聞いた懐かしい声を耳にして視線だけそっちにやってゴンザレス太郎は驚く。

そこには銀髪の少女の元神マリスだったミリーが居たのだ。

水着エプロンで…


「おっお前何してるの?!」

「ん?いや~ゴンザレス太郎こういうの好きだろ?」

「まぁ…かなり悪くないが…って一体何が…イテテ…」

「はいはい、怪我人は無理しないの」


そう言ってミリーが持ってきたのはお粥であった。

忘れもしない、ゴンザレス太郎が一度だけ味見をしたミリーの手作りお粥…

この世界には米がないので代わりにクルトンの様なパンがスープを吸ってふやけた物が入っているのだが、そのスープが問題なのだ。

あの時と同じ緑色と青色のスープ…

以前一口食べて、死ぬほどのダメージにも耐えたゴンザレス太郎が一瞬で意識を刈り取られた恐るべきスープ。

あの時は確かに言った筈だ…


『作ったら人に食べさせる前に自分で味見をしろ』と


そのスープを見ただけで全身から脂汗が吹き出るのを理解したゴンザレス太郎は必死に逃げようとするが全身を襲う激痛に邪魔され身動きが取れない。


「ほら、無理しちゃ駄目でしょ」


ミリーがゆっくりと近付いてくる。

怪我をして動けなくなった一般人がゾンビに襲われるホラー映画が脳裏を過るゴンザレス太郎はあまりの恐怖に顎が震えだした。


「まずはこれを食べて元気になって」


そう言ってミリーがスプーンで救ったお粥が目の前に出される。

緑と青のスープから紫の湯気が上がり目の錯覚か湯気がドクロの形にも見えたそれをミリーは「エイッ」っとゴンザレス太郎の口の中に突っ込んだ。


その瞬間、オアシスで起こった出来事を思い出した。

ダマと名乗るゴーレムに水蒸気爆発で吹き飛ばされたことを思い出したのだ。

俗に言う走馬灯である。

だが…



「むぐっむぐっ…もむもむ…ゴクン。美味い」

「本当?!嬉しい!」


無邪気に笑うミリー、その笑顔に癒されるゴンザレス太郎。

元々神に性別は無い、だから恋愛対象になった相手と違う性別に変化していくと以前聞いた事でミリーはゴンザレス太郎に惚れていた事をその顔を見て思い出した。


「へへーん!ミリーちゃん特製『ポーションとエーテルのエリクサー粥・改』美味しいでしょ?」


無邪気に笑うミリーに色々聞きたいこともあったがゴンザレス太郎は彼女に一言…


「ありがとう」


その言葉にミリーは満面の笑みで答えるのだった。

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