after第17話 町を蝕む呪いの正体
「ををっ来てくれたか!」
ギルドの職員に呼ばれニーガタの冒険者ギルドに来たゴンザレス太郎とフーカ。
既に町でも人が居なくなったと騒ぎになっており捜索願がかなりの数集まりギルド内は騒がしくなっていた。
「それでどういう状況なのですか?」
「うむ、貴方方に助けて頂いた人は全員消えたみたいです。」
「そんな・・・」
フーカが絶句する。
逆ピラミッドから救助した人が全員消えたと言うのだ。
「そして、今分かっているのは冒険者や町の人に関わらず何人も行方不明になっているという事・・・」
そんな時、カウンターで叫ぶ一人の男に注目が集まった。
「俺は見たんだ!人が突然地面に吸い込まれるように消えたんだ!嘘じゃねぇ!」
地面に吸い込まれるように消えた・・・
もしそれが本当なら今回の事件はありえると考えた。
事実、誰一人町の門から出て行った人は居なかったのだ。
それは今朝の門番が証言していた。
「大変だ!」
更にギルド内に飛び込んできた一人の冒険者が叫ぶ。
騒がしいギルド内ではあったがその男の声が一際大きく全員がそちらに視線をやる。
そして、その男は言葉にする・・・
「デルタさんが・・・Sランク冒険者でこの町の守護者『妄槍のデルタ』さんが・・・消えた」
その言葉に場は静寂から再び騒然となるのであった。
Sランク冒険者が守っていると言うのがこの町のステータスでもありこんな事態でもきっと何とかしてくれると誰もが期待していたのだろう。
だがその希望の星ともいえるデルタが消えた。
それはこの町を混乱に落とすには十分な情報であった。
そして、この場に居た者達はそれを目にする、いや・・・目にしてしまった。
「だからこんな町に来るのは嫌だったんだ!」
「なにを言ってるんだ!お前がここのダンジョンに出稼ぎに行こうと誘ったんじゃないか!」
一組の冒険者が言い争いをしていた。
どうやらこのニーガタに出稼ぎに来たと思われる二人組みのようだが仲間が消えた事で戦えない状態に陥っているのが直ぐに分かった。
どう見ても二人とも後衛で前衛で戦う者が居ないと普通に辛いだろうと思われる組み合わせだ。
「もう嫌だ!俺は今すぐにでもこの町を出るぞ!」
「馬鹿よせ!一人であの砂漠を越えられるわけないだろ!」
「うるさい!俺に触れるな!」
一人の男が止めようとしている仲間を突き飛ばした。
運悪く突き飛ばされた男は置いてあった椅子に足を掛けてしまい転んでしまう。
そして・・・
その姿がまるで地面に吸い込まれるように全員が居る目の前で消えたのだった。
「うわぁああああああああ!!」
「呪われてる!この町は呪われている!」
「誰か助けてー!!!」
場は一気に騒がしくなり冒険者ギルドから外へ逃げようと一斉に人が走り出す。
ギルドのドアは大きな魔物を狩って来た時でも中へ運び入れられる様に広く作られてはいたがそれでも中と比べると狭くはなっている。
そこに人が一斉に駆け込んだらもちろん人と人がぶつかるのは当たり前であった。
そして・・・
「おい!邪魔なんだよおま・・・」
ドアに押し寄せた一人がそこで消えた。
突然人が居なくなり押し競饅頭になっていた状態から人が消えるのだから押されて転ぶ人が出るのは当然である。
そして、人が人を押し外へ逃げ出そうとするのだが次々に人が転び消えていく・・・
「まさか・・・お前たち落ち着け!」
ギルドマスターの怒声が響き入り口に詰め掛けていた人々は我を取り戻す。
そして、気付く・・・
入り口から出ようとした人の半数が既に消えている事を・・・
「まさか・・・いやしかし・・・」
ギルドマスターの独り言が続きゴンザレス太郎が思い出す。
そう、あのゴーレムは言ったのだ。
『いい事を教えてやろう、そいつらの攻撃を1撃でも喰らえばたちまち呪いはお前の体を蝕み仲間入りだ』
この時に気付けと言う方が無理であろう。
この呪いは人から人へ伝染するのではないのだ。
そもそも呪いがこの世界では魔法による状態異常の一種だと知らない訳では無いゴンザレス太郎は懸念していた。
「そうか・・・これは広範囲魔法・・・効果は・・・効果範囲内で怪我を負った人物は呪いにかかる・・・」
ゴンザレス太郎のその言葉は呟き程度の言葉だったが間の前で次々に人が消えた事で静まり返った人達の耳に届くには十分であった。
誰もが隣人と距離を取り爪で引っ掻いたりするだけで呪いに掛かると他人を恐怖するのであった。
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