第111話 発生しないイベント

「う…ううううう…」

「あ…あがががが…」


奴隷として売られ首輪に繋がれて鉱山奴隷として働かされている二人の男、かつてシズクの家に強盗として入り一家を惨殺した二人であった。

本来の歴史であれば二人の借金はシズクの母親の宝石で借金を返済し再び金に困り、神の操作により任意の相手を襲うように歴史を作られていたのだが、ゴンザレス太郎により二人はシズクの家族を殺すこともできず本来であれば死んでいるはずのフーカかはスキルの力により両親が既におらずフーカ本人も生きていた。

ゴンザレス太郎だけでなくフーカも歴史に干渉していたのだ。

そして、二人の男は神の操作によりフーカを襲う様に行動を起こしたいのだが鎖で繋がれて逃げることも出来ず突然の苦しみに悶えていた。


「っど、どうしたんだこいつら?」

「分からん、さっきまで「俺、ここを出たら田舎に帰って家業を継ぐんだ」とか言ってたのに突然」


二人の急変に毒ガスが発生したのではないかと騒ぎになりこの鉱山が暫く閉鎖されたのは言うまでもないだろう。

勿論二人は解放されずそのまま奴隷として拘束されたまま廃人のようになるのであった。







「っ?!」

「あの…ゴンザレス太郎…これ…パパから聞いて…」


それはサラからバレンタインのプレゼントであった。

勿論異世界にそんな文化もなくチョコの代わりにお菓子を渡しているのだが…


「サラ、抜け駆けとはいい度胸」

「なによフーカは毎日会ってるんでしょ?」

「うぅ言い返せない…」

「ゴンザレス太郎、来月のお返し楽しみにしてるよ」

「っ?!どういうこと?!」

「バレンタインの翌月にホワイトデーと言うお返しをするイベントがあるんだって。」

「タツヤ、私も用意してくる!待ってて!」


命を狙われている筈のフーカは特に何事もなく一人駆けていく。

魔物のヘイトを集めるくらいで特に何事もなく彼等は幸せな毎日を過ごすのだった。







「ど、どうなってる?!俺は確かにイベントを起動したぞ?!くそっこうなったら可哀想だがこの手で行くか…」


神はフーカがまだ生きていて二人は行動してない事実に苛立っていた。

設定したイベントが何かの不具合で途中で止まることは良く有りこれもその一つだと考え間接的にだが手を下すことに決めたのだった。


「良く考えたらネタで作ったこの呪いのアイテムこういう事態にピッタリじゃないか!ハハハッ」


神はまだ知らない、フーカを守る規格外のゴンザレス太郎という存在の事を…

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