第54話 悪夢の始まり
炎の塊はその場に止まり空気を焼き付くし徐々に小さくなっていく。
熱により周囲の景色は歪み二人の居た場所はまるで隕石が落ちたかのようにクレーターとなっているのが見え始めた。
余りの熱量に土が溶けて蒸発したのだ。
「いつもながらサラ様の炎王球は凄まじい威力ですな」
悪魔大元帥アモンがサラに話し掛ける。
サラは少し寂しそうな表情を浮かべていた。
擬似的にとはいえゴンザレス太郎を愛した気持ちの幸せが思い出されその手で始末したのを少し後悔しているようにも見えた。
だがその表情も炎王球が消失し黒い煙が少しずつ風に流されて驚きに変わった。
「う…うそ…」
「ば…ばかな?!」
そこには両手を広げてフーカをその身で守るゴンザレス太郎が立っていたのだ。
肩で息をしながら俯きかろうじで生きているのは分かるがただの人間が耐えられるモノではないのは確かだ。
実際にサラの炎王球を障壁無しで喰らって耐えられるのは魔王と打ち出した本人のサラくらいしか居ないのだ。
なので魔物達が考えたのは一つだった。
「火炎属性耐性持ちか、人間にしては珍しいが種が割れれば何て事はない」
先程の風魔法でゴンザレス太郎を吹き飛ばした馬のような魔物が口にする。
だが火炎属性耐性持ちだとするならサラではダメージを与える方法が肉弾戦のみとなる為その魔物が一歩前に出た。
だがその馬のような魔物『ゴズ』の発言に首を振って驚いているのは悪魔大元帥アモンであった。
「違う…耐性なんて持ってない…障壁無しでまともに受けて立ってるんだ…」
ユニークスキル『スキミング』を持つアモンはゴンザレス太郎のステータスを全て見ていたが魔法防御力も普通の人間の子供より低く耐性属性など一つも持ってないのにも関わらずこうして立っているゴンザレス太郎に未知の恐怖を感じていた。
そんなアモンの心中など知らずゴズはゴンザレス太郎に一気に近づき近距離から風と氷の合体魔法『マヒヤロス』を唱える!
「合体魔法『マヒヤロス』!この氷の竜巻は永遠にそこの女を追いかけるぜ!」
対象がフーカなので避けたきゃ避けろとゴンザレス太郎に伝えるゴズ。
空気が氷り竜巻の中で鋭利な刃物と化してまるで動く拷問器具のように二人に迫る!
「タツヤ!もういい!私に構わず逃げて!」
フーカの叫びにゴンザレス太郎は振り返り傷だらけで焼け焦げた顔を微笑ませて…
「助けるって約束したろっ…」
最後まで言い終わらないうちにゴンザレス太郎はマヒヤロスに巻き込まれ中でボロ雑巾の様に揉みくちゃにされ全身を切り刻まれ傷口は凍り付きそのまま上空に打ち上げられて竜巻の消失と共に地面に真っ逆さまに頭から落下し鈍い音と共に倒れるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます