第41話 穴を掘って埋め直す。まるで囚人だな
「ね、ねぇ…それって毎回必要なの?」
ジルがフーカに聞いてきたのでフーカは…
「ゴンザレス太郎のスキルは私の膝枕がないと発動しない、これは私達の愛の力なの」
「ってうぉい!お前なに言ってるの?!」
ゴンザレス太郎は飛び起きた。
眠ろうとした所でフーカの台詞を聞いて慌てて否定したのだ。
「ゴンザレス太郎、そう言うことにしておけば貴方一人だけ誘拐されたりする事を回避できる。これは貴方を守るため」
「フーカ、嘘を付くときは視線をそらす癖を直さないとスキルなくても分かるんだが…」
「いいから寝る、おやすみのキスが要る?」
「要りません!」
そう言ってゴンザレス太郎は再び目を瞑る。
暫しその寝顔を見つめるフーカ、優しいその笑みが彼女がゴンザレス太郎をどれだけ想ってるかを表していたのだが…
その甘い空間に居心地の悪い3人は苦笑いすることしか出来なかった。
「そろそろかな?ゴンザレス太郎起きて」
膝枕をしていたフーカは乗っかってる頭を揺すってゴンザレス太郎を起こす。
これから一体何が始まるのか期待に胸を膨らませる3人に…
「じゃあ穴を掘りますか」
「「「えっ?!」」」
「その為のスコップですよ」
そう言って穴を掘り出すゴンザレス太郎に続いて3人も穴を掘り出す。
それぞれの前に小さめの穴が出来たのでゴンザレス太郎はバックの中から使って小さくなった消しゴムを穴の中に入れる。
「皆さんも持ち物で要らない物を穴に入れて下さい」
そう言われそれぞれ使用済みポーションの空き瓶とか小さい魔石とかを適当に入れた。
「それじゃあその穴を埋めて下さい」
「ってちょっと待ってこれ不法投棄じゃないの?!」
メールが大きな声を出して突っ込みを入れるがゴンザレス太郎は微笑みを向けるだけで気にせず穴を埋める。
埋め終わってゴンザレス太郎は全員を見詰めて一言。
「初めてのスキル効果なので一応念のためにマコトさんに掘ってもらって僕らは離れて構えておきますか」
そう言ってマコト以外の四人は少し離れて装備を整える。
意味が分からないがゴンザレス太郎のスキルだからどうなるのか分からないジルとメールは言われた通り装備を構える。
「それじゃあマコトさんお願いしまーす」
「はいよっ」
そう言って自分の埋めたポーションの空き瓶を掘り起こして…
「へっ?!」
すっとんきょうな声を上げるマコト。
恐る恐る穴の中から取り出したのは細長い黄色い角であった。
それを見たフーカが近付いてスキル『スキミング』っで鑑定する。
「これはドラゴンユニコーンの角ね」
「「「はぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!」」」
3人は奇声を上げる。
ドラゴンユニコーンと言えば伝説上の珍獣だ。
その角なんて下手すれば白金貨が10枚は必要なくらいの価格なのだ。
驚きつつも次のジルが小さな魔石を埋めた場所を嬉々として掘り出すマコト。
そして出てきたのは大きな羽であった。
それを見てフーカは声が裏返る!
「こ…これわ…キメイラの羽!?」
「「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」」」
キメイラの羽と言えば今は絶滅したと言われるキメイラと言う魔物の羽でそれを使えば瞬時に行きたい場所まで移動することが出来たとされるこれまた伝説のアイテムである。
このアイテムの為にキメイラは乱獲されて絶滅したとされている。
勿論価値は白金貨8枚はする。
更にマコトはメールの埋めた壊れた時計を掘り起こす。
出てきたのは見た感じポーションだった。
「まぁハズレもあるか…」
「あわわわわわ…」
「ん?フーカちゃんどうかした?」
「そ…それ…ラストエリクサーです…」
「はっ?」
※ラストエリクサー、伝説の霊薬とも言われる『エリクサー』の上にある『ハイエリクサー』の更に上の『エクスエリクサー』の上の神話級の薬。
価値は白金貨5000枚でも買えない。
「はぁ~」
メールがあまりの衝撃に気を失った。
マジメの3人も困り果てていた。
こんな高価な物を一体どうしろと?
依頼で必要なのは金貨15枚以上の価値のある素材なのだが…
これは異常すぎる…
恐るべきゴンザレス太郎の入力したコード…
『埋めたアイテムランダム変化』
であった。
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