第28話 レベル上げ代行

異世界には様々なルールがある、そのルールによっては必要とされるモノも当然変わってくる。

この世界でもそれは例外ではなく異世界モノの冒険者に出される依頼に『レベル上げ代行』と言うものがある。

この世界ではスキルを使って鍛冶職や製造職が仕事を行うのは前にも書いたと思うが日常生活の作業でスキルを使って仕事が安定して出来るほど神力が貯まることは無い。

その為に必要経費として冒険者ギルドに依頼を出してパーティーを組んでもらいレベル上げを行ってもらう仕事が存在する。

金額に応じて手強い魔物を倒す冒険者の質が上がり冒険者側も依頼をこなせば自身のレベルが上がりギルドランクも上がる、そうすれば更に強い魔物を倒して…

っと持ちつ持たれつの需要と供給が安定したこのレベル上げ代行がこの世界のギルドのメインの依頼となっているのだ。


「レベル上げ代行の依頼をお願いします。報酬は銀貨30枚で」


フーカが受付に依頼を出して1割の手数料込みで銀貨33枚をゴンザレス太郎が手渡す。

ハッキリ言ってこの額は高過ぎた。

通常のレベル上げ代行の場合銀貨5枚から10枚が相場なのだ。

だがこれにはフーカの考えがあった。


「私達二人を護衛出来て専属契約を受けれる人を募集して下さい、面接の後決めさせてもらいます」

「わ…分かりました」


フーカの依頼を処理し直ぐに書類を作成する職員。

既にアイアン達がギルドに居なかったのは幸いだったとゴンザレス太郎は安堵する。

依頼書を発行し終わり職員が確認を求め、二人が許可をしたら掲示板に依頼書が貼り出される。


「おっおいこの依頼を見ろよ!」


朝方の依頼を終えて報酬で食事をして居た一人の冒険者が、この時間に貼り出される依頼には大したものは無いが午後は暇だし簡単なのならやっとくかって気持ちでそれを見て驚いて相棒の冒険者に声を掛ける。


「せ…成功報酬銀貨30枚?!」


その声に近くに居た冒険者達も次々に集まる。

それもそうだろう、高額報酬な上に専属契約を結べれば依頼を優先して回してもらえ、しかもこの高額報酬を定期的に得られるかもしれないのだから。

冒険者達は我先にと受付に押し掛ける。

だが次々に苦虫を噛み砕いたような顔をして受付を去る冒険者達。

そう、報酬に目が先に行ってしまい依頼主の指定した場所を確認していなかったのだ。


『慟哭の洞窟』


そこはギルドランクC以上のメンバーが居るパーティーが入れる難度の高いダンジョンでそこの魔物は非常に手強い。

特にギルドランクCと言えば一流冒険者と呼ばれる強さと技術を持った者しか到達出来ないランクなのだ。

二人はそのギルド内の様子を確認して帰宅するのだった。


そして、翌日学校帰りにギルドに寄った二人に面接希望の冒険者が待っていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る