第63話 護衛任務追加①

 王都フェルネルを出発したジェドとシアはエリメアに向け街道を進んでいる。この辺りは流石に王都近郊という事もあり人通りも結構ある。ジェドとシアのように冒険者風の旅人から行商人風の者まで様々だ。


 エリメアまでは普通徒歩で1週間ぐらいかかる。だが、2人は5日での到着予定を立てていた。

 これは決して自惚れではなくジェドとシアの健脚はかなりのものであり何事も無ければ十分到達可能な計画だったのだ。


 実際に多くの旅人を2人はそれほど急いでいるつもりはないのに次々を追い抜いていく。


 朝早くに出発し太陽が真上に昇った所でそろそろ小休止に入ろうとすると前方に一つの隊商が街道を進んでいるのを見つける。


 その隊商は人数が50人程の隊商で規模としては、小規模な隊商と言っても良いだろう。だが、あくまでそれは人数と馬車の数だけをみればだ。


 ジェドとシアはその隊商が厳重な事に気付いている。


 冒険者と思われる人物達が二つの馬車をぐるりと取り囲んでいる。あの二つの馬車が護衛対象なのは明らかであった。一つの馬車はわりかし豪華な馬車であり隊商のリーダーかその家族が乗ってあるのかも知れない。

 もう一つの馬車は貨物車であるのだが、そこの護衛の数も相当な人数だ。ひょっとしたら50人程のうち護衛が大部分を占めているのかもしれない。


「相当な警戒だな」


 ジェドの言葉にシアも頷く。


「うん。馬車の数に対して…護衛の数が多いわね」


 シアの言葉から、この隊商が何らかの貴重品を取り扱っている事が察せられる。


 単なる日用品ならば大量に捌かなくてはならないために馬車の数が足りない。要するに護衛の数と荷物の量が釣り合っていないのだ。護衛の数と荷物の量が釣り合う事を考えればあの量でも釣り合いがとれるためには、あの隊商が高価な品物を運んでいるという事だった。


「面倒な事にならないようにさっさと追い抜く事にしよう」

「そうね、さすがに王都近くだから盗賊は出ないでしょうけど、もう少し行ったら魔物が出る事も十分に考えられるわね」


 ジェドの言葉にシアも賛同する。いかにも訳ありの隊商なので、出来る事なら関わり合いにならないようにしようという意見に落ち着いた。


 そう決めるとジェドとシアはそろそろ小休止をとろうと考えていたのだが、この隊商を追い抜き距離を置こうとしたのだ。


 だが…


 ジェドとシアはそれを実行する前にもめ事に巻き込まれることになったのである。




 ジェドとシアが足早に隊商を追い抜こう距離を詰める途中で、隊商を護衛している冒険者達が騒ぎ出したのだ。護衛の冒険者達はそれぞれのチームごとに隊列を組み、みな同じ方向を見つめている。


 ジェドとシアもその様子から護衛の冒険者達の視線の先を見ると冒険者達が騒いでいる理由がわかる。


「こんな所で魔物の襲撃だと?」


 ジェドの言葉に警戒が混ざる。


 確かに王都の近くには魔物が出るのは事実だが、こんな街道のど真ん中に魔物が出るというのはかなり珍しい。実際にジェドとシアが王都近くで魔物の討伐任務を受けるときは近くの森林地帯に入っていくのだ。


 だが、ここは街道のど真ん中だ。ここで襲撃を受けるというのは何かしらの意図を感じずにはいられない。


 襲撃してきた魔物達はオーガが10数体だ。冒険者達は数ならば同等以上だが、顔を青くしている冒険者チームがいくつかあるところを見ると『シルバー』以下の冒険者も混ざっているらしい。


「ジェド…どうする?」


 シアの言葉にジェドも考える。


(助太刀するか? だが、明らかに厄介事だ)


「シア、オーガ討伐までは手伝おう。目覚めが悪いからな。だが、あの隊商に関わるのはそこまでにしよう」

「うん」


 ジェドの言わんとする事をシアも察したのだろう。この街道のど真ん中でオーガの大群に襲われる隊商…。


 関わると絶対面倒な事になるのは明らかだ。かといって手助けしないというのはあまりにも目覚めが悪い。となるとちゃっちゃとオーガ達を始末して去るしかないだろう。


「行くぞ!!」

「うん!!」


 ジェドとシアは駆け出した。

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