生命の冒涜者達

冒涜の始まり

夜も更けた頃、静まり返った都市部。今宵も売春婦が路地裏で静かに泣きすすり、月は蒼く地を照らし、片や民家では少年が安らかな眠りに就いていた。都市部大通り、地に崩れ落ちた像を踏み付けながら一人の男が行く。その男の手にはランプが握られ、その内の火種に宿った炎は静かに世界を小さく照らしていた。闇を掻き分けるかの如く、或いは不安の中を泳ぐかの如く。その男は夥しい数の歩行者の波の中を唯只管に歩き続けていた。

どれ程歩んだか、ふと彼は足を止め、フードの中から月を見上げた。否、そこに月は在らず。在るのは月を背景に浮かぶ奇怪な生命体。人の闇、生命への冒涜。暫しその肉塊と睨み合った後、彼は再び歩み始めた。

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