超能力者

その超能力者は女の子だった。


初めて彼女に会ったときは髪の長さは肩ぐらいまでだったが、彼女が高校生になった頃には身長は163cmになり、髪は腰の上まで伸び、前髪は横一直線に揃っていた。彼女は身長が僕に及ばず悔しがっていた。前髪は自分で調整したらしく本人は失敗したと言っていた。お金がないらしく、美容室ではなく、1000円で髪が切れるところで髪を切っていた。好感が持てた。


彼女が高校生になってから久しぶりに会った時、待ち合わせの駅の改札で彼女は柱を背に寄りかかって僕を待っていた。僕はその時彼女を見て天使だと思った。化粧はしてなかった。色白ですごく綺麗になっていた。


制服のスカートは膝にかかるかかからないか程度に折り込まれていて、今時珍しい純粋な女子高生だった。あんな子に僕は会ったことがなかった。彼女の家庭は母子家庭だった。


おしゃべりだった彼女は年を重ねるにつれ物静かで謙虚な性格になっていった。何かに傷ついてそうなったわけではなく、自然とそうなった。


僕は彼女が中学生の頃に出会った。大学生だった僕はとある町の個別指導塾で講師のアルバイトをしていて、その塾の生徒の一人が彼女だった。彼女がおしゃべりになったのは塾をやめてからだ。


僕は彼女に数学と英語を教えた。


彼女は当時、数字の「7」を「1」のように書き、それを注意したのが印象に残っている。


彼女が中学生だった頃は、学校の体育の時間はあまり参加せず、立ち見し、修学旅行ではみんなと大浴場に入るのを嫌がり、1人で部屋のお風呂に入ったと言っていた。


それが僕の知る彼女だった。

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