第51話 恋の戦い 3
「マイシ、お腹空いたの?」
これで誰も私のお腹が鳴ったと思わないよね。
「ああ、腹減った。ミーナの腹も鳴ったな! よし何か食べに行くぞ。海に行って魚取ってくるか? それミーナ行くよ」
マイシ、別にわざわざ私のお腹が鳴ったことを大きな声で言わなくてもいいのに……。まさか腹減ったら、食材から採りに行く原始的なことするつもりなの? マイシの生活を考えるとそれしかないか……。
「あのー、別に海に魚を取りに行かなくてもいいですよ。そうですね。やはりヨイさんの言葉に甘えましょう。タケルイも荷物を取りに行かないといけませんしね。それに王都へは三時間かかるので、日が暮れてしまいますね。ちょっと、ミーナ待って下さい」
ダニーが私の腕を掴む。マイシに引っ張られダニーに引っ張られて。私千切れないよね? マイシが止まってくれてよかった。「ヨイさん。馬車を一台用意して頂けませんか? 龍で行くと目立ちますので」
「ええ、もちろんです。今すぐ、用意させます。すぐに来ます」
ヨイさんの言う通り馬車はすぐ来た。馬車は私達の前に止まった。マイシが口を開けて驚いている。マイシは馬車について、私に聞いたので軽く説明する。馬車を引いている動物が馬と知ると「騎士は馬に乗るんだぞ!」と騒ぐ。きマイシの事情を知らない周りの人は、不思議な少女と思っているに違いない。タケルイ、ダニー、マイシと私は馬車に乗った。サラサはずっと私を睨んでいた。
「わー、すげー。すげー」
マイシは一人だけ騒いでいる。驚いては体を上下に動かして騒いでいるか窓から町を見て驚きの声を出している。馬車には、マイシと私が一緒に座って、タケルイとダニーが反対側に座っている。
「私がいない間に、ミーナがいなくなったと言うことはどう言うことですか?」
タケルイはしばらくマイシを不思議に見ていたけど、ダニーに聞いた。
「ああ、二日前に私とミーナはメリエッシ様の結婚式へ行ったのです。それでメリエッシ様とミーナが朝の散歩へ行った時に、メリエッシ様は先に戻られました。ミーナはどうしましたか?と尋ねたら、まだしばらく一人で散歩すると言われたと言っていました」
ーーメリエッシ、そんな風に言っていたんだ。
「それで私は一時間ほど待ちましたが、少し気になったのでミーナを迎えに行きました。二人が出かけた浜辺に行きましたが、ミーナがいません。私はスカイに乗って辺り一面探しましたがミーナを見つけられませんでした。
男爵の屋敷に戻ってメリエッシ様に問いましたらミーナが一人になりたいと言われたので先に戻ったと言いました。只崖の下を何度も見ていたので、何度も注意をしたと言いました。私は海の方を探しました。一晩中探しましたがミーナは見つかりません。
すぐに王都へ行きました。もしかしたら神官長だったら、何か龍姫と龍騎士について探し方を知っているのではと思ったからです」
ダニーが一息ついた。
「神官長は何も知りませんでした。私はもう一度、ミーナのいたと言う海岸へ行くことにしました。途中でスカイがすごい声で鳴いて勢いよく進み、私達はここへ来たと言うことです。後はあなたの知っている通りです」
ダニーが私を見て私が話すのを待っている。
「あっ、えとね。メリエッシ様が、急にお花を摘むと言って屋敷に戻ったの」
「花を摘むですか? ああ、便ですね」
「うん、それで私浜辺に行ってしばらく座って海を見ていたの。そしたら、急に眠気がきてそのまま眠ってしまったの」
その時のことを思い出して急に胸が痛くなる。
「次に目を覚ました時は舟の上だった……」
「そっ、それは!?」
「タケルイ、最後までミーナの話を聞こう」
彼が何か聞こうとした時に、ダニーが止めた。
「もう一つの舟に乗っていたおじいさんが、私を犯罪者の島へ連れて行くと言った……」
タケルイが顔を歪める。目から涙が零れる。
「わ、私、何度も説明したの。私は犯罪者じゃないって! 龍姫だって! でも、そのおじいさんは、犯罪者達は皆無実だって言うんだって笑って言ったの。私が龍姫って言うと、拷問によって頭が狂ったって笑うの」
涙が止まらない。今まで窓の外を見ていたマイシが私の手を握る。
「そ、それで、舟が島に近づいた時に、舟を海流に押されて。そのおじいさんと別れたの。おじいさんが、その島は海流によって、舟が島へ無事に辿り着くか着かないか、分からないって。舟が沈むかもしれないって」
「ああ、ミーナは運がよかった。滅多に無事に島に着く奴いねーからな」
マイシが言った。
「そ、そうでしたか。それで、ミーナを舟に乗せた人は、メリエッシ様が怪しいです」
ダニーが低い声でゆっくりと言った。
「うん。おじいさんがメリエッシ様に頼まれて犯罪者を島へ運ぶように頼まれたと言っていたから、そのおじいさんも私が犯罪者と信じて、私の言葉を聞いてくれなかった……」
「くっ、くそー。あの売女め! 許さん! 殺してしまえ!」
タケルイが怒って席を立った。
「タケルイ。落ち着きなさい!」
ダニーがタケルイを叱りマイシを見て言った。
「それで島でこの龍騎士と会ったと言うことですね。この方は龍騎士ですよね?」
「うん……よくマイシが私の騎士って分かった……ね?」
二人が、マイシを上から下まで見て聞く。
「ええ、分かりますとも。どうしてそのような恰好をしているのか分かりませんでしたが、島出身と言うことでしたので納得出来ました。ところで私は龍騎士は男性だけと思っていたのですが、どうして彼女なんですか?」
「えっ!?」
やっぱりマイシって、女の子に見えるよね。
「テメー、俺のどこが女だって言うんだ。どこをどう見たって男だろう?」
マイシが怒った。
「……男?」
ダニーとタケルイが声を合わせて言った。
「くそー、俺は男だー。ちゃんと立派なものだって持っているんだぞー。お前らは男だから見せないが、後でミーナにはちゃんと見せてあげるからな。ミーナ飯食ったら結婚してするぞ。そして早くお前の穴に入れさせろ」
「ちょ、ちょっと。何を言っているの? もうこの手離して!」
私はマイシの手を離して、馬車の反対側へすかさず移動。マイシと距離を取らないと。
「穴?」
ダニーとタケルイが目を丸くして、彼を見る。
「おなごの穴、知んないの? だからミーナも、俺が入れようとした時に抵抗したんだ」
「ミーナの穴に入れようとした?」
ダニーがどこに持っていたか分からないナイフを、マイシの首に当てた。
「ちょっと、ダニー。な、何するの?」
「お、オイ。お前、はえー。って、オイ、俺を脅して、俺のケツの穴犯したいの?」
ーー誰かマイシの教育をお願いします……。
「はあ? なんで私があなたのお尻を犯すと言う話になるのですか?」
ダニーの持っているナイフが震えている。なんかそふるえた手でマイシの首が切れるよ!!
「これどけろ。わ、分かった。俺、ちゃんと順番待つよ! お前達から先に入れていいよ。俺、別に緩くなっても全然いいから!」
「ダニー。止めて! そのナイフを仕舞って。えとね、マイシ、あの島で生まれてあの島しか知らないの。だから、何も常識とか知らないの! あの島は犯罪者しかいなかったから、だからそのナイフを離して!」
ダニーが私を見た後に、マイシを睨んでナイフを首から離した。
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