第35話 恋の確認
次の日、朝食の時にダニーから髪飾りをもらった。白金でピンクの石の花に緑の石が葉っぱになった、可愛らしい髪飾り。
「ダニー、これ、私に?」
私はその高価そうな髪飾りを手にして、嬉しくてドキドキしている。
「ええ、そうです。ミーナのイメージで選びました。どうですか? お気にめしましたか?」
ダニーが少し心配そうに聞いた。
「はい、とっても綺麗で可愛いです。で、でも、こんな高価な物を私なんかに。私なんかが頂いていいのですか?」
私にはその石が、何で出来ているか分からないけど。それが高価な物と言うことは、すぐに分かる。
「ええ、これはミーナのイメージで選びました。ミーナが付けてくれたら、私はとても光栄です。私がお付けしましょうか?」
ダニーが私の座っている席の後ろに立って、私の髪を触った。
「あっ、お願いします」
私はドキドキ胸を高鳴らせながら、ダニーの手を感じていた。
「出来ました」
ダニーが私の髪を後ろで一くくりした。ダニーの手つきは慣れている。毎日自分の髪を後ろでくくっているからなのかな?
「ありがとう」
「やっぱりミーナの綺麗な髪に合っているなあ」
ダニーが、私の顔を見てニコニコしている。
「まあ、ダニー様。なんと素晴らしい髪飾りをミーナに下さって。これって、まさか! まさかピンクサファイアでは、ありませんか? それで、葉っぱはペディオットですか?」
給仕をしていたクレイさんが、大声で騒ぐ。
「ええ、まあ」
ダニーが小さい声で言った。
「やはりそうでしたか。こんな珍しい物を。流石、お金持ちのクルイ商会の方ですわ」
やっぱり、ダニーの家は、お金持ちなんだ。
「いえ対したことありません。クレイさん。今後、ミーナに必要な物は何でも言って下さいね。私は夫として、ミーナに何でも買ってあげたいのですよ」
「まあ、流石、ダニー様。やはりそう言うものですね。確かにミーナの物は、神殿と国から龍姫として支給される範囲で私どもが身の周りの物を揃えておりますが、どうしても、今後のためにもっとドレスとか必要になりますねえ。そう言って頂けると私もうれしいです」
私は、「はっ」としてしまった。生活費のことなんて、何も考えていなかった。
「クレイさん! 私、ちゃんと生活費払います。今は無理ですが、この恋織物を織って払います。だから、しばらくはしゃ、借金と言うことで……お願いします」
段々と言葉が小さくなってしまう。
「あっはっはっは。ミーナ、ミーナが生活費のことを心配することないんだよ」
「うふふふ、そうですわ。ミーナは、龍姫様ですよ。神に生活費を請求する神官なんて、どこにもいませんよ」
ダニーと、クレイさんが笑っている。
「それに、私とミーナは夫婦です。私がミーナを養うのは普通のことです。それに、愛する妻を美しく飾りたいと思うのは、夫として当たり前のことです。今度、ミーナに合った首飾りや他のアクセサリーも贈らせて下さいね。私は、まだ妻に何もあげてないかいがいせいのない夫でしたね」
ダニーが頬っぺにエクボのある顔で、微笑んで私に言った。私は、うれしくて照れてしまう。
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