第25話 第二騎士と
ダニーが龍騎士になった日。彼は私達の住む「龍屋敷」へ引越しして来た。元々館には名前がなかったか、私の命名が採用された。私に感化されて周りも「龍屋敷」と呼びはじめた。ダニーも二階の部屋に落ち着いた。
食事は三人で食べるようになった。タケルイはダニーを兄のように慕い始めて、彼もタケルイを可愛い弟のように接している。私はダニーのユライへの接し方が兄弟のようじゃないと気付かなかった。もし気付いていたら、あんなことが起きなかったかもと思う。でも、私が気付いていたとしても、私には何も出来なかった……。
ダニーは父親の仕事を手伝っている。彼が商会を実質運営しているらしい。彼の所へ毎日商会の人達が来る。流石に龍屋敷は、警備が厳しいので結局二三日してダニーが実家へ通う形になった。彼は急に龍騎士になったから仕事を弟へ引き継ぐために忙しい。
龍騎士と言っても仕事は、魔物退治と国の行事に出るだけなのでかねての日はすることがない。さらに龍騎士が国にいれば自然と魔物の数も減っていくし。だから龍騎士の仕事以外に他の仕事をする者が多いそうだ。
ダニーは商人だから戦闘は無理だと思っていたけれど全然違った。
龍騎士の剣の訓練も、意外にダニーはすごかった。タケルイと剣の試合をした時にダニーが勝った。そのい後のタケルイの落ち込み具合が気の毒な気持ちになった。
ダニーは何度か商隊で旅をすることがあるから、身を守る訓練をしているらしい。
なぜか私はダニーが龍騎士になってから彼に急激に惹かれる。タケルイにもそうだったように。私は自分の気持ちが怖い。
ーーなぜこんない短期間で簡単に二人に惹かれているの? それとも私が龍姫だから? これは運命?
美奈の時のように剛志を愛していた時の気持ちを最近思い出せない。頭では、「美奈は剛志をずっと好きだった」と分かっているけれど、心ではその時の気持ちを思い出せない。
私の毎日は、レディーの振る舞い方やダンスで忙しい。クレイさんはスパルタ教師だ。これが美奈だったら、体が筋肉痛になってダンスなんて一生出来ないと思っていた。
ミーユの体は田舎育ちだったからか、元々運動神経がいいのかどっちか分からないけれど、スパルタに付いている。
私はそんな何気ない毎日が続くと思っていた。穏やかなタケルイとダニーがいて私がいる生活。
秋の終わり頃に織り機が届いた。糸の染めは何個かある商人が染めた糸を買い取ったのがあり、糸を染めないですんだ。この恋織物の染め糸もミーユの村でする。雪解けの水で春の小川で、染めては洗って日干しをする。その作業を何度もして、自分好みの色に仕上げる。
この恋糸も珍しく欲しがる人達がいるので、商人へ下ろす村人もいた。私はこうして恋糸が手に入って、嬉しくてその日は舞い上がってしまった。織り物は私の宝物。ミーユの宝物だけれど、私の宝物になっている。織り機が来てから、さらに私の毎日は楽しい。美奈の私が勝手に織っていく自分の手に感動する。私はそんな毎日が続くと思っていた。
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