第8話 第一龍騎士 2
私は小さいミーユがトニーが仲良く遊んでいる姿を、映画の早送りのような感じで見た。私はカイシとミーユが辺り一面の雪景色の中、二人で手を繋いで歩いている姿を見た。
私が剛志と悪ふざけた会話を、教室の中でしているのを見た。お母さんとお父さんと、弟達が葬式で泣いている姿を見て、クラスメートと剛志が、葬式で泣いている姿を見た。
「ミーナ、起きてちょうだい。お願い……」
「龍姫様、お願いします。お目を覚め下さい」
「どうぞ、私達の罪をお許し下さいませ」
私はそう言って泣いている皆を見たし、聞こえているけど起きたくない。でも私が起きないと、この国の人には龍が必要。私は目を開けた。
思っていた通り、皆心配して私を見ている。皆の目が真っ赤に腫れている。
「よ、よかった」
クレイさんが私の頭を撫でて泣いた。周りに神官長や私のお手伝いをしてくれている修道女達と何人かの神官達がいる。
「起き上がりますか?」
私が起き上がろうとしたのに気づいて、クレイさんが私の体を支えてくれた。
「お水をどうぞ」
さっと修道女の一人が私にコップを渡してくれた。礼をしようとしたけど、喉が痛くて言えず水を飲んでコップを返した時に礼を言う。
「気分はどうですか?」
神官長がいるのようで、バロンさんが丁寧語で聞く。
「はい、大丈夫です」
「それはよかったです。また熱を出されて二日間眠っておられました」
私は二日も眠っていたんだ。
「もうこのまま起きられないと思いました。お目を覚めて、まことによかったです」
神官長が頭を上下に動かしながら言う。
「起きてすぐで済まないが、緊急なことで話を聞いて欲しい」
神官長が心苦しいそうに聞いた。
「王太子のことです。龍騎士の徴のあるゆえ、龍騎士を辞退することは出来ません。龍がこの国にいることはとても重要なことです。
王太子様も今回のことを謝罪するため、毎日神殿に来ています。王太子様以外にも王様、大臣達も面会を求めています。どうぞ王太子様をお許し下さい。会って頂けませんか?」
「……はい……」
すぐに返事をしたので周りが驚異の声を出す。王太子の言った台詞は許せないけれど、この国がミーユが育った国が魔物があふれるのは嫌だ。もう二度とミーユの愛した人達のように死んでいく人がいて欲しくない。
「ありがとうございます。何という寛大な配慮。面会は明朝にします。今日はゆっくり休んで下さい」
私は神官長の言う通りすぐに寝た。夕方一回起きて、食事をしてまた眠った。
次の朝、涼しい風が窓から入って来て秋の訪れを伝える。ミーユは北国出身なのでこの体では、太陽の下に長くいることが出来ない。
皮膚が真っ赤に焼けて、貧血をすぐ起こしてしまう。私はまた涼しい季節がくるのを楽しみ。あんなに死にたいと思ったけれど、私はやっぱり生きていたい。 確かに男の人からは、愛されないけれどクレイさんとバロンさんは私をとっても心配してくれた。龍姫だから?と思うかもしれないけれど、ミーナと言う少女を心配している。
私が二人の遺体の間で発見されたと隣国の龍騎士様から聞いている。クレイさんに聞かれ、私は二人のことを話した。彼女は泣いて私を抱きしめてくれた。
二人は私が心の中で死にたがっているからあんなに頻繁に熱を出すと思っている。だから、龍騎士様と新たに恋をしたら、私が元気になるのでは?と思っているのも知っている。
「今日はいつも以上に綺麗にしましょうね」
クレイさんがそう言って、支度をしてくれた。鏡に移るミーユは、とても綺麗。綺麗だけれど、ガラス人形のよう。元々ミーユは色白で、細い。長い水色の銀紙とサファイアの目。今は目が悲しい。氷の妖精。
そう私は薄いラベンダー色のドレスを着た氷の妖精のよう。「ありがとう」クレイさんと修道女の達にお礼を言った時に、笑顔を作れた。
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