第35話 神4
なぜか闇の魔法も使うことができる俺と、神デウスとの究極の戦いが始まろうとしていた。
「人間がなぜ、闇のオーラをまとえる!? 貴様、魔族だな!?」
「魔族?」
記憶喪失の俺に分かるはずがない。
「いいえ! 私の弟子は、人間です!」
「ならなぜ、闇の者しか使えない闇魔法が使えるのだ!?」
「そ、それは・・・。」
デビちゃんは、真実を言うのをためらう。
「悪いが、俺は記憶喪失で記憶がない。」
そう、都合の悪い所は、すべてこれで逃げれるのがこの物語の良いところ。
「俺が、人間だろうが、魔族だろうが関係ない! デビちゃんは、おまえみたいな腐った神には渡さない!」
「く、腐っただと!?」
全知全能はずの神が感情を荒げて怒っている。神とは穏やかな心で、困っている人間を助け、祝福をもたらせる者ではなかったのだろうか?
「ゆ、許さんぞ! この虫けらども!」
神デウスの心は、自分が神で偉いのだという、奢りから真っ黒に染まっていたのだった。下等生物・俗物と思っている人間や小悪魔にに、バカにされ、否定されたことにより、神様スマイルの仮面を脱ぎ捨て、本性が現れたのだ。
「ハフ~。」
デビちゃんは、一息ついた。自分を落ち着かせるためだ。相手が天界の神なのだが、元々、魔界の小悪魔のデビちゃんにとっては、神と戦う方が普通で、天使と友達になっている方が異常なのである。
「あなた、神にケンカを売っているのが分かっていますか?」
「デビちゃんも、神になれないかもしれないけどいいの?」
「なんとなくですが、「あの方」があなただけを認めたのが分かってきました。」
「「あの方」って、誰?」
「勝ったら教えますよ。」
「ハハハ! 勝つ気なんだ。」
「はい。正義は負けません!」
俺と正義の使いさまは、目と目を見つめ合い、うなずいて、神の方に振り返った。
「あくまでも、この神デウスと戦う気か、生意気な!」
神は怒り心頭だった。
「神の剣で、神にはダメージを与えることができません。」
「なんだって!?」
俺は、神には勝てないのか!?
「ですが、正義の使いである私が、あなたに、もう一本の神の剣を与えましょう。闇の上級魔法の闇のオーラが使えるあなたなら、きっと使いこなせるでしょう。(ウソ。)」
「さすが、デビちゃん。なんとかしてくれると思ったよ。」
「私は正義の使いですから。奇跡を起こすのが仕事です。(ウソ。)」
そう言うと、デビちゃんは、祈りをささげ始めた。(形だけ。)
「さぁ! 言ってください! いでよ! 邪神の剣と!」
「わかった! いでよ! 邪神の剣!」
俺は言ったが、ふと気づいた。
「え!? 邪神の剣!?」
ゴゴゴゴゴ! っと地面が裂けて、闇をまとった、禍々しい剣が現れる。
「これが、邪神の剣!?」
俺は剣を掴んだ。剣を見るが、俺に違和感はない。まるで昔から俺の剣だったかのように馴染んでいる。
「その剣なら、神にもダメージを与えることができます!」
本当の所は、邪神の剣は元々、俺の持ち物で迫りくる神や天使と戦う時に使用していた。記憶を失う前の俺はいったい何をしていたのだろう?
「いくぞ! 落神!」
「落神だと!?」
「おまえみたいに権力に溺れて、弱い者いじめをする奴は、神なんかじゃない!」
こうして俺と神デウスの戦いが始まった。俺は1人で光と闇を使う、ゲーム業界・アニメ業界が求める新ジョブになっていることに、まだ気づいていない。
つづく。
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