第7話 第3天使
「早く、私に会いに来て。」
女性の声が聞こえる。
「ん、んん?」
俺は、その声で目を覚ました。夢の中の女神さまは、会いに来いと言う。俺と女神さまは、いったいどういう関係なのだろう? しかし、記憶喪失なので、自分が何者なのか、分からない。
「今日は忘れ物はないでしょうね?」
「壁に穴を開けて、先生に怒られた・・・。」
「ズコー!?」
「もう嫌になる・・・。」
「記憶喪失なのに、記憶力がいいんですね・・・。嫌なことは早く忘れましょうね。」
物事を忘れているのは記憶喪失のせいだ。覚えたことは、俺の脳みそに刻まれている。俺は、正義の使いの小悪魔のデビちゃんと一緒に、学校に向かっている。
「夢の中の女神さまが、「早く、私に会いに来て。」って言うんだ。」
「そりゃそうですよ、あなたが記憶を思いだしたら、すぐに駆けていきますよ。」
「ええ!?」
正義の使いは、俺が記憶を思いだすと、夢の女神さまに会いに行くという。俺とはどんな関係なのだろう?。
「俺は、記憶を失う前に、女神さまに会っている?」
「運命なのです。2人が出会うことが、あなたと「あの方」の・・・。」
その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。
「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」
正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。
「ゲフ~。」
「ここまでが、お約束です。」
「そろそろ、話を前に進めませんか・・・。」
正義の使いは、本当は、小悪魔のデビちゃんなので、俺を欺いている、天罰が下っている。
「おはよう。」
「おはよう。」
俺は学校にやってきて、席に着きカバンを机に掛けた。そして、隣の席のラファ子ちゃんに挨拶をした。おまけのウリ子もいる。それと、もう1人、新しい女の子がいた。いったい誰だろう?
「サタン、正義ちゃん、おはよう。」
「君は?」
「私は、無視か!?」
「私は、ガブ子です。」
「あんたも、私をいないことにして話を進めるな!?」
「ガブ子ちゃん、俺はサタンです。」
「まぁ!? あなたが噂の記憶喪失の!?」
天使ガブリエルのガブ子が現れた。
「いいんだ、私なんか・・・。」
「ウリ子がいじけてる・・・。」
「私が癒してあげます。」
ウリ子は、教室の隅で座り込んでいじけている。デビちゃんとラファ子は、そんなウリ子を心配している。
「あなた、おもしろい雰囲気をかもし出しているわね。」
「俺が?」
「そうよ。あなたは誠実で真面目なのに、あなたからは、悪魔の気配を感じる。」
「ギク!?」
ガブ子の鋭い指摘に、正義の使いは、本当は小悪魔なのでデビちゃんは戸惑う。
「変わった精霊を連れているのね?」
「これのこと?」
「私は正義の使いの正義ちゃんである! ワッハハハ!(ウソ。)」
悪魔だが、正義という言葉に、抵抗がなくなってきた。
「正義の使い!? どこからどう見ても、悪魔にしか見えないんですけど?」
「ギク!?」
ウリ子は騙せたが、ガブ子は、手強そうだ。
「正義ちゃんは、正義のために戦うのよ!」
「火も雷も回復も使うことができるんだぞ!」
「俺は、正義の使いさまの弟子になったんだ!」
俺、ラファ子、ウリ子が援護射撃をする。
「そうなあんだ。」
「ドキ!?」
ガブ子は、ジッーと疑いの眼差しで、天使の使いを見る。
「まぁ、いいわ。ミカ子の蘇生で疲れてるから、今日の所は、天使の使いさまということにしておいてあげる。」
なんとか、ガブ子の追求の手を逃れた。
「わかった!」
今度は、ウリ子が騒ぎ出した。
「正義ちゃんは、正義の使いなのに、見た目が悪魔に見えるからいけないんだ!」
「ウリ子ちゃんがまともなことを言ってる!?」
「ウリ子の頭がおかしくなった!?」
「おまえたちは、どういう目で私を見ているんだ!?」
笑っているだけで許されるラファ子に対し、ウリ子はいじられキャラである。
「全身真っ黒で、頭の三角耳の頭巾、背中の小さな羽、三角の尻尾、武器も二股の槍、どこから見ても悪魔に見える。」
「本当だ!?」
「だから完全に悪魔ですって!?」
「私は、正義の使いです!(ウソ。) ワッハハハ!」
やっぱり、デビちゃんは悪魔の子供なのでした。
「全身をファンデーションでお化粧と口紅を塗って、金髪ロン毛の巻紙カツラをつけて、頭に神々の使いらしく、金色の輪っか。次に背中にモコモコの羽を背負い。尻尾も豚さんの尻尾のように丸々折り畳み、武器も槍先に木を突き刺して、神の杖風にっと・・・できた!」
パンパカパンー! 小悪魔のデビちゃん、正義の使いさまに見た目も変身完了!
「正義ちゃん、鏡を見て。」
ウリ子がデビちゃんに鏡を渡す。
「こ、これが・・・私!?」
鏡に写る自分の姿にうっとりするのでした。
「ガングロの頃と違い・・・う、美しい!? これが正義!?」
真っ黒しか知らなかった、デビちゃんは白い世界を知ってしまった。この衝撃は、小悪魔の人生では体験できなかった。
「これが悪魔時代から憧れていた、正義なのですね!」
もうデビちゃんは、小悪魔には戻れない。バックで雷や津波が押し寄せる衝撃に包まれている。
「これで、どこから見ても、正義の使いさまだ!」
「80点ね。」
「カワイイ! 正義ちゃん!」
3天使は、好き勝手言って、盛り上がっている。
「そうです! 私は天使の使いなのです!(ウソ。)」
それでも、少し体が、むずがゆくなってきたデビちゃんでした。
「あの、俺の出番は!?」
忘れてた・・・。
つづく。
あらすじ。
「おまえは何を忘れた?」。女性の声で夢から覚めた俺は、名前も、どうやって生きてきたのかも、全ての記憶を失っていた。そんな俺の前に、正義の使いが現れた。小悪魔のデビちゃんに騙されているとも知らずに・・・。「あの方」とは、いったい誰なのだろう!?
「自分の名前も思い出せないのか?」。サタン、俺の名前が決まった。正義の使いさまが、神々と交信をしてつけてくれたらしい。この正義の使いさまは、「あの方」のことを話そうとするとイカズチが降り、書こうとすると炎で燃える、そして人を騙すと傷が回復する。人を騙すことは、まさに! 悪魔のささやきだった!?
「私のことは覚えていないのか?」。学校に、転校生として転入した俺。記憶が無いので、分からないことだらけである。忘れ物が多い俺に、隣の席のカワイイ女の子がペンや消しゴムを貸してくれた。忘れ物も悪くはない!? しかし、この状況に正義の使いさまは、「あの方」がお怒りになると、気が気ではないのだった!?
「私を忘れたら、許さない!」。俺は、学校生活を楽しんでいた。俺の席の隣のカワイイ女の子、天使ラファエルのラファ子ちゃんがいるからだ。俺は、忘れ物を記憶喪失のせいにして、ラファ子ちゃんに近づくという。まさに! 悪魔も驚く、外道ぶりを発揮していた俺の前に、正義の使いさまが立ちはだかる!?
「あなたは、○○なのよ!」。まだ俺の記憶は戻らない。「あの方」についても謎。まさに、ミステリーである。ラファ子の友達のウリ子が現れて、正義の使いさまの正体を悪魔と見破った!? 正義の使いさまと天使ウリエルとの命をかけた戦いが繰り広げられる!?
「あなたがしたことは、思い出さないで。」。俺は、なにをしたというのだろう? 正義の使いさまは、呼びにくさから、正義ちゃんに改名。あくまでも、天使のラファ子とウリコに遊ばれる!? ガブ子とミカ子も名前だけ登場し、俺は、天使に囲まれた!? これを「あの方」が知ったら、怖すぎる!?
「早く、私に会いに来て。」。この物語は、元○○の俺と「あの方」の壮大なストーリーだったはず!? それなのに、小悪魔のデビちゃんを正義の使いさま化して遊ぶ方がおもしろいなんて!? ついに見た目まで正義に目覚めてしまった!? 代わりに俺の存在が、ついに忘れ去られた!?
終わる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。