48million ~国民総アイドル社会~

作者 板野かも

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★★★ Excellent!!!

――

文字はぼやけ、鼻水は止まらないし、手汗でスクロールは碌にできない。
止まらない身体の震え、やっと心臓のバクバク音を意識し始めた時、あぁ終わってしまったんだと気が付いた。
それだけ本作の終盤が、甘く、アツく、そして、美しく。
――物語に引き込まれていた。


少し時間をおいて。
本作。若い女の子が全員アイドルとして雇用されるという奇抜な設定。
なんじゃそりゃ、と見送っていたのだが、本作の関連作品『ダメな近未来SFの見本』から興味を持ち読み始めたら、

――何これ、超面白い。
私個人、"SF教本"から来たので、本作の練りこまれた近未来の世界観に注目していたが、物語が進むにつれて、あたかも自分が作中の時代にいるような感覚を覚えた。
変な言い方すると、SF"設定"が気にならなくなった。
だって、その時代では"あたりまえ"のことだから。
「卓上端末《インターフェース》」「スマートチェア」、見たことないはずなのに、語感から私程度でも何となく想像できて、いちいちそれがどんなものであるかなんて考える必要は少なかったし。
SFに詳しくともそうでなくとも、またアイドルに興味あってもなくても楽しめる。

そう本作で一番重要なアイドル――と書こうとしたけど、文字数が多くなるし、何よりも私がいくら言葉を重ねても伝えきれるかどうか。
SF要素についてもですが……というか本作の素晴らしいところを"要素"で抽出しきれる訳ない。
練りこまれた沢山のそれが、魅力的な世界観を構成しているんだもん。

だから、レビューの頭に書いたことについて少しだけ。
本作の終盤、物語は加速度的に進む。多彩な表現による文章は、確かに文字であるというのに、脳は瞬時にそれを映像へと変換した。
身体は震え、感動か興奮か、よくわからないが、熱くなった目を何度、枕で抑えたことか。
一文一文、一言一言が感情を刺激してくる。こんな体験、初め…続きを読む

★★★ Excellent!!!

――

これはまるで花火大会である。

期待を高める演出があり、
花火が打ちあがる。
「おおっ」と声を上げることもまた演出の一環である。
そこには観客同士の一体感がある。

そしてまた音楽が流れ、ナレーションが流れ、
花火が打ち上がる。
「おおっ」とまた声が上がる。

それは加速度的に迫力を上げ、
ひたすらに花火は打ち上げられていく。
音楽、ナレーション……そういった演出はすっかり意識の外に追い出され、観客の目は花火に釘付けになる。光と、遅れて届く音に、痺れる。脳が痺れていく。

全ての花火が打ち上がっても
なお脳の痺れは残ったままで、
目を閉じれば混沌美麗な花火の風景が蘇る。

花火大会よろしく、
最初から最後まで一気読みせざるを得ない逸品だった。
一種鬼気迫るような迫力があった。
そして今も、圧倒的な余韻が残っている。

さんがに★で称えました

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★★★ Excellent!!!

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国内の女性すべてにアイドル活動が義務つけられた世界、というワクワクするような度肝を抜かれる設定だけで、これは絶対読まねばと思わせられるには十分でした。
前情報を得た段階では、風刺色の強い作品なのだろうなと思いましたが、確かに風刺的な部分も多々あるのですが、この作品の核は本気で最高のアイドルを目指す女の子と、彼女を慕い、全力で推し行為をする幼馴染の男の子の、恋愛未満の絆と友情の人間ドラマなのだと思います。
また、この作品の説得力の凄さは尋常じゃないです。ハードSF張りの世界設定、その構築力にはびっくりしました。ただのアイドル小説ではありません。もう一度言いますがバリバリのハードSFです。
全体的に読みやすく、板野さんはかなり読み手に気を使って工夫して書かれているようです。適切なタイミングで適切な情報を読者に与え、途中でダレないように、サプライズを配分し、導かれるように自然に読み進めることができます。手練れです。

このレビューで一番言いたいことは、「チクサ愛してるぞ」です。僕はプライベートでもアイドルのライブに参加しているのですが、彼女のステージは、実際のアイドルのライブに劣らず魅力的で刺激的で、板野さんの一種詩的な言葉の洪水で表現されるパフォーマンスは、そこに至るまでの成り行きを見守ってきた僕にとって、特別な感情を抱かせるに足る素晴らしいものでした。泣きました。

最後に、読むのに時間がかかって申し訳ありませんでした。

さんがに★で称えました

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★★★ Excellent!!!

――

とても読みやすく、世界観や設定がうまくできていて、素直にたのしめました。

アイドルとはなんぞや、と思いながら読み進めていくうちに、推理要素もあり、アイドル一択で終わらないのが素晴らしいと思いました。おもしろかったです。

★★★ Excellent!!!

――

広く話題を集めた作品です。今さら語ることもないかとは思いますが、改めて。
この作品の良さというのは一概に言い表すのが難しいです。SFとしても、ボーイミーツガールの物語としても、現実のアイドルへの風刺としても優れていて、何が長所だと言い切るのが難しい。あえて言うなら、全編にわたって貫かれた作者の「配慮」こそが一番の持ち味かもしれません。

大人の策謀で夢破れたチクサが、再び夢を叶えるために駆け上がっていくストーリー。
ふつう、こういう監視社会を描いたSFって、もっと物語全体に暗鬱な絶望感が漂っているものだと思うのです。でも、この作品は、確かにチクサは可哀想な目にばかり遭うのだけど、根底には「希望」を追う雰囲気が流れている。
アイドルというテーマを選択したからこそなのでしょうか。絶望の中に希望を差し込むお話作りが、すごく上手いと感じます。気付けばヒロインや主人公と一緒に悲しみ、傷付き、成功に喜び、怒涛のクライマックスを迎える。遠い未来の話で、人々の価値観も何もかもが違う世界の話なのに、ここまで感情移入してしまうのは、この作者さんに言わせれば「アイドルの輝きは永劫不変だから」ということになるのでしょうか。

あえて物足りないというか、「あれっ」と思った点を挙げるなら、何もかもを有能な兄が解決しすぎてしまって、主人公がほぼ受け身に終始していること。最後の黒幕との対決に行き着くまでに、もっと主人公自身が自分の力で動くお話があったら、さらに面白くなるのかなと感じました。

さんがに★で称えました

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★★★ Excellent!!!

――

アイドルにそれほど興味はありませんでしたが、
あの板野さんの代表作ということで読んでみると、
意外にもいわゆる萌え系の作品ではない、
特撮繋がりで入った僕にも楽しめる作品でした。

スーツアクターのお話でも、東映をもじって北映など
パロディやりたい放題の作風だった板野さんですが、
こちらも露骨にAKBをパロディしていますね。笑
でも、どんどん国内にグループが増えて、
見分けがつかないくらいアイドルの人数が多くなっている今を見ると
日本中がアイドルに埋め尽くされてしまう未来も
あながちフィクションだけとは言えないのかな?という気もします。

ラストに向けて、少しずつ仲間が増えて、
駆け上がっていくチクサちゃんの一途さが格好良かったです。

スーツアクターのお話に出てきた豊橋レナちゃんが
この作品のレナちゃんなのかな?という妄想も膨らみますね。

さんがに★で称えました

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★★★ Excellent!!!

――

凄い凄いと言われるからどんなに凄い作品なのかと思って読んでみたら、想像をはるかに超えて凄かった、という話。

SFの往年の名作のエッセンスを沢山取り込みながら、アイドルという最新の題材で一味違ったディストピア世界を仕立て上げてみせた、この作品。

随所から作者のSFへのこだわり、そしてアイドルへの愛が伝わってきます。

多くの先進技術や現代と違う価値観が登場する話でありながら、それらがすべて登場人物達の日常に根付き、SF要素と人間ドラマが完全に融合しているのが凄い。

時代が進みすぎたことで、逆に、21世紀の我々が目にしている動画共有サイトなどの「旧技術」が、まるで新世界のチート技術のように劇中で活かされているのも凄い。

そしてただSFとしてレベルが高いだけではなく、敵味方のリアルな描写が相俟って、カタルシスのある人間ドラマとしても仕上がっている。

本当に凄い作品を見せてもらいました。

続編も多く出ているようで、今後の展開も楽しみな一作でした。

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

未来に羽ばたくアイドルの話。

少し前に話題になっていたので一度通して読み、今回カクヨムのアカウントを取得してもう一度読みました。

この小説のすごいところは、無限増殖ともいえるここ数年のアイドルの状況や、センテンススプリングなどの時事ネタを巧みに入れ込みながら、未来を描くSFとして一本筋の通った世界観を構成し、それでいて人間ドラマもしっかり見せているところでしょう。

無垢に夢を追うヒロインのチクサや、どんな手を使っても上に這い上がろうとするトップアイドルのクリス。チクサを救おうと奮闘する主人公ツルマやその仲間達も含めて、出てくるキャラクターがみんなリアルな行動原理を持っており、「こういう人、いそうだなあ」と思わせてくれる人物描写になっているのも、ポイントが高いです。

この作者はアイドルのキラキラした魅力を描きながら、それでいて現代にも通じる芸能社会の闇やマイナスの面をも作品に詰め込んでおり、一見してアイドルを肯定する立場なのか否定する立場なのか分からないというところが面白いですね。

作者が本作に込めたメッセージは何なのか、議論のしがいがありそうな一作だと思います。


★★ Very Good!!

――

国民が、住まう女性が全てアイドルになる近未来ーーという、インパクト絶大な設定。
しかし蓋を開けてみると、監視社会化したディストピア物として練られてあるという驚きが読者を驚かせてくれます。
SFとアイドルを融合させた点だけでなく、仲間達の協力を得て挫折からの再起を図るという、熱い青春物語としての側面があるのも、多くの評価を得る理由になっていると思います。

作品舞台としてのSF、近未来でありながら投票や握手券といったアイドルのシステム、そして夢や目標に向かって努力する姿は、作品の内外を問わず人の心を魅了する。
そうしたそれぞれの『根底』にあるものがこの作品の最大の魅力だと思います。
どれほど時代が過ぎても、社会が変わっても、変わらない大切なものがある。それを深く読者に訴えかけてくるこの作品は、まさに『イチ推し』の作品です。

★★★ Excellent!!!

――

作者の別作「ダメな近未来SFの見本」から本作品に入りました。
SF的設定に拘る方なんだろうと期待して読み始め、それは全く裏切られないのですが、SF的設定は所詮舞台に過ぎず、その舞台で活躍する登場人物の魅力が重要なんだと改めて気付かせてくれる作品です。
10万字強なので、本作品自体のストーリー展開はオーソドックスな物ですが、終わり方がto be continued で、実際に続編も有って、気に入れば深入りできる正に今風な構成です。
さて、その登場人物ですが、芸能関係の仕事もしているだけあって、アイドルに対する作者の温かい気持ちが所々に漂っていて、だからこそ登場人物が益々魅力的に仕上がっています。
それにしてもカクヨムには、作者を始め、ふたぎおっと氏、高尾つばき氏、銀鏡怜尚氏と名古屋周辺出身の面白い長編の書き手が多いですね。

★★★ Excellent!!!

――

理想のアイドルとは何か?
近未来にてスターダムを駆け上がろうとする少女と
夢を追いかける少年、そしてそれを助けるたくさんの大人達の
サクセスストーリー。

自分が追いかけた大好きなアイドルは
なんだったかなぁ~。
すごく悲しい思いをした気もするし
それもまた良き思い出だった気もする。

そんな自分の想い出を立ち返ることができる
素敵な作品です。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

国民の女性全てがアイドルになることを義務付けられた近未来で、スキャンダルによってアイドル社会から追放されたヒロインの汚名を雪ぐために主人公たちが奮闘するSFドラマです。

国民の女性全てがアイドルになるという設定は、アイドルファンにとっては歓迎するものなのかもしれませんが、現在のアイドルにあまり詳しくない自分にとっては正直、最初は現実感のない世界だと思っていました。

しかし、大災害後に社会を統制する管理機構が生まれることなど、練り込まれた世界観が作品にリアリティを持たせており、単なるライトノベル的世界でのラブコメではなく、重厚感のあるSFドラマとして仕上がっています。

物語が進むにつれて明らかになるスキャンダルの真相。アイドルという輝かしい職業に影のようにつきまとう負の側面は現代でもありえることで、社会が進歩しても変わらない人間の愚かさを浮き彫りにしています。

文明の発展具合も管理社会であることを考えると納得できるものです。進歩している技術についてはもちろん、逆に社会的な理由で退化している技術についても描かれており、SF作品としての世界観が作り込まれていることがわかります。

そしてアイドル社会から追放されたヒロインが、逆境に負けずに努力と知恵を駆使して状況を変えていく描写には胸を打たれます。この作品はフィクションですが、現実のアイドルも状況は違えどきっと同じように強い思いと純粋な熱意を持って努力を重ねているのでしょう。

儚くも強く美しい。

最近は女性アイドルに対して女性ファンも多いと聞いたことがありますが、それも納得できます。この作品を読んで現実のアイドルに対しても考え方が変わりました。

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

 わたしは昨今のアイドルのありように疑問を抱く一人です。
 音楽活動をプロデュースするよりも、握手の権利を売っているかのような印象のマネジメントが大きな要因です。
 この作品を読んで、勝手ながら、作者様も似たような感情をお持ちなのかな、と思いました。
 SFとしてとてもしっかりとした基盤を構築し、数世紀先の未来を描きながらも、実は現状のアイドルについて思うところを述べているのではないかな、と。(違っていたらごめんなさい)

 アイドルのトップを目指すチクサは冤罪により芸能界を追われるが、周りの協力を得て復活のチャンスを得て本懐を果たしていく。

 一番シンプルにあらすじを描くとこうなってしまいますが、この物語の中にはたくさんのメッセージが込められていると感じました。
 その一番大きなものは、どれだけ社会が変わろうと、時代が進もうと、人の心を動かすのは、強い思いと、そこから生み出される言動なのだ、ということではないか、と思います。

★★★ Excellent!!!

――

SF論も書いている板野かもさんの代表作。
最初は、板野さん自身がよく使われている「出落ち小説」という切り口が気になって読み始めたのですが、少しずつ読んでいく内に、この特殊な世界に引き込まれていきました。
小生はまだSF初心者ではありますが、この作品はSFとしての出来がいいんでしょうね。
アイドルが国を支配するという出落ち的な発想を、上手く膨らませて、巨大な世界観の作品に仕上げています。
SFに疎い人でもひとめで「これがSFのすごさか」と唸らせてくれる傑作だと感じました。
板野さんは「ダメな近未来SFの見本」という講座的な作品で、良いSFとダメなSFを分けるポイントについて語っておられますが、代表作であるこの作品自体が、良いほうのSFの手本のようなものですね。