ゴースト・ターミナル

作者 輝井永澄

74

26人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

この上のひとこと紹介に「んん?」と思った方にはぜひ読んでいただきたい作品です。

私はIT系の仕事をしていてAIに関しても趣味で調べていたりしますが、この作品は技術的な考証とオカルト的なファンタジー要素の組み合わせがとても巧みで、思わず「やられた……!」と舌を巻きました。

次第に謎が明らかになっていくミステリ的な楽しさはもちろん、人工知能に関してありもしない憶測が飛び交う今の時代においては、非常にリアルなAIの姿を描き出した作品だと思います。

IT系に詳しい人も楽しめるし、あまり詳しくない人も気軽に読める本作。
読み終えると謎が解けた充実感とともに少しだけ自分が賢くなった気になれること、間違いなし。

オススメです。

★★★ Excellent!!!

存在するはずのないアカウントが不可解なメッセージを発し続ける……現在に生きる私達だったら、聞いただけでちょっとぞっとしそうな、それでいて「ありそうだ」と思わせる超常現象を引き金に、主人公は一連の陰謀に気づく……。
つかみを読んだだけでも面白そうだけれど、実際に読み始めると、本気で止まらない。次から次へと明かされる事実が、しっかりとつながり、力強く読者を最後まで引っ張っていく。
人間とは何なのか、私たちはどのようにインターネットと付き合っていくべきなのか、人工知能は私たちに何をもたらし、何を奪うのか。現代的な問いが立て続けに問われる。絶対に読んで損のない一冊。

★★★ Excellent!!!

存在しないアカウントと、開発中のAIからの謎のメッセージ、そして突如起こる殺人事件。
点在する謎が少しずつ糸で結ばれて、背景にある大きな思惑・意思にたどり着きます。

「人格を持つAI」「自ら学ぶAI」なんて見出しもすっかり大衆に受け入れられている昨今ですが、「AI」と「人間」、「生」と「死」の境界線を見出そうとする中盤~終盤は、非常に登場人物のメッセージに考えさせられました。

おおっ、ここで切るのか! という区切り方がお見事。ここで止めようと思っていたのに次の話に進んだことが何度あったでしょう。笑

高度なSFサスペンス、その結末はぜひご自分の目でお確かめ下さい!

★★★ Excellent!!!

話し言葉で命令できる人工知能の教育に携わる主人公。そのまわりで、オカルトチックな事件が起こる。どこかから聞こえてくる声と、幽霊アカウント。そして、殺人事件。
主人公とその同僚たちは、その謎にひっそりと踏み込んだはずだったのだが……。

SFとはいえ現代の科学を考えると本当にありうるようなことが描かれたオープニングで、すっと物語に入り込むことができました。途中からは先が気になるミステリーへと変貌していきます。暴かれる意外な事実と展開にひきこまれずにはいられませんでした。
そして最後は、科学と人間について考えさせられるサスペンス。
読みやすくて、はらはらして、少し哲学的な、とても面白い作品です。

★★★ Excellent!!!

科学者たちがとある事件に巻き込まれるお話。
人工知能などのSF要素や、残留思念、幽霊などのオカルト要素が盛り込まれています。

登場人物も人間味に溢れていて魅力的な方々ばかり。
ちなみに、私は真田くんのファンです。

次々と襲い来る予想外の展開に読者は驚き、先を読まずにはいられません。
絶妙なタイミングで衝撃的な出来事が起こるものだから、読むのを止められなくて困りました。
これも作者様の計算のうちだとすれば、非常に恐ろしい……。

それに、難しい話であるはずなのに、全く読んでいてストレスを感じない文章。
これすごく大事だと思います。
理系的な物語に苦手意識がある方にも、ぜひ読んでほしい一作です。

最後に一言だけ。

この作品を読んで。そうすれば、世界を見せてやる。

★★★ Excellent!!!

 人は、分かり合える。

 過去、何度も、ありとあらゆる作品で訴えられてきた。
 心は、肉体と精神を切り離し、世界を、または、時を、怒りも哀しみも越えて、通じ、結びあった。
 そんな、美しい作品を幾つも見てきた。

 では、AIと人はどうか?

 アーティフィシャル・インテリジェンス、という存在に、我々は技術の革新を、又は新たな世界の神の形を夢見るが、はたして現実でもそうなるのだろうか。

 問う。
 それは同質な思考か。何より、分かり合えるのか、と。

 心は、肉体に依って為される精神活動であると、私は思う。本能と言い換えれば単純であるが、思考の飛躍性と触れることの出来る刺激、に答えを見出したい。

 例えば、突然キスをしたくなったり、身を寄せ合い、抱き締めたいと思う衝動である。
 頭の悪そうなカップルが喧嘩ばかりしているくせに、セックスすれば仲直りするような、我々が、失礼、私が唾を吐きかけたくなるような行為にも、或いは真実が含まれているのである。

 膨大なデータ量の果てに、肉体を以て生じる行動を完全に思考で再現出来るのであれば、私の傍らで喉を鳴らす猫、その名も「シュレディンガー」は、退屈そうにあくびをしながらそこに在るだろう。

 私が、この作品を読ませてもらい、最大限に共感したのは、『肉』在ってこそ、という部分を読み取ったからだ。肉体の壁を取り払い、心と心を寄り添い、ひとつになれば、人は幸せであるか、という問いに、『否』と投げかけたい。

 思考は飛躍する。
 だが、人々は往々にして高尚であり純粋であり、思考を至高と捉えがちである。
 思考は志向であり嗜好である。

 心と肉体を切り離さず、一個の生命として描かれるこの作品のクオリティを、私は最大限に評価したい。

 肉あればこそ、この場で、この作品に出会えたのである。

★★★ Excellent!!!

情報分野では既に古典となりつつあるチューリングテストの問いかけから早六十余年。
コンピュータがもはや処理のロジックを与えられるのではなく、脳を模擬した多層ネットワークで学習するのが当たり前の時代へと突入した現在。人間と遜色ないコミュニケーション能力を持った人工知能と共存する社会が目の前に迫った我々はいかに未来を模索すべきか・・・
まさに今、社会で活躍している最先端技術と、活発に研究されている題材を融合させて描かれた近未来が、決して単なるSFではなく極めて実現性の高い予言の様相を見せる本作品は、一方で人間の「意識」について大胆な仮説に基づいた刺激的な超常現象をも盛り込んでおり、いくつもの楽しみ方を提供してくれます。

現状、コンピュータに決定的に欠けているのは「柔らかいハードウェア」。
膨大な科学反応の連鎖が奇跡的なバランスで恒常性を保つ「肉」こそ生命に辿り着くための最後の鍵であり、それが欠けた人口知能はどこまでいっても「思念」止まり。
この「幽霊と人工知能との類似性」を軸に据えた物語が読者に提示するのは、生きているとは何か、そして人間らしさとは何か。

物語の構成は無駄なく練り込まれており、散りばめられたカケラが徐々に符合していく展開にどんどん引き込まれていきました。
読者を離さない絶妙な技巧はさすがの一言です。
加えて、仮想の未来を通して現代社会の内包する問題を炙り出す鋭い視点は、本書に啓蒙書の趣きを与えています。

★★★ Excellent!!!

 おもしろい小説は、とかく先を読みたいと思わせるもの。書籍ならばページ、webならばクリックせずにはいられなくなる。
 「ゴースト・ターミナル」は、スピーディーな展開と深遠なテーマで、読者を一気に引っ張り込む。次々に発生する事件は、登場人物をどこへ導くのか、気にせずにはいられない。私も公開されると、飛びつくようにして本文を読んだ。
 おそらく人類がたどり着くであろう未来の一端も示されているはず。
 興奮すること確実なので、ぜひ、一読を!

★★★ Excellent!!!

公開開始された時から完結まで、追いかけてきましたが、続きがいつも気になって仕方なかったです。
サスペンスとしても、とても面白いです。



少々、ネタバレになるかもしれませんが、完結しても、すべてが解決したわけではないと思いました。
むしろ、今回の事件に関わった人たちにとって、これからなのかもしれません。

ネットの向こう側にナニが存在するのか、どう受け入れていくのか、ちょっと考えさせられました。

★★★ Excellent!!!

読みやすい文章で、毎回毎回引きが上手く「どうなるんだろう?どうなるんだろう?」とワクワクしながら読みました。
内容は「幽霊アカウント」の秘密と殺人事件の犯人探しという二つの謎を軸に展開しますが、そこに意識とは、人口知能のあり方とは......というテーマ性が絡んできて物語に深みを与えています。
エンタメとしても面白く、真剣にAIやネット社会についても考えさせられる小説です!

★★★ Excellent!!!

IT業界の事情や大学の事情がとてもリアルで、おそらくそういう現場を実際に見てきたんだろうなという臨場感が溢れる作品でした。

しかし、この作品で扱っているメインテーマはなにかと都合よく使われる人工知能。私も職業上の都合で人工知能・機械学習を扱うことがありますのですが、さあこのイメージと現実で相当の乖離があるテーマを輝井さんはどう料理してくるのか?
という気持ちで読みました。

個人的にはとても好みのテーマなので、読みだすのは抵抗がありませんでした。またこの作品での人工知能はかなりリアルに近い方向性で描いているのですが、噛み砕いた説明がストーリーに組み込んでありますので、それほど専門知識がなくても読めるとは思います。しかし、それだけではノンフィクション。読者が求めているのはリアルなフィクションですから、展開や落としどころが難しいはず。ラストはどうなるのか。キャラクターや事件を楽しみつつも、そこをとにかく意識して終盤へ向かいました。

そして行き着いた結論。
ここで、あっとやられました。そうか、こういうことを作者は言いたかったのか。そこで表現された人工知能は、フィクションのための都合のいいツールでなく、現実世界の数式でもありませんでした。大胆です。ぞくりという快感があるラストです。

この作品をこれから読むあなたへ。
私から言えるのは、とにかく最後まで読んで欲しい、ということです。そして、社会の中を生きる技術のありように対して、輝井さんの発した誠実で真剣な表現を受け止めて欲しいと思います。

面白かったです。
ありがとうございました!