第6話 休み明け

 翔さんと出会ってから、今日で五日目になる。お盆休みも終わりを告げて、わたしは仕事へと出かけた。仕事先は雑居ビルのワンフロアにある小さな会社だ。制服がないために、私服での通勤となっているし、個人のロッカーすらないという有様だが、必要最低限の役目は果たしている。

 この会社では主にウェブサイトのデザインなどを手がけている。わたしは事務職なので、お弁当の発注や、電話の取り次ぎ、勤務表の管理などをしている。どこの会社でもそうであるように休み明けというのは、仕事がたまっているものだ。

 雑用をいくつか片付けてから、自分の席に着く。社員たちはお盆休みが懐かしいという会話に花を咲かせていた。すし詰め状態の社内だ。聞こうとしなくても、自然と聞こえてくる。九時始業の十八時終わりの契約社員。契約だが、社員とつくだけいくらか優遇されているのだと思う。

 午前の仕事は終わり、昼食の時間になった。慌ただしい社内も、昼食の時だけはそれなりに落ち着いている。

 昨日の夜、帰宅してからメールを送った。少ししてから、返信がありお互いの部屋に無事に着いたという確認が取れた。それから眠りについて、今朝は翔さんがくれたたまごをゆでたまごにして、サラダのトッピングとしていただいてきた。偶然の出会いにとても感謝している。そうなっていなければ、昨日の思い出はなかったからだ。

 一時間あるはずの休み時間もあっという間だ。昼食をお弁当ですませて、ぼーっとしていたらすぐに終わってしまう。

 午後も瞬く間に過ぎていき、もう十五時になっていた。その次に時計を見たらなんと十七時半。そろそろ退社だ。わたしは落ち着かなくて、特に予定はないのだが、そわそわしてしまう。

 退社の時間だ。タイムカードを打ってから、お先に失礼しますといって退社した。

 帰り道、今日はご飯を炊いた残りがあるから、野菜炒めのおかずだけを買って帰宅した。家の近くにお弁当屋さんがあるというのは、何かと便利だと思う。

 まずはポストの中を確認してから、階段を上る。そして注意をしながら、部屋の鍵を開けた。いつ何時、不審者に遭遇するのかは分からない。だからドアを開けて、素早く鍵をかける。つい、習慣になってしまった。知らず知らずのうちに、癖になっているようだ。

 それから、入浴と食事。テレビを見ながら時間を潰して、そっとメールを確認。新着メールはありませんと表示されて、わたしは明日のための目覚まし時計をセットする。今日は水曜日だから、あと木曜日、金曜日と過ごせたらまた休みだと考えながら、眠りについた。

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