8月25日 即席ラーメン記念日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
本日2017年8月25日は「即席ラーメン記念日」である。
即席ラーメン記念日は、1958年のこの日に、世界初の即席ラーメンとなるチキンラーメンを日清食品が販売した事に起因し設けられた一日である。
半世紀近くの月日が流れても、今だ衰える事無く販売を続けている事に脱帽するばかりだ。
チキンラーメンが作られた経緯は、日清食品創業者の安藤百福が終戦直後の大阪・梅田の闇市で、手軽で安価なラーメンが庶民の口に啜られているのを見て、「もっと手軽にラーメンを」と言う思いたちの元であった。
発売当時は一袋35円と言う価格設定だった。今では安く感じるだろうが、その時の新社会人の初任給は一万三千円ほど。今だと6、700円ほどの価値に換算されるのではないだろうか。価格の高さにまるで受け入れられなかった。
今や国民食であるラーメン。
舌の肥えたラーメン通は、即席麺など食えたものではないと、嫌厭しがちなのではないだろうか。
だが、このラーメンという名称を広めたのがチキンラーメンだと知ったら、その認識も少しは変わるのではないか。
実はチキンラーメンが発売される以前は、ラーメンといった名称は殆ど使われておらず、『中華そば』、『志那そば』といった昇りが多く立てられていた。
チキンラーメンの発売と普及が、ラーメンの名称を全国的に広めたのである。
チキンラーメンを他の即席麺と比べた際、秀でた所と言えば、煮込む必要がないという事である。大抵の即席麺は、沸騰した湯に入れ、そのままぐつぐつと煮込み続けなければならない。だが、チキンラーメンはドンブリに麺を置き、お湯を注ぐだけで完成する。
さらには、このチキンラーメンにはスープの素もスパイスも同梱していない。麺自体に味が付いており、お湯を注ぐだけで自然とスープが出来上がる仕組みだ。
より手軽にラーメンを。そんな安藤氏の隠れた気遣いが、50年の偉業を成し遂げたなによりの秘訣なのかも知れない。
今日は即席ラーメン記念日。特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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