109 水筒、自転車、風

水筒を口に当てぐいっと持ち上げた。点を仰ぎ見て喉を伸ばし、体の重心がやや後ろに傾いた。ごくり、ごくり。喉が2度、飲みこむ動作をした。

ベンチに座ってバスを待つこと10分。時計では10分だが、体感では30分ぐらい経っているような気がした。暑いのに風がない。しかも空気が湿っている。目の前を自転車が通り過ぎた。乗っている男の肌はヌラヌラ汗で光っていた。

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