65 楯、芋、羊飼い

 羊飼いの集落が滅ぼされた。実行犯は近場の農村で、宴会で戦士たちを寝かしつけた後一人一人を殺して回った。酒はこの辺りで有名な芋酒で、薬は頭痛の薬を濃く大量に入れたもので、もしかすると薬を飲んだ時点で死んだものも何人かいるかもしれない。いずれにしろ酒を酌み交わし、全員が寝静まった後リーダたち10人の青年は草刈り鎌を片手に、一人一人寝静まった兵士たちの兜を外していき、髪を掴んでクビを切りやすくしてから、ギコギコ皮膚と筋と骨を切り離していった。途中で起きられては叶わないのでクビの前から切って気管と血管から切る。もちろん医学的な知識はなく経験から得た知識である。二人が切っている途中で起きてしまったので一人は近くに落ちていた楯で3度頭を殴りつけ、もう一人は二人組でかかっていたので一人が足を掴み、もう一人が鎌で6回さして動かないようにした。殺した後で兵士の耳を切り取り、全員の耳がセットになっていることを確認したリーダーは、次に家の中に入り全員を皆殺しにした。死体は穴に埋めて肥料にする。こうして次の年にはいい牧草が育つので、新しい集落が集まってくるというわけだ。

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